1282 出口は無いのかよ!
さて、落ち着いて来ると見えてくる事がある。
「ロボ倒したじゃん?でも、何でこの空間から出られないのぉ~?」
ここはRPGみたいにダンジョンの出口が魔法陣でファーっと光ったりしないのかと。
でも、何の変化も起きない。ロボは壊れたらしく一向に動き出す気配は無い。まさか本当にここに閉じ込められて餓死でもするんじゃないかと考えてしまう。
「そう言うトラップ、有りそうだもんね・・・うあぁ~。ここから出られる手掛かりになりそうなのは・・・この残骸かぁ。」
俺は恐る恐る真っ二つにしたロボに近寄る。そして何かここから出られるヒントが無いかどうかを探るために解体をし始める。
「このコードは何処に繋がってたんだ?怪しい。あ、このパーツなんだ?変な形してら。怪しい。お?ここの部分連動してたのはどこらへんだ?怪しい。」
何処をどう見ても怪しいとしか言えない。怪しいだけでこの空間から出るための鍵なんてこのロボには無いのかもしれない。
でも、しょうがない。諦めたらここから出る事は叶わなくなる。きっとここに来る存在なんて俺くらいなもので、他にやって来る者なんていないだろう。
ここでは余所からやって来る厄介事に煩わされないで済む。だけどもこんな場所に住んではいられないのだ。この空間には何も無い。暮らしてはいけない。
ここに残る選択肢などあり得はしないのだ。どうにか脱出せねばならない。
「で、これ、何だ?・・・そのままだな?ええ?おい?ブラックボックスだよ・・・」
3cm四方の正立方体?黒いそんな小さな部品を良く見つけられたと思う。ブチブチと関係無さそうなパーツはぶっちぎってそこら中にポイポイ放り投げていた中で、他のそう言った投げられたパーツにくっ付いていたらこうして見つけられはしなかったはずだ。
「丁度ロボの中心に近い所にあったよな、コレ?・・・動力源?丁度俺、ロボを斬る時に綺麗に唐竹割りしたから、コレに傷の一つでもついてそうなものなんだけどな?」
手に取ったその小さな黒い四角いサイコロみたいなソレをまじまじと見つめる。けれども何処にもそれらしい傷は見つけられなかった。
「・・・は?!もしかして刀の方に刃毀れとか起こって無いだろうな!?嫌だぞそんなのは!」
俺は刀を気に入っている。なのでもしこのブラックボックスと交錯していた場合に、こちらに傷が無いのだから刀の方に傷が入っている可能性も考えられた。
「・・・ふはぁ~。大丈夫だった。綺麗なもんだ。刃毀れも無ければ罅なんかも・・・見受けられ無いな。ちょっと不安だし、整備しとくか。」
俺はブラックボックスをほっぽって刀の手入れをし始める。どうせ慌てた所で今更度しようも無いと悟って。
「んん?確かにロボはホント綺麗に真ん中から真っ二つに、なってるよな?ここのパーツと、ここのパーツってもしかしなくてもブラックボックスが入ってた所だよな?ピッタリだぞ?・・・じゃあちゃんと刀はコレにぶち当たってた、って訳だよな?じゃあ、何でコレ、真っ二つなんだ?」
刀の切れ味は魔法で多少は強化されている。しかし俺はこの刀に付与して貰った魔法は「折れないようにする」ための魔法であって、切れ味強化はオマケだ。
なのでこの傷一つ無いブラックボックスに当たっていたとすれば、このロボは「真っ二つ」とはいかないはずなのだ。
このブラックボックスが邪魔をして刃がロボの背後まで到達せずに一部繋がった部分、斬れなかった部分が発生するはずである。
「でも、こうしてロボは真っ二つ。じゃあこのブラックボックスを刀は通過してるって事か?指で摘まんでるけど、結構固い感触なのに?」
考えれば考える程に深みに嵌る。どうして?何故?と。いつまでもこんな事で悩むのは馬鹿馬鹿しいのでさっさとその疑問を解決することにした。
「じゃあ、斬るか。」
 




