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1256  性急過ぎた山越え

 そして休憩終わりから登り続ける事、二時間。やっと中腹にまで来たかな?と言った所まで辿り着いた。

 多分このペースはもの凄く早い、早過ぎる。普通の人なら途中で倒れるレベルだ。

 なにせ山を上がっていくにつれて斜面がヤバイ。どんどんと急勾配になって行っていた。そんな場所を難無く登っていくヤギ、それに着いて行く俺。

 この「力」を持っているおかげ、と言うのは嫌なのだが、それで俺の体力は化物級になっている。このヤギの登るペースに追い付けてしまっている。だからここまでの短時間で中腹まで来れてしまった。


「いやー、ありがとう。じゃあ、コレ、水。おー、いい飲みっぷりだね。でさ、ここから俺の脚で山を登り切るには道順としてどっちに向かえばいいかね?」


 真っ直ぐはもう既にルートとしては登るのはできない。やろうと思えばできるかもしれないが、ロッククライミング、命綱無しの本番ブッツケはできそうも無い。そこまでの勇気を俺は持ち合わせちゃいない。

 ここから右、あるいは左方面へと視線を向けるとそこそこに登っていけそうな「流れ」は有りそうだったのでソレをヤギに聞いてみたのだ。

 するとヤギは右、左と首を向けた後に「メエ」と左を向きつつ一鳴きする。


「有難い。左だな。良し!じゃあここまでの案内、感謝。」


 そう俺が礼を述べるとそのままヤギがぴょーんと軽い感じで跳び上がった。そして見る見るうちにどんどんとその姿が小さくなって行く。


「あー戻って行っちまったな。さて、ヤギで一波乱あると思ってたけど、どうやら違うらしい、と。じゃあ、ここから先からなんかあるって事か?・・・一先ずはここでキャンプするか。」


 俺は自分の居る場所で一旦長めの休憩を入れるために周囲を平らにし始める。

 小石を退けて、大石を退けて、岩を退けてと。ノーマル状態でも馬鹿力があるので易々と休憩場所を短時間で作り上げる。


「命知らず、って言うんだよな、こう言うのって。ドが付く素人が思い付きでこんな険しい山を登ろうとするとか?事故確定って言ってるようなモノだな。山って聞いたから深く木々が生い茂ったのをイメージしたんだけどな?一番駄目なヤーツ。こんな山だって判ってたらもっと別ルートを考えたかな?いや、無理だわ。」


 そもそも情報収集した時にどんな特徴の山なのかと言うのが手に入っていない事を先ず気にするべきだった。

 そしてもし、こうした岩山、と言った形だと言うのを知ったなら?さて、俺は違う方面から海へと出ようと考えたかと言われると、どうなったかは分からない。

 恐らくはそれでも登る事を選んだ可能性が大きい。あの時は直ぐにあの国から離れたいと思ってしまっていたから。それと向こうの大陸に早く戻りたいと結構強く思っていた。

 それらがあるので恐らくだが、高い確率で山越えを選択していたと言える。


「景色を堪能しよう。あんまりにも急ぎ過ぎた。心がカツカツだ。今日の残りはずっと景色を眺めていよう。」


 こうして俺は今日の残りの時間を山越えには費やさずに、壮大な自然の景色を眺めて心の慰撫に努めた。

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