1234 追っ手に見つかった!前と後ろを塞がれる
さて、今俺たちは城へと向かっている。とりあえずは固まって五人でだ。城への最短ルートを決めてそこを通ってきている。
もちろん目立つので大通りは使わずに細い路地を行っている。のだが。
「いたぞ!コソ泥を見つけた!こっちだ!」
そう、どうやら見つかってしまったらしい。
「あー、城の近くまで捜索しに来てたかー。ちょっと出るのが遅かったね。だけどこのまま真っ直ぐ行こう。中央通りを走った方が早い。皆、行くよ!」
王子様がそう叫んだ。コレに異議は無いのか三人が先頭を走る王子様に着いて行く。まあ俺もソレに別に意見は無い。素直に四人に付いて行く。
だがしかしこういった時には必ずと言って良い程道を塞がれるパターンになる訳で。
「貴様ら!観念しろ!もう逃げ場はないぞ!」
十人程の武装した者たちに行く手を阻まれた。この場合すぐに俺たちの背後からすぐに相手側の追手が追い付いてきて包囲をされる訳で。
「はっ!クソガキ共が!盗んだ物は、お前らなんかじゃ扱えねえ代物だ。大人しく返せば痛い目を見るだけで済むぞ?じゃ無けりゃここで死ぬ事になるぜ?」
どうやらこの追っ手たちは王子様だとは気付いていないらしい。只のコソ泥、しかも素人だと判断している様子だ。
今の俺はフードを被って顔を隠している。ここで俺が正体を晒せばこいつらは怯むだろうか?いくら何でも王子様の顔を知らない、と言うのは無いと思うのだが。
王子様は今は「レク」と言う青年として動いている。なのでこの追っ手たちがソレを分かっていない、と言うのはあるだろうから、ここで大胆に動いてみる価値はある。
どうしてそれが盗まれたのか、と言った事をしっかりと追っ手たちが理解した時に隙ができるだろう。その時にこの場を脱するためのチャンスが訪れるはずだ。
「なーんてな。もう面倒だからこいつらはさっさと片付けていいよね?もう城は目の前なんだから一々こんな事で時間を取られるのは勘弁だわ。」
俺はそう言って「力」を解放する。そして追っ手の者たちを一人残らずその肩に人差し指で「チョン突き」をして回る。
「さ、さっさと行こうか。ホレホレ、ゴーゴーゴー!」
解除したら以下略だ。追手たちが全て同時に吹き飛ぶ。それを俺は気にせずに王子様たちに先に進むべし、と声を掛ける。
「・・・行こうか。私にはどうやら心強い味方がいるらしい。」
王子様は流石にこの光景に目が点になるも再び走り出す。しかし他三人は未だに目の前で起きた事が受け流せずに立ちつくしたままだ。
俺はそんな三人の背中を軽くポンと叩いて行く。すると「はっ!?」と気を取り直して先を走る王子様に続いて走り出す。
「なあ?何が起きた?お前、見えた?いや、理解できたか?」
「アタシに聞かれても分からないんだけどー?ナニアレー?」
「何の予備動作も無く全員が吹き飛んだぞ?俺たちの後ろを塞いでいた奴らも同時だった。誰がやった?」
そんな事を話しながら三人が走る。王子様は何故かこの会話には参加せずにひたすら城へと目指してひた走る。
そうしてとうとう城へと辿り着いた。のだが、門の前には団長が。そう、待ち伏せしていた。しかもどうやら王子様が話していた残りの五十人を引き連れての通せんぼらしかった。




