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1231  ミィ~ツゥ~ケェ~タァ~ゾォ~

 事件の解決前にこうして逃げ出す決意をしたのは初だろうか?ソレだけ今の俺は鬱憤とやらが溜まっているのだろう。

 騎士団をぶっ飛ばしてガス抜き、ケーキを食べて多少のストレスは抜けたと思ったが、それも一時凌ぎでしかなかったようだ。


「迷った・・・何で一直線に道があると思ったらいきなり分かれ道になったんだ?」


 俺は雨の止んできた道のど真ん中んに立って考える。まだまだ人は家の中から多くは出て来ていない。

 雨が止んだとはいえすぐには出てはこないだろう。そんなまだ人通りが少ない状態だからこそ堂々と道の中央で仁王立ちができる。


「ああ、そうか。攻め込まれた時に真っ直ぐに城へと向かわせない防衛上の問題か。で、こうして城の近くまで来ると道は分かれ道も増えてくる、と。向かう方角だけは変わらないから大丈夫だとは思うんだが・・・あ?」


 そんな考え事をしている俺の目の前を一人の青年が横切り走って行った。俺の居る通りから外れた小道へと向かって。


「・・・あー!まさかアレ王子様かよ!?チョ!待ちやがれゴラァ!」


 俺と同じ顔、髪の毛は短く切りそろえられており、かつらを被っている俺の髪型とは真逆だ。

 引き留める声が聞えたのかその青年は振り返って俺を見ると目を大きく見開いた。


「私が居る!?どうなっているんだ?その服も私の予備であるな?影武者か?いや、それならこんな場所には来るはずが無いだろうし。すまないがここは目立つ。こちらに来てくれ。事情を聞きたい。」


「事情を聞きたいのはこっちの方なんだけど!?とまあ、いいか。行くよそっちに。でも、王子様よ?警戒心が足らないんじゃないか?俺はあんたの敵かも知れんぜ?」


 余りにも俺を受け入れるのが早い王子様に注意をする。危ないよ、危機意識を持てよ、あんた自分の立場分かってんの?と。


「いや、私の敵なら城に居させるだろう?じゃ無ければトイレンが君にこうして外を歩きまわるように言ったんじゃないか?」


「あんた何処まで読んでるんだ?根拠は?」


 納得するにもこれほどに簡潔に言われると、そこまでの思考経路はどうなっていやがる?と疑ってしまう。

 王子様は頭の回転がどうやら速いだけじゃ無く直感なども鋭いのかもしれない。


「ああ、そう言った話は後にしてくれ。それにこうして君が私へと忠告をするのがその証拠と言ったら良いか。敵だったら私を騙す様な発言をしてくるはずだろう?いちいち警戒を上げろとは言ってこない。」


「敢えてそう言う風に信じ込ませようと考えての事かもよ?」


 俺は王子様が走る速度に合わせて追いかけながら会話を続ける。今は大きな通りから外れた道を行っている。付いて来てくれと言われたからだ。


「ああ、人とはそういった事は咄嗟に行動できない代物でね。心理的なモノが働いて敵に対して「優しい」行動は取れないものなんだよ。」


 俺は別に優しい訳じゃ無い。だけどもまあこの場合は王子様の言いたいニュアンスと言うのは伝わっている。なのでこれ以上は何も言わないでおいた。

 そんな俺の沈黙のすぐ後に王子様が立ち止まる。左右を確認して誰も居ない事を確認した後に直ぐ側の家のドアを開けて中に入ってしまった。

 そして俺へと「入れ」と手招きをしてきた。それに従って俺もその家の中へと入る。すると。


「レク、遅かったじゃないか。どうした?」

「レッ君心配したよ?でもまあここら辺はもう庭みたいなもんだし、逃げ足だって誰も勝てっこない程早いもんね。捉まったりはしないか。」

「・・・そいつは誰だ?・・・!?」


 最初の二人はどうやら王子様の事を愛称で呼ぶ仲らしい。仲間なのだろう。王子様の心配をしている。俺の事は目に入っていたのだが、どうやら王子様が招いた、と言った形で入ってきていた事で王子様からの紹介待ち、と言った感じでいる。

 しかし最後の一人が俺へと警戒心を見せつつ問い質した。それに俺が一応は被っていたフードを取ると、その表情は即座に驚愕へと変わった。

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