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1207  ここでいきなり急展開デスカ?

 昼食はどうするかをチェルに聞かれる。どうやらまたあの昨日の食堂に行って食うか、それともまたサンドイッチで良いのかと言った二択だ。

 俺はコレにサンドイッチで良いと返事をする。するとチェルは「待っとけ」と言って執務室を出ていった。

 机の上にはティーカップに適度な温度のお茶が乗っている。先程チェルが出ていく前に淹れてくれたものだ。

 良い香りを漂わせて俺の心をリラックスさせてくれる。


「ああ、今度魔法カバンから俺の持ってるお茶ッ葉をチェルに淹れて貰おうかな?」


 魔法カバンは王子様の私室に隠しておいてある。とは言え、置き場所はチェルと俺と団長しか知らない。

 あれは俺の生命線でもあるし、盗まれても自分のだと分かるように印も入れてある。ちょっとした刺繍だ。普通だと分かりづらい場所に五芒星の刺繍が入っている。まあ糸をそのまま通して簡単に作った印ではあるが、もし盗まれたりしても取り返す時にちゃんと自分のだと主張できる証拠として後から入れたのだ。最初っから入っていた訳では無い。


 お茶を一口飲んでホッと一息ついた時にソレは殴りこんできた。


「アレクサンドロス様!お覚悟を!」


 何処のどなたか分からない男三人が扉を壊す勢いで部屋内へと入ってくる。

 一人は間髪入れずに真正面から机を飛び越えるように。その一撃で仕留められなかった場合に二撃目で止めを刺す要員が机の右から。

 用心のための警戒と見張り、それと王子様が万が一にもこの二撃を躱した場合の保険用が机の左を塞ぐ。


 正面から斬りかかって来た者は剣は両手持ちで小さくコンパクトに振りかぶってきている。

 右の男は剣を正面に構えてその結末を観察しようとジッと視線を外さない。

 左を固める男はこちらへの注意を怠らず、しかし扉から邪魔者が入ってこないかを警戒して視線を廊下方面へと向けている。もしそう言うヤツが現れたらこいつが押し留める役割なのだろう。


(コレは良くミーティングしたんだろうな。良く訓練されてる動きしてるよ。肩が無駄に力が入って硬くなっていないしな)


 俺を殺したいなら「注意」を向ける登場をしては駄目だ。サイレントキリングじゃないと。

 意識が向いてしまうとどうしても俺はそれに集中してしまう。だからもうこの三人があんなに派手に入ってきた時点で失敗もいい所だ。

 俺は既に正面、机を乗り越えようとしてきた所で「力」が発動している。これではもうおしまいだ。構えたまま、この俺を暗殺しに来た刺客たちは微動だにしない。加速状態に俺が入ってしまっているからだ。


(いっその事殺されていればいいんじゃねーかな?と言ったのはチェルだけどね。何だろうか?彼女は確かにそう言ったけども、こんな事はしないって分かるんだよなぁ)


 こいつらを仕向けてきた犯人が誰なのかは知らない。チェルじゃ無い事だけは確かだろう。彼女からしてみれば俺にはもっと多くの「チャンス」何ていくらでもあった。

 俺はもしかすればチェルに毒を一服盛られて死んでいたかもしれない場面なんて幾度となく有ったのだから。俺はチェルの出した食事をこれまで何度も口にしている。

 そこに毒を仕込まれていたら俺は簡単にコロリ、と死んでいただろう。こんな力があっても俺が殺される方法はいくつもある。

 俺の身体は無敵じゃ無いと言うのはこれまでに何となく解っている。実際に試した事など有る訳はないが、それでも自分の中で何となくだが「コレは死ぬ」と言うパターンはいくつも思い浮かぶのだ。


 キマイラと鬼ごっこをした時、その最後に頬に一筋、一度だけだがシュ!と爪で引っかかれて切れた事を覚えている。

 自分から殴りに行った時には別に何ともないのに、他者から仕掛けられた一撃はそうして傷を付けられた。

 コレは俺が素直に何の抵抗も無しに剣で切られたら死ぬと言う事の証明である。


(だから、俺はここでそう易々と斬られてはやれないんだ。ゴメンなあ。そして、お仕事ご苦労!)


 俺は正面の刺客の鎧の胸の部分をデコピンで一度だけ弾いた。

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― 新着の感想 ―
[一言] (๑╹ω╹๑ )腹部にデコピン  _(:3」z)_ あべし!
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