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1185  やっと落ち着いてきたかなぁ?

「また蜥蜴人たちがこの湖に来た場合は容赦無く排除するよ?ソレで良いかい?今はあんたの顔に免じてこの場は引き下がろうじゃあないか。」


「ああ、それでいい。まあでもなるべくなら穏便に済ませて欲しいけど。今はコレが精一杯、ってヤツか。じゃあ次の話をしようか。」


 ここで婆さんのこの決定にユレールが「長!?」と考え直す様にと叫ぶ。でも周囲を固める男衆にはユレールと同じ気持ちの者は居ないみたいだった。誰も婆さんの言葉に意見しない。

 男衆の様子が変わったのはどこら辺からだっただろうか?俺が水の壁を殴って罅を入れた時辺りだったか?

 恐らくはそれで「目が覚めた」と言ってもいいのだろう。魔法が通じない相手に今の自分の命の危うさを理解したと言う所か。脅しが効いたという点ではこの効果はなかなか衝撃が強かったみたいだ。


「次の話かい?ソレはあんたが湖に居つくつもりは無い、って事でいいのかね?私としちゃこのままここにずっといて貰うのが良いと思ってるんだけどねぇ?」


「おいおい、話が違うじゃないか?街に出る道まで案内してもいいって最初の時に言ってたよな?気が変わった?」


「ソレはそうだろうよ。あんたみたいな存在を外に出したいとは思えないねぇ今更。この湖の事を喋る気は無いって言ってもね。蜥蜴人の事もある。あんたは管理しずらい脅威でしか無いよ今となってはね。」


 言われた事は納得できる。婆さんが危機を覚えて湖から出したくないと判断するのも分かる。けれども俺はここに居続けるつもりは無かった。


「ここに俺が居続けると魔力を吸うよ?どれくらい吸うかも分からない。結界、再度張るのにかなりの消費が出るんじゃないか?俺としてはこの結界の欠損を最小限に抑えつつ、ここから出たいんだけど?森から出て街道に、街に行きたい。誰か道を案内して欲しいんだが。」


 俺はそう言って懐にしまってある卵の位置を指さす。コレに婆さんが溜息を吐いた。


「それが何なのかを教えちゃくれないんだねぇ。それとも、知らない方が良いモノだったりするのかい?」


「そうだねぇ。婆さんにだけは教えてもいいよ。けど、他の皆は知らない方が良いモノかもしれないね。」


 そう言った俺に対してまたしてもユレールが噛みついて来ようと一歩前に出るが、婆さんがそこに手を出して止める。

 ソレで動き出しを抑えられたユレールは俺の顔を睨み続けているが、次には驚いた顔になる。婆さんが俺へと近づいて行くからだ。


「お前たちはそこに居な。で、私にだけは説明をしてくれるんだろう?なら、して貰おうじゃないか。」


 手に持っていた杖を側にいた男に渡して持たせて婆さんは俺の横に立つ。どうやら攻撃の意思は無いと示すためであるようだ。


「・・・じゃあ仕方が無いな。もうちょっと離れようか。んであいつらに見えない所で説明する。」


 俺はこの竜の卵をユレールだけには知らせない方が良いと考えている。あそこまで見境無し、考え無しにぎゃあぎゃあ喚いている奴にはおそらく刺激が強すぎる。

 きっと「そいつは危険だ!すぐに割ってしまわないと!」などと言いだすに違いない。例えこの世界の「竜」の役割を説明したとしてもそれを理解はしないだろう。


 こうして距離を取って話が聞こえないだろう、卵も見えないだろう場所まで来てから俺は婆さんに先ずは「竜」の説明からする事にした。

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