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1170  白くて長いアレ

 セッドには少々急ぎ足になって貰った。俺が眠り続けていたのが悪いのだが、セッドしか道は分からない。


『大体の方向は合っているはずだ。後は近くに来れば方向修正は簡単にできる。多少はズレが出るだろうが急ぐとしよう。』


 どうやらザックリとした方向しかセッドにも分かっていないらしい。どうやら逃げ出してきた距離は相当に長く、自分たちの生活活動範囲外と言った所までリザードマンたちは逃げたと言った所なのだろう。

 だからと言って俺が彼らの集落の位置が分かっている訳では無いので、このままセッドに置いてけ堀にされたり俺が迷子になったらどうしようもないのだが。


 深い森の中だ。進む速度もそこまで早くはできない、ハズであるのだが、セッドはすいすい、ヒョイヒョイと木々を躱して進んで行く。

 しかも結構飛んだり跳ねたりと激しく動いているにもかかわらず息は上がっていない。

 どうやら力が有り余っていると言うのは本当らしい。真っ直ぐに前だけを向いて歩み続ける。後ろにいる俺の事など心配もせずに一切振り向いたりしない。

 案内をしていると言う自覚が無いのか、あるいはこの程度では俺が置いて行かれたりする事は無いと確信やら信用でもしているのか。

 確かに俺は付いていけてるから「待ってくれ」などとは言わないでいるので、セッドも「付いて来ている」と言う前提の下でぐんぐんと進んでいるのだと思うのだが。


「まあいいか。疲れたら休憩を申し出てくるだろうし。」


 と言っていたらもうソロソロ到着すると言われた。ここまでノンストップ。一度くらいは休憩を挟むと思っていたのだが、セッドは疲れたと言った素振りなど一度も無くこうして彼らの住処近くまで到着してしまった。


『かなり飛ばしたんだがな。こうしてついてこれたのも驚きだが、呼吸の乱れも無いとはな。』


 セッドはどうやら俺の事を少々試したらしい。それはそれでいいのだが、問題はこれからだ。

 ソロソロと言ってからも歩みは止めずにひたすらその「龍」の居る場所まで向かっている。で、暫くすれば見えてきたのだが。


「なあ、あのチラッと見えるアレがそうだって事か?白い、な。白くて龍とか言うと、アレだ。ジブ◯を思いだしちゃうなぁ?」


 説明で色までは聞いていなかったので、それが視界に入ってきた所で真っ先にそう思ってしまった。相手が物静かで冷静だと良いのだが、と、ついついあのキャラクターを思い出しながらそう考えてしまう。


「じゃあここからは俺が一人で行ってくる。セッドはここに残っていてくれ。」


 俺はセッドにこの場に残るように言ったのだが、これにセッドは付いて行くと返してくる。


『私も行く。サイトウが信用できないと言う訳では無い。ここは我々の住処だ。誰かが見届けねばならん。』


「いやいや、セッドはリザードマンたちの纏め役じゃないのか?何かお前にあったらゴタゴタが増えるだけだろうに。見届けるならここで待っていてくれるだけでいいだろ?アレが暴れるようだったら逃げてくれないとさ。それにリザードマンたちの元に戻って顛末を伝える役目もしないといけないだろうに。」


 セッドは「長は俺では無い」と言って付いて来ようとしたのだが、リザードマンたちの元に安全に戻って貰わねば伝令役が居なくなってしまう、俺はセッドにそう言ってこの場に留まるように説得をしたのだった。

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