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1114  悪運付いて回る?

 出発してからは別段、何事も起こる事無く平和に進む。目的地は邪龍が封印されていると言う要石。

 道を先に進めば進む程に段々と周りには木々が減っていき、雑草も生えていない荒野になって行く。


 そしてとうとう何も無いだだっ広い剥き出しの土だけが広がる土地にやってきた。

 そんな場所にポツンと存在する巨大な石。どうやらそれが要石であるようで。その大きさは高さ5mは軽く超える大きさだ。


「お前たち!事前に決めてあった布陣だ。こいつを囲むぞ!突撃隊は鎧を着こんでおけよ。封印が解けるのがいつの時間になるかは分からん。交代で見張りを置いて、他の者は休息を取っておくんだ。」


 お殿様はそう言って指示を飛ばす。だがコレにまたしても牙地流が。


「我らは勝手にやらせてもらおう。心配するな。邪魔だけはせん。」


 そう言って勝手に離れて行ってしまう。これをどうやらお殿様は止める気が無かったらしく、牙地流を自由にさせるつもりのようだ。


「我々は二手に分かれますよ。補助と、攻撃。特殊班は私の所に集まってください。」


 セイメイ様もどうやら指示を出しているのだが、特殊班とやらのその役割が分からない。

 でもそれでいいのだろう。俺は遊軍と言う立ち位置なのでオンミョウの術者の動きはその内に把握すればいい。

 術者たちは各々でどうやら特殊な呪具だろうと思われる道具を牛車から降ろしていた。


 さて、もうここまで来ると後は時間の問題だ。この封印から邪龍が飛び出してくるのを待つだけ。

 そんな所に遅れて到着したのが多くの荷車を引いた集団だった。


「遅れてしまいましたか?しかしまだ余裕はたっぷりとありそうですね。食料と予備武器、矢の補充。その他の医療道具、物資を運んでまいりました。」


 ソレはシノブの使者、ミツバだ。どうやらアキンドの総元締めの所からこうして物資を受け取ってからやて来たと言う。


「おう!うちの運んできた分じゃ心許無かったからな。助かるぜ。お前ら!運べ!」


 お殿様がそう声をかけ、兵たちに支援物資の配分をさせる。


「先程に軽く封印術を調べてみましたが、どうやらあと二日半、と言った所でしたね。禍々しい気が漏れ出していましたよ、もう既に。こうして間に合って良かった。」


 セイメイ様もそう言葉にしながらこちらへと歩いて来る。


「間に合っただけでは駄目です。邪龍をこの度の復活にて討滅させねば、このヒノモトの未来は闇へと消滅してしまう。討滅が無理だったとしても、最低でも弱らせて再封印を出来ねば。」


 ミツバはセイメイ様の「間に合った」と言う言葉を甘いと指摘する。


「分かっています。分かっていますが、この人数では不安しか持てない事も事実です。シノブからの方も兵は出しているのでしょう?どれくらいですか?」


 セイメイ様がそう言ってミツバに訊ねるが、いい返事は返ってこなかった。


「百名、たったそれだけです。術者三十、兵四十、救護班に三十を充てました。傷を癒す事の出来る術者を十名しか確保ができませんでしたからね。負傷者の戦線復帰をさせるにはこれでは不十分です。」


 お殿様がコレに何故だと再び問い質した。コレは何故ソレだけしか集められなかったのか、と言う何故である。


「流行り病が出ました。それに術者の数を大分割いています。本当に機が悪い。邪龍復活に被るように流行り病ですからね。こちらとしても患者たちを放って邪龍との決戦へと人数を割く事ができなかったのです。邪龍を倒す事ができても、シノブの民が流行り病で居なくなってしまうと言うのは流石に。」


 悩ましい所だろう。邪龍は絶対に倒す、しかしその「絶対」の為に術者をかき集めてこちらに派遣して、流行り病の方はどんどんと患者が死亡し続けて国の存続が危ぶまれるなんてのは。

 逆に邪龍の方へと出す術者の数が少ないばかりに負けました、何て言えば全てが終わりだ。未来を見越してのこの術者の数しか出せなかったと言うのは、もうどうしようもない。


「なあ?うちは敵討ち騒動で、オンミョウはミズキの件で、シノブは流行り病とか。これ、悪運だよな完全に。邪龍の方に天秤が完全に傾いてやがる。まあだからって言っても、これ以上の事もできないんだがなぁ。」


 お殿様がこの最悪な状況に大きなボヤキを呟いた。

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