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1106  ここは俺に任せて先に行け

 アレから大分走って休みを取っている。この二度目の休憩で大体半分だという。目的の地への行軍の稼いだ距離は。なのでまだまだこれからもっとこの牛の爆走は続くのだが。


「もう一度走らせ、待ち合わせ場所で野営となります。そこでモノノフの兵たちと合流。合同で要石の前まで進軍、陣を敷いて待機です。何かここまでで質問などはありますか?」


 セイメイ様のこの説明に俺は無いと言っておく。そもそも俺はこの出発の前にお殿様とセイメイ様に「俺は付いて行くだけだから」と言って詳しい話や作戦は聞かないでいた。

 コレはしょうがない事だ。俺は遊軍だと言う事にしてある。九尾もだ。なので作戦もへったくれも無い。本当はちゃんとそこら辺を聞いておいて作戦にしっかりと貢献できるように話に参加しておかねばならないはずだったが。


「いいんだよセイメイ。サイトウはそんなモン必要無いだろう。ここまでの間にサイトウが俺たちの想像なんて遥かに超える奴だって言うのは良く分かったろ?」


 =============


 途中、一度だけハグレと思わしき魔獣がこの爆走牛の行列に突っ込んできたのだ。この迫力に恐れをなさずに突っ込んでくるくらいには強力な魔獣だったようだ。

 その魔獣は俺が村で過ごした最後に仕留めたあの猪と同じ種であるようだった。しかもこちらの方が体格がもう一回り大きい位で、ちょっとした山を思わせる程に巨大も巨大だった。

 確かにこれだけの巨体なら牛車の行列に突っ込んでこれそうだと思えた。なのでここで俺が前に出たのだ。

 街道の横から突っ込んできたので、このままではこの行列が真っ二つにされかねないと。

 急いでいる最中なので速度は落とせない、止められない。なのでここで仕留めるしか無かった。

 もちろん加速は使う。使うが、仕留めた後はこいつも食料にできるだろうし、素材は引き取って貰えそうだったので丁寧に狩って解体する事にしたのだ。

 俺は今まだこのヒノモトの通貨を獲得できていない。なのでコレで何とかできるだろうと見込んで。


 ここでこの猪の迎撃に術者の消耗はさせられないと言う事もある。何せこの後は邪龍の討滅に全力を出さねばならないはずだからだ。

 ここで猪に止められてトラブルで待ち合わせに遅れたとか言ったら、もしモノノフの兵が先に到着していて「待たされた」とか言った余計な軋轢が生じるのも問題だ。

 そこからまたお互いが「いい合い、罵り合い」などになったら目も当てられない。なので。


「ここは俺がやりますから、そのまま速度を落とさずに先に行ってください。宜しくお願いしますね。」


 そう俺はセイメイ様に伝えると道を外れて横へと逸れた。

 あと三十秒もかからない内にこちらに激突するだろうその猪の前へと俺は立ちはだかった。


「よし、いっちょ来い!肉は食えるし牙も相当立派だな。それに骨も使えそうか?相当太いだろうな。あ、内臓も新鮮な内に調理すれば臭みも無く食えるな?皮もかなり大きく採れるぞ?かなりの額になるだろうなぁ。あ、でも俺アキンドとの繋がりが無いや。いきなり持って行っても対応してくれるか?足元見られたり、相場を知らないから騙されて安く買いたたかれたりしないか?」


 もう既に一番レベルの低い加速状態に入っている俺は猪がこちらに到着するまでの時間が長引いた間にそんな事を考えた。

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[一言] (๑╹ω╹๑ )死ぬには良い日だCV:イノシシ
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