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1014  平和な世の中

 その国の名は「シノビ」。もうどう突っ込んで良いのか分からない程になってる。分かりやすいという面ではそうなのだが、国名を最初に考えた奴はどういった経緯でこれを付けたのかと少々問い詰めてやりたい。忍べよ、と。

 だがこの国の特徴はツバキに言わせるとおかしな国であるそうだ。どうやら武士、陰陽、商人、の国の人間がそれぞれいがみ合いも無く平和に暮らしていると言う。

 俺から言わせてもらうと「それぞれの国の人が互いに平和に暮らしている」と言う理想郷じゃ無いのかと言わせてもらいたいのだが。

 このツバキの言い方だ。それぞれの国の仲は悪いと言う事実が出て来た。

 そして国の「特色」という意味ではツバキに言わせると「何も無い」のだと言う。

 至って平和で争いも無く、他の三国へ「中立」を保っている。いや、中立はもう一つあって「アキンド」も中立だと言う。

 要するに、武士が陰陽を毛嫌いしているのか、あるいは陰陽が武士を下に見ているのかと言う形であるようだ。

 で、ツバキはモノノフ出身で俺をこうして助っ人に頼むのだからそこら辺はどうなのかと問うと。


「私は目の覚める思いでした。あのような化物を打ち倒してしまうサイトウ殿のお力に。オンミョウ一の「使い手」であってもあの化物を一瞬で倒してしまうような事は絶対に無理でしょう。真の「力」とは何処までも圧倒的なモノで、その下にはモノノフもオンミョウも同じ、変わらぬ塵芥に過ぎぬのです。そこに自身への力を誇るなど有りましょうか?無いも同然です。」


 ドングリの背比べ、では無いが、どうやらツバキは一種の悟りを開いたようだ。むしろ諦めとかに近いものかもしれない。

 そして陰陽術と言うのモノがあると言う事も聞いた。どうやらモノノフの者たちはこれを「妖しい術」と言って馬鹿にして蔑んでいると言う。だから妖術などと言っているそうな。


 魔法があるなら陰陽術があるのも頷けるが、どういった違いがそこに在るのかと言った疑問が浮かぶ。

 構築術式が違うのか、あるいは根本的な構造が違うのか、理論が違うのか何なのか。そこら辺はそう言った道に詳しい人が調べればいいのだろう。

 素人目には「不思議な事が起こせる」と言う点で括るとみんな同じだ。

 俺は魔法が使えない、ならば陰陽術は?とも思ったが、期待のし過ぎだと思ってそこら辺を考えるのを止めた。


 こうして暫く道行けば漁村が見えて来た。魚らしきモノを開きにして干している人たちや、家の軒下にどうやら野菜を乾干しするのに吊るし作業をしている人たちが見受けられる。

 野菜からすると見た目が大根、しかしその色は白では無い。緑だ。全体が緑である。これには目がパチクリした。

 人参を洗って土を落としている作業をしている。しかしその人参はオレンジ色では無い。真っ白だ。


 さて、俺はここまで村の様子を見ているが、茅葺屋根の昔ながらの日本家屋。これにはどこかホッとしたのだが、違和感が凄すぎてそれどころじゃ無かった。

 そこに住む人たちは金髪碧眼、それが和服、それも時代劇で見る様な感じのものを着て生活をしているのだ。

 眩暈を起こしそうになったがグッと堪えて冷静に村を歩き続ける。ツバキがどうやら目的の場所があるらしくソレに着いて行っているのだ。

 この漁村はどうやらかなり大きいものらしく、どんどんと奥へ奥へと入って行けば行く程に売店が増えて行った。

 八百屋、肉屋、小間物屋、どうやら鍛冶所まで。そうして一軒の着物を扱う店に到着した。

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