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登場人物紹介(第二章までネタバレ有)

また人が増えましたので。

取りこぼしが無いかどうかが心配。

■アレク・ディア

 本作男性主人公。34歳。A級冒険者。魔法剣士。トリス支部所属。身長191㎝のがっちり体型。ストリィディアの成人男性の平均身長よりは大きく、すっかり背を追い越してしまった兄貴分や異母弟には若干不満に思われている。

 豚の生姜焼きも好きだが、想い出のバニラアイスも好き。

 本名アレクセイ・フレンヴァリ・ストリィディア。先帝ロヴェルトと元男爵家令嬢イェシカとの間に出来た不義の子で、幼少期はイェシカの元で育ち、彼女の死後はロヴェルトに引き取られた。女手一つで育ててくれた母親に強い思慕の念を抱いている。母親に不自由な思いをさせた父親に対しては未だに複雑な感情を抱いているが嫌いなわけではなく、王としての彼を尊敬してもいる。あと、彼とは女の趣味が一緒らしい。

 異母弟オリヴィエルとは魂を分けた双子のような間柄で、ロヴェルトが驚くほど兄弟仲が良い。城ではオリヴィエルと共に教育を受け、大変な努力の末に何処へ出しても恥ずかしくないほど優秀で文武両道の王子になった。

 将来は王太子オリヴィエルの側近と目されていたが、ロヴェルトが病床に臥した後に勃発した王位継承権争いに巻き込まれ、オリヴィエルの即位と治世に影響が出る事を恐れて出奔を決意した。出奔に至るまでに心身を壊し、それを隠しながらの生活をしていたが、恋人のレヴェッカに市井に下る事を告げた際、怒り狂った彼女からこっぴどい暴言砲を受け身無しで食らって致命的なダメージを受けてしまった。オリヴィエルには「こいつこのまま死ぬんじゃないか」と心配されるほど前後不覚の状態で寝込む羽目に。

 出奔後はトリスヴァル辺境伯の元で数ヶ月療養し、その後はザックに師事して冒険者の道を歩むことになる。

 体質的にストレスや疲労で熱を出しやすいが、冒険者になってからはその頻度は減ったようだ。でも偶に発熱すると結構重くて大変。

 同僚には女嫌いだと思われているが、実際には色目を使う女が苦手なだけで、普通に接してくれる女なら平気。でもトラウマ体験から決まった女は作れず、高級娼館で女遊び。娼館では、何がとは言わないが「底無し」とか「絶倫」とか呼ばれていた模様。

 同僚のシオリ・イズミに惚れ込んでせっせと口説きまくっていたが、このほど目出度く両想いになれて幸せいっぱい。本当はあんな事やこんな事やそんな事もしたいが、シオリの心の傷が癒えるまでは我慢しようと頑張っている。でも基本肉食系なのでどこまでもつかはわからない。つまみ食いしそうである。多分する。



■シオリ・イズミ

 本作女性主人公。31歳。B級冒険者。家政魔導士。トリス支部所属。身長155㎝。日本の成人女性の平均身長よりはやや小さめだが、ほぼ標準体型。でもストリィディアではローティーンの女の子のような体格だと思われていて、それが少し不満。つるぺたでもない。普通にある。あくまで日本人としては、だが。

 日本に全財産を置いたまま身一つで異世界転移してしまってさあ大変。四年間必死で頑張って生き抜いて来た。同僚や街の人々には好かれている。トリス支部では「嫁にしたい女No.1」であると同時に、密かに「母ちゃんにしたい女No.1」の座にも君臨している。

 しかし途中で参加したパーティにモラハラ攻撃で言いなり人形にされた挙句に搾取され、迷宮の奥でポイ捨てされた。幸い、ポイ捨て直前にエンカウントしたスライムに懐かれて街まで連れ帰って貰えたが、心身共に深い傷痕を残してしまう。トラウマが癒え切らず、人付き合いは薄い壁越しになってしまった。

 保護者兼兄貴分のザックとは実は両片思いだったが、ポイ捨て事件後にザックが想いを告げることなく身を引いてしまったために、その恋心を諦めてしまった。

 その後に現れたザックの弟分であるアレクに惚れられ、散々甘やかされまくった結果、彼に恋情を抱くようになった。例のトラウマ体験から甘え方や頼り方を忘れてしまっているが、徐々に取り戻しつつあるようだ。

 アレクに抱き締められたりキスされたりすると幸せ。でも自分からは言い出せない。あと、身長差があり過ぎてキスの時に少し大変だったりもする。

 アレクには、柔らかくていい匂いとか、腕にすっぽり収まる小ささが堪らないとか、あんな事やこんな事をしたいとか思われている。



■ルリィ

 瑠璃色のスライム。トリスヴァル領ブロヴィート村近隣の蒼の森出身。素の水溜り型の場合は三畳程のサイズ。饅頭型では直径50㎝前後。結構でかい。

 表向きはシオリの使い魔だが、実際には使い魔契約されていない。彼女とは友人関係にある。最近では個人的に害虫駆除の依頼を受けている模様。

 シオリの水魔法が大好物だが、肉食系スライム(物理)なので肉も大好き。特に柔らかいモツが好き。生食派だったのに、最近では焼き物もイケると思っている。

 スライムの中ではかなり知能が高く、好奇心旺盛で温厚な種族。言葉は喋れないが、頭の中では色んな事を考えている。人間とは身振り手振りで意思疎通を図っている。すっかり人間社会に溶け込んでいるが、魔獣としての考え方や矜持は失っておらず、容赦ない一面も。

 本来は水溜り型だが、人間に恐怖感を抱かせない為に普段は可愛い饅頭型でぽよぽよしている。しかし、自然の姿ではないので、一日の終わりには身体が凝り固まっている模様。就寝前のストレッチは欠かせない。起床後の運動は準備運動のようだ。

 同じ身体から分裂した同色の一族とは遠距離通信が可能。しかし回線を常時接続していると疲れるので普段は閉じている。



■ザック・シエル

 40歳。S級冒険者。剣士。現在はトリス支部の組合(ギルド)マスター。トリスヴァル辺境伯のクリストフェルとは古い友人。

 身長185㎝で細マッチョ。少年時代のアレクは自分より小さかったのに、あっという間に追い越されて見上げないといけなくなったのがやや不満。

 シオリの保護者兼兄貴分。行き場の無いシオリを保護し、面倒を見ているうちに惚れてしまったが、シオリが事件に巻き込まれて死に掛けていることに気付かないでいた事に責任を感じ、気持ちを伝える事を諦めた。ポイ捨て事件後は彼女を「妹」として迎えて変な虫から守ろうとするが、実際には囲い込んでいるだけである。どうやら諦めたつもりの恋情をイマイチ捨て切れていないらしく、アレクとシオリの仲を応援しながらも、アレクが手を出そうとするとキレそうになるちょっと困ったお兄さん。

 ポイ捨て事件及び「金糸雀の夢」事件の主犯であった当時のギルドマスターを、非公式の処刑人として「処刑」した。また、事件の実行犯であったパーティメンバーについても許せない気持ちを抱いているが、その反面、元々悪人ではなかった彼らが正真正銘の悪人の手引きで闇落ちした末に命を落としたことを憐れんでもいる。

 本名はブレイザック・フォーシェル。武の名門として名高い大貴族フォーシェル家の嫡男だったが、私生児である事を理由に分家に疎まれている事を気に病み、そして親友である第二王子が王太子に次いで夭逝したことを切っ掛けに家を出る事を決意した。

 市井には下っているが実家との縁は切れておらず、時折極秘の依頼を受けることもあるようだ。

 アレクが出奔する際には手を貸し、独り立ちするまで色々と面倒を見ていた。その後も訳有りの銀髪少年やストロベリーブロンドの少女、黒髪の女を拾ってくるなど、拾い癖があるようである。

 ゴキブリに限らず実は虫全般が苦手。ルリィが戸棚の隙間をごそごそしていても気にしないように努めている。物凄く気になるけれど。



■オリヴィエル・フェルセン・ストリィディア

 34歳。ストリィディア国王。アレクの異母弟。身長184㎝。少年時代にはアレクと同身長だったが、出奔後に急成長した彼に身長差を付けられ、内心複雑に思っている。「運動すれば同じ位に伸びるかな?」という安易な考えからアレクのように剣技にも精を出すようになるが、ほとんど伸びなかった。残念である。

 さらさらの金髪に紫紺の瞳の大変見目麗しい王様。優れた外交手腕と卓越した政治力で民を第一に考えた統治を行う善き為政者だが、気になる事柄に対しては直ぐに足を向けてしまう性分で時々城を抜け出す癖があり、側近達を悩ませている。

 普段は穏やかでにこやかな笑みを絶やさない優しげな印象だが、大切なものを傷付けた者は容赦なく断罪する一面もある。彼にとっての「大切なもの」とは、国や民であり、勿論その中には彼の家族も含まれている。この性質は彼だけのものではなく、代々王家の者が受け継ぐ遺伝のようである。

 彼の「大切なもの」を手酷く傷付け、逆鱗に触れて処分された者は多い。だが、ほとんどの場合は処分の際に更生の余地も残すなどの温情もかけており、正しく更生した者については再度取り立てるなどのフォローもしているようだ。

 こういったことから、「穏やかにして苛烈なる王」と称されている。

 精神的に辛い時期に寄り添って過ごした異母兄のアレクとは非常に兄弟仲が良く、魂を分けた双子のように思っている。彼以上の兄弟、親友、忠臣は居ないとも思っており、それ故に彼を傷付けようとするものには容赦ない。アレクが倒れたと聞いてすっ飛んできてしまった位に異母兄が大好き。入れ込み過ぎな感もあるが、その感情は、自分の不甲斐なさから彼の自由を奪い辛い目に遭わせてしまったという罪悪感の裏返しでもあるということに自分でも薄々気が付いてはいる。

 過去に最もアレクを傷付けた娘の事は、王としては許しているが、個人的には今でも大嫌い。温情かけて嫁ぎ先まで用意してやったけど、やっぱり内心許せない。

 シオリの事は得体が知れないと思いつつも、アレクを幸せにしてやって欲しいと心から願っている。

 最近桃色スライムの友人が出来て超嬉しい。毎晩王妃とスライムに挟まれて眠るのが至福タイムである。



■エドヴァルド・フォーシェル

 30歳。王立騎士団副団長。フォーシェル公爵家の当主でザックの異母弟。幼い頃はザックに大変可愛がられていた。身長184㎝。

 ザックを通じてオリヴィエルとの交流を深めていたが、ザックが市井に下った後は、オリヴィエルの側近となるために励んでいた。とりあえず力を付ける為に騎士団に入団してみたら、うっかり副団長にまで出世してしまった。本人は団長になる前に辞して「賢王だが放し飼いにしたら何を仕出かすか分からない」オリヴィエルの目付け役になりたがっている。近いうちに実現しそうだ。

 普段は優雅な立ち振る舞いの男だが、感情が昂ると素の粗雑な言葉遣いが出る。この言葉遣いは敬愛する異母兄の影響。



■クリストフェル・オスブリング

 41歳。トリスヴァル辺境伯。身長189㎝。最近肉が付きやすくなってきたのが悩み。ザックの少年時代からの友人で、今でも親交がある。

 トリスの騎士隊の司令官的な立場でもある。個人的に私兵や特殊部隊も組織しており、極秘の任務に当たらせることもあるようだ。

 アレク出奔時の協力者の一人。辺境伯家の静養地で彼を療養させた。



■クレメンス・セーデン

 36歳。A級冒険者。双剣使い。トリス支部所属。

 身長183㎝。一見すると優雅な紳士だが、脱ぐと凄い。

 第二章ではほぼ出番が無かった。

 ザックの実家である公爵家御用達の出入り商人の次男坊。大店の嫁狙いの女の子に薬を盛られて迫られるも大変な忍耐力で回避したが、醜聞になって商売に影響が出る事を恐れ、家を出る事を決意した。どいつもこいつもモテる男は大変である。

 アレクの事情を直接聞かされたことはないが、薄々その正体は察している。

 壮絶な大人の色気を放つ滴るような美形で女性ファンは多いが、本人は奥手。シオリに想いを寄せていたが、奥手過ぎてアプローチらしいアプローチをせず、もたもたしているうちに横からアレクに掻っ攫われてしまった。可愛いシオリと友人アレクの仲を応援しつつも、内心べっこり凹んでいる。

 最近東方の酒「千年の孤独」にはまっている。目撃したルリィには憐れまれている。スライムに憐れまれる残念な美形である。



■ナディア・フェリーチェ

 38歳。A級冒険者。上級魔導士。トリス支部所属。身長172㎝のボンキュッボン美女。

 クレメンス同様第二章ではほぼ出番無し。

 少女時代に死別した婚約者に操を立てているが、いくらなんでもそろそろいいかなとも思い始めた。



■リヌス・カルフェルト

 28歳。A級冒険者。弓使い。トリス支部所属。身長181㎝で一見するとひょろっとした痩せ型だが、脱ぐと凄いタイプ。

 討伐難易度が高くて仕留める事が難しい、高級肉の雪待鳥を五羽もさっくり仕留めて来るほどのトンデモな腕前の持ち主である。居合わせた同僚によると「唐揚げー!」と叫びながら弓を射っていたらしい。どうやら肉が飛んでいるように見えたようだ。

 軽薄そうな見た目とは裏腹に意外と常識人で、ムードメーカー的な役割を果たすことも。



■エレン・オヴェリ

 27歳。B級冒険者。治療術師。身長167㎝のすらりとした美人。

 外科に特化した医師免許を持つ才女。普段はおっとり美人だが、女医モードになるとアレクがビビるほど容赦ない。

 派遣先での騎士隊のマズ飯のあまりのマズさに瞳孔が開きそうになったが、シオリの携帯食でどうにか持ちこたえた模様。



■ニルス・アウリン

 32歳。A級冒険者。薬師。トリス支部所属。身長179㎝のほんわか青年。

 医師免許も持っているやり手の薬師。シオリが保護された際には主治医として彼女を診ていた。ポイ捨て事件時にも彼女の診察と治療に携わっている。彼女の容体や怪我のチェックで全身を診るには診たが、「大事なところ」は担当医と産婆に任せていたので見ていない。大丈夫。

 エレン同様、派遣先での騎士隊のマズ飯のあまりのマズさにヴァルハラの幻影を見たが、シオリの携帯食でどうにか持ちこたえた模様。



■マレナ・ラネリード

 32歳。B級冒険者。槍使い。トリス支部所属。身長170㎝のお姉さん。

 魔法剣士のルドガー・ラネリードの嫁。姉さん女房である。夫のルドガーを事あるごとに槍の柄でつついているが、虐げているわけではなくきちんと愛している。夫の事はカッコ可愛いと思っている。

 ローズ・トヴォール社の薔薇の香りの石鹸を愛用しているが、最近手に入りづらくて困っている。その石鹸は騎士隊が買い占めて害虫駆除に使っている事にはまだ気付いていない。



■ルドガー・ラネリード

 29歳。B級冒険者。魔法剣士。トリス支部所属。身長184㎝でカッコイイけど可愛い系青年(マレナ談)。

 槍使いのマレナの夫。妻にはしょっちゅう槍の柄で突かれているが、直ぐに手が出るところも可愛いと思っている。仕事中は弁えてあまりいちゃつく事はないが、隠れバカップルである。



■ベッティル・ニルソン

 35歳。C級冒険者。酵母ハンター。トリス支部所属。

 身長185㎝で、一見すると凛々しい騎士様のようなハンサムだが、口を開くと女言葉で周囲を萎えさせている。トリス一残念な美形と名高い。

 酵母に拘りまくった美味しいパンを作る事で有名な、第三街区では人気のパン屋さん。集めた酵母を大事に大事に可愛がっている。保管庫からボソボソ男の声で女言葉を喋る不気味な声が聞こえたら、それは彼が酵母に話しかけている声である。気にしてはいけない。



■ラーシュ・レクセル

 45歳。シオリのアパルトメントの管理人。妻帯者。身長180㎝の紳士。穏やかで人が好い。

 表向きは元冒険者を通しているが、実は傷病退役した元騎士。左足を負傷し、日常生活には問題ないものの、重労働に耐えられる身体ではなくなったことで退役した。退役後しばらくは普通に暮らしていたが、その後、情報部から打診されて外部協力員になった。

 情報部からの指示でアレクを「監視」していた。アレクとシオリの仲を応援している。二人のキスシーンを出歯亀ろうとしてルリィに邪魔された。残念。



■カスパル・セランデル

 37歳。ブロヴィートの隣村の駐屯騎士。部下の信頼も厚い副隊長さん。雪狼襲撃事件後は、ブロヴィート村の騎士隊長に就任した。

 以前はトリスの部隊に所属し、高級娼館「金糸雀の夢」の捕り物や取り調べにも参加している。その際に見た被害者と、負傷して取り乱したシオリの「症状」が似通っている事から、彼女が何らかの犯罪被害者ではないかと疑った。初めはアレクを疑っていたが、疑いが晴れた後は彼の事を気遣っている。

 妻子持ちで単身赴任中のお父さん。



■ニクラス・ノイマン

 30歳。トリスの騎士隊に所属。ブロヴィート村の雪狼襲撃事件後に支援部隊として派遣されて来た。一見するとお堅い騎士のように見えるが、結構柔軟な対応が出来る。

 足に水虫を飼っている事を部下達に知られている。早く治して足湯を楽しみたいと思っている。



■アニカ

 31歳。ブロヴィート村の若者を取り纏める女リーダー。畜産農家の娘で、家畜の世話だけでなく解体もお手のもの。農閑期には弓で狩りをすることもあるが、本人曰く気休め程度の腕前。

 シオリの足湯に興味を示し、村の新しい観光名物として導入することを提案した。商売としてはかなり成功したようである。



■ペルゥ

 桃色スライム。トリスヴァル領ブロヴィート村近隣の蒼の森出身。ルリィ同様、素の水溜り型の場合は三畳程のサイズ。饅頭型では直径50㎝前後。

 なんだか良い事がありそうだと森から出たところで、オリヴィエルと遭遇。魔法の水を貰って彼と友人になり、ペルゥという名前も貰った。本当に良い事があったと喜んでいる。オリヴィエルに連れられて王都に向かった。

 結構頭が良いらしい。



■ランヴァルド・ルンベック

 トリス支部の先代マスター。A級冒険者。上級魔導士。51歳。

 物腰の柔らかい紳士で研究者やマスターとしての評価は高かったが、実態は正真正銘ヤバい部類の変態紳士で、加虐嗜好の異常性癖の持ち主。裏の顔は高級娼館「金糸雀の夢」の経営者。

 ルンベックは母方の姓で、本名はランヴァルド・ノシュテット。子爵家の次男坊だったが、家の金や家宝を持って下働きの女と駆け落ちした事で勘当された。恋人の事は身分を捨ててでも一緒になりたいと思うほどに愛していたが、彼女は金が尽きた所で他所の男と共に姿を眩まし、強く憎むようになった。

 後年彼女によく似た娼婦を身代わりに仕立てて復讐し、その過程で違法な商売に手を染めるようになる。経営する娼館で、娼婦の命を商品にした過激なSMクラブを運営し、9人の犠牲者と多数の負傷者を出した。このことを共同経営者だった女に密告されたが、事前に察知して逃げ切った。

 珍しい東方人の女であるシオリにも目を付けており、彼女の所属しているパーティのメンバーを唆して心身ともに追い詰め、搾取の果てに人買いに売り払おうと画策。しかしやり過ぎてザックに過去の悪行も含めて察知されてしまい、人知れず始末された。表向きは野党に襲われた末に魔獣に食われて死んだことになっている。



■暁

 トリス支部所属の冒険者パーティ。シオリの元仲間。剣士イヴァル・レイヨン、重剣士スヴェン・ロセアン、武闘家バート・アンフェ、魔法剣士トーレ・ブロムヴァリ、召喚士ラケル・スカンツェ、そして家政魔導士シオリ・イズミで構成。平均年齢は三十前後のパーティだが、組合(ギルド)加盟時期は遅かった為にランクは低め。

 元々は気のいい奴らだったが、変態紳士ランヴァルドに唆されて悪事に手を染めるうちに本格的に闇落ちしてしまった。シオリを甚振って搾取した挙句に迷宮にポイ捨てした。

 事件そのものは「冒険者緊急避難法」を適用したとして強引に無罪放免に持ち込んだが、闇落ちして互いを思いやる気持ちが欠落した彼らに居場所も生き抜く術も無く、短期間で五人中四人が仕事中に死亡。最後に残った一人も移籍先でトラブルを起こして組合(ギルド)を除名処分になった。

 なお、生き残っている魔法剣士トーレはシオリの元カレだと思われていたが、周囲にそう思われるように振舞っていただけで、実際には男女の関係には無かった。一方的に好いていたようではあるが、シオリに微妙に人間性を疑われており、何とも思われていなかった。色々と残念である。現在は持ち金もほとんど無く、端金を稼いでは酒につぎ込んで過ごす日々。



■ロヴェルト・ヴァレンティ・ストリィディア

 先代国王でアレクとオリヴィエルの父。享年43。

 上の二人の王子を不慮の事故で、王妃を病で亡くしている。

 オリヴィエルが歳を取るとこんな顔になるとアレクに評された容貌。素朴で家庭的な女性が好み。

 王太子時代、城仕えの侍女だった男爵家令嬢イェシカと恋仲だったが、身分が合わずに彼女から身を引き、別離の道を選ぶことになった。その後は身分の釣り合う令嬢を娶り、王子を二人儲けるが、ある時偶然再会したイェシカと関係を持ち、婚外子としてアレクが誕生することになる。

 ロヴェルト自身は外に作った妻子を愛し、可能な限りの支援をするつもりではあったが、イェシカの強い希望で見守る程度に留めるに至る。結果として苦労することになったイェシカが早くに病死し、アレクが孤児になってしまった事に責任を感じている。

 ちなみに、ほんの数週間程度の差で王妃がオリヴィエルを身籠ったのは、多分女の勘で「視察先でナニかあったな?」と察した彼女が「もう一人子が欲しいです」と迫ったからである。

 アレクを引き取る際には気合を入れ過ぎて上滑り、最悪の初めましてシーンを演じてしまった。この時の事はアレクが時々夢に見る位には恨まれている。まことに残念である。その後の努力でなんとか親子仲は改善された。ぎこちないながらも穏やかな関係だったようだ。

 死病に倒れ、一年の闘病生活の後に、残された二人の息子達の行く末と幸福を祈りながらこの世を去った。死後、匿名で雪菫の花束が届けられたが、ブレイザック経由でアレクが手配したものである。



■イェシカ

 ロヴェルトの元恋人で、アレクの母。元男爵家の令嬢。

 ロヴェルトとの身分差に悩んだ末に身を引くことを決意し、密かに城を去った。

 その後は修道院に身を寄せ、併設孤児院で子供達の世話をする生活を送っていたが、子供達と接するうちに自分の子が欲しいと強く願うようになる。偶々視察に訪れたロヴェルトと再会したことで封印していた恋心が燃え上がり、今宵限りであることを条件に関係を迫って一夜を共にし、アレクを身籠ることになる。

 勿論軽い気持ちからの行動ではなく、彼女なりにその後の身の振り方も考えた末の事で、ロヴェルトにも迷惑が掛からないように全ての援助を断った。しかし結果として無理が祟り、可愛い息子を残して病死した。



■フレードリク・フォーシェル

 ロヴェルトの側近。ザックとエドヴァルドの父。59歳で今でも健在だが、一線は退いている。

 18歳の時に夜会で知り合った名も知らない令嬢と酔った勢いで事に及び、彼女を孕ませてしまった。双方合意の上だったとは言え、非常に責任を感じている。後に引き取った子供にブレイザックという名を与え、16歳まで育て上げた。彼が家を出た後も時折手紙を交していたようである。

 アレクが出奔する際には彼と密かに連絡を取り合い、その後の対応にも関わった。



■レヴェッカ・ハロンスティン

 アレクの王子時代の恋人。現在は36歳。子爵家の令嬢で城勤めの侍女だった。

 最初は姉のような立場で傷付いていたアレクを労わっていたが、後に恋仲になる。若いながらも慎み深く、落ち着いた物の考え方が出来る娘だったが、王族からその身分に過ぎた寵愛を受けた事で不遜な考えを抱くようになる。

 将来は王子妃か公爵夫人は確実とまで思い込んでいたが、王位継承権争いの末にアレクが市井に下る事を決断したことで、田舎娘のサクセスストーリーが破綻して激高。彼にとって禁句とも言える暴言を吐き、彼氏の心に巨大な風穴を開けてしまった。アレクの「女嫌い」の直接的な原因は間違いなくこの人である。

 この暴言事件で体調不良のアレクに致命傷を負わせてしまい、お兄ちゃん大好きのオリヴィエルの逆鱗に触れて、王都への生涯立入禁止、つまり実質社交界からの追放を言い渡されて轟沈。

 しかし元々が良い子なので、その後はしっかりと更生してオリヴィエルの用意した縁談を受け入れ、某伯爵家の別邸で静かに暮らしている。夫婦仲は良好のようで何より。

 思うところがあって孤児院通いを続けているうちに、子供達からは「母ちゃん」と慕われるようになった。正直悪い気はしていない模様。

 


■下水道の爺さん

 緑色のスライム。下水道の汚水処理用に改良された大型のスライムで、領都トリスの下水道に配置されている。下水道に漂いながら、汚水を濾過しつつ趣味の沈思黙考に耽っている渋い爺さん。上げ前据え膳の生活を大層気に入っている。気に入り過ぎて、もう下水道から出る気はないようだ。気になる事がある場合は、過去に分裂した同胞に頼んでデータを送ってもらっているらしい。

 時々ルリィの慰問を受けている。

次回の「トリス支部通信・十二月号」の後は、ちょっくら忙しくなりますので更新速度が緩めになるかと思います。

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