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家政魔導士の異世界生活~冒険中の家政婦業承ります!~  作者: 文庫 妖
第7章 家政魔法の講習承ります

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28 登場人物紹介(第七章までネタバレあり)


■アレク・ディア

 本作男性主人公。とうとう35歳になってしまったが、シオリの美味しいご飯と夜の(自主規制)で実年齢より若々しい見た目。A級冒険者。魔法剣士。トリス支部所属。

 シオリの恋人兼パートナー。シオリが愛しくて可愛くてたまらない。愛しさのあまりベッドの上でのたうち回るほど。気分は完全に俺の嫁だが、同棲を始めて半年になるシオリとは未だにナニもない。たっぷり心行くまで触るだけ。触るだけ。ルリィにはもう忍耐力カンストしてるんじゃないかなと思われている。

 オリヴィエル王の異母兄で、本名はアレクセイ・フレンヴァリ・ストリィディア。ものの考え方や価値観は庶民に近いが、先王の庶子で王位継承権を持つれっきとした王族である。王位継承権争いを「穏便に」解決するために出奔し、世間的には行方不明扱いになっているというなかなか難しい立場の人。

 その言動と容姿からは想像もつかないが、結構泣き虫で甘えん坊である。また、ストレスで熱を出して寝込むことも。生来のものか生育環境ゆえかは不明。

 今回、小貴族の邸宅の二つ三つくらいならぽんっと買って、それでもまだ余裕があるほどの資産家であることが判明。最近は精力的に依頼を受けているので、さらに資産が増えそうである。

 現在は表舞台に復帰するために色々考え中。恋人のシオリや友人ルリィは勿論のこと、公爵家出身の兄貴分ザックや辺境伯に続いて、王国屈指の大商会を生家に持つ親友のクレメンスや、異母兄の元婚約者ナディアも良き協力者となった。人間関係で何かと苦労しがちな彼だが、なんだかんだで人脈には恵まれている。

 依頼をこなしながら、シオリと共同運営予定のシェアハウス用物件を探しているところ。しかしそうそう都合の良い物件が転がっている訳でもないので、こちらはまだしばらくかかりそう。

 シオリの「全てをもらい受ける」まで、こちらもまだまだしばらくかかりそう。



■シオリ・イズミ

 本作女性主人公。もうすぐ32歳。日本からの転移者。本名和泉詩織。B級冒険者。トリス支部所属。家政魔導士(の開祖)。

 アレクの恋人兼パートナー。同棲しているアレクとはナニもないが、散々味見はされている。なんなら自分からおねだりして彼を悦ば……喜ばせるようにもなったので、大した進歩である。アレクが愛しくて堪らない。甘えたり甘やかしたりする日々が幸せ。そんなシオリを見ているルリィも幸せ。

 以前一方的に敵対視されていたヴィヴィとは、多少のわだかまりを残しながらも和解した。お互いに苦手意識があるので多分一生仲良しにはなれないが、仕事仲間としては良好な関係を築いているようだ。

 家政魔法講座を通してその秘めた才能を内外に知らしめた才女扱いに困惑中。ついでに水葡萄をトリス支部に流行らせた元凶。お陰でトリス支部が最近匂い的な意味で甘酸っぱい。冒険者達が老若男女問わず、皆フルーティーな香りに。

 それはさておき、低級魔導士で低魔力ながらも大魔導士並みの練度と発想力を見せたシオリは、魔導士達に希望と可能性を与えた。しかし本人は、この後「教え子」の中から著名な魔導士や魔法研究家などを輩出することになろうとは露ほども思っていない。なんなら本人をヘッドハンティングしたいとあちこちの有力者から狙われていることなど、一ミリも気付いていない。

 一部の魔獣界隈で厄災の魔女などと呼ばれていることにも気付いていないが、たまにシオリを見て妙な反応をする魔獣がいるので、なんとなく「変だなぁ」くらいには思っている。

 (余談であるが、厄災の魔女の名を広めたのは、ホルテンシア洞穴の脳啜り戦を興味本位で覗き見していた穴倉鳥である。予告も警告もなしに始まった凄惨極まるSAN値直葬ライブに震え上がった彼は、注意喚起と称して拡散しまくっているようだ。ちなみにこの穴倉鳥は、アルラウネ(後の使い魔イール)の葉を食い過ぎ泡を噴いて倒れたあいつである)

 家政魔法教本と野営料理本の執筆やシェアハウスの企画で、忙しくも楽しい日々を過ごしている。後に著作を改稿再編集して出版した「フレンヴァリ夫人の家政魔法読本」や「家政魔導士の野営料理ハンドブック」はロングセラーとなり、冒険者や騎士を始めとした多くの人々に愛読されるようになる、らしい。



■ルリィ

 本作魔獣主人公。瑠璃色のスライム。スライムにあまり年齢は関係ないけど、一応五十代前半(推定)。シオリの使い魔兼友人兼害虫駆除業者兼アレクの相談相手。トリス支部に所属。

 大事な友達がずっと幸せそうにしているので、自分も幸せ。人里に下りてくる蒼の森の同胞も増えて、ますます楽しい今日この頃。

 市内在住のスライムと情報交換したり一緒に遊んだりすることと、たまに「連絡役」として辺境伯家にお使いに行くのが楽しみ。お使いついでに辺境伯とお茶しながら愚痴聞き役になることもあるが、シオリ達とは毛色の違う話が聞けるのでそれも楽しいと思っている。

 最近の趣味は宝物鑑賞。シオリからもらった綺麗な菓子缶(第二街区の老舗カフェ「フス・アフ・ゴディス」の贈答用焼菓子缶)に保管している「宝物」を、暇さえあれば眺めている。ぴかぴかきらきらしたものが特にお気に入りで、シルヴェリア産の火の魔法石や星魔鉱(シェナタイト)の欠片を眺めてはうっとり。近々同胞達と宝物の見せ合いっこをする予定。



■ナディア・フェリーチェ

 シオリとアレクの友人にして良き理解者。38歳。A級冒険者。上級魔導士。トリス支部所属。姐御肌でボンキュッボンの妖艶な長身美女。

 酒好きで枠。ユルムンガンド(ユル蛇)もびっくりの蟒蛇(うわばみ)である。

 冒険者業と美容の両立の研究に余念がない。シオリとの出会いを経て、良質な食事もまた美容に欠かせないものだと知り、好物である肉中心の食事から野菜や魚介類などもバランス良く取り入れた食事に改めた。お陰様で肌や身体の調子もすこぶる良い。

 魔力の高さと有効属性の多さ、冷静な判断力においてはトリス支部ナンバーワンの実力を誇る手練れの魔導士で、特に火属性の魔法が得意であることから「爆炎の魔女」と綽名されている。

 その二つ名と気風の良い姐御風の佇まいからは想像もつかないが、正体は旧リトアーニャ王国の侯爵家の末姫ナディアーナ・フェリクス・チェルナンドで、ストリィディア王家に嫁ぐ予定があった生粋のお嬢様である。

 しかし、婚約者に続いて故国の内乱で父と兄を亡くし、正義の名のもとに暴走した反乱軍による虐殺から逃れるために国外に脱出。内乱終結後は貴族制が廃止されたため、国籍とともに貴族籍を失ったという過去を持つ。ナディア同様、このとき国外に疎開していた多くの貴族子女が、貴族の義務を果たさなかったとして「国外追放処分」となった。(なお、はっちゃけた反乱軍の無茶ぶりには異論を唱える者も多く、故国に見切りを付けて国外脱出した国民は貴族階級だけには留まらなかった。人口の流出は戦後も続き、リトアーニャは内乱の犠牲者を含めて人口のおよそ三割を失っている)

 その後十年ほど放浪生活を送り、二十代の初め頃にストリィディア王国に流れ着いて定住した。婚約者との死別から二十五年を経て、ようやく新しい恋を始める気になったようだ。勿論相手は銀髪の歩く不憫である。

 シオリとアレクにも出自を明かし、隠し事なしの関係になった。

 なお、身分を失った現在もオリヴィエル王とは密かに連絡を取り合っており、互いに「義姉上」「オリーヴ(リトアーニャ式の愛称)」と呼び合う仲。



■クレメンス・セーデン

 シオリとアレクの友人にして良き理解者。36歳。A級冒険者。双剣使い。トリス支部所属。(不憫が)滴るような美形でヒロイン気質。同僚のナディアとはゆっくりと愛情を深めているが、多分クレメンス×ナディアじゃなくてナディア×クレメンス。

 本名はクレメンス・ホレヴァ。セーデンは母方の姓。生家は王国屈指の老舗ホレヴァ商会で、いずれ経営陣に名を連ねる予定だったが、婚約絡みのトラブルから家を出ている。色々と思うところはあるが、冒険者稼業もなかなか楽しいと思っている。子会社の冒険者用品専門店エナンデル商会の設立にはクレメンスも関わった。

 アレクとは同期で親友。彼がどこの何者だろうと生涯の友だと思っている。アレクの誕生日では彼への変わらぬ友情と感謝、祝福と祝いの酒を捧げた。ついでにアレクの正体も「シッテイルヨ」と暴露した。

 ナディアと同様に酒好き。強い酒をゆっくり楽しむタイプ。不吉酒コレクションは全廃棄済み。 



■ザック・シエル

 シオリとアレクの兄貴分でトリス支部のギルドマスター。もうじき41歳。S級冒険者。剣士。公爵家当主エドヴァルド・フォーシェルの異母兄で、二十五年前に事故死した第二王子の元側近でもある。第二王子の婚約者だったナディアや公爵家出入りの商人の息子クレメンスとは少年期からの付き合い。

 シオリとアレクに続いてクレメンスとナディアも一緒になりそうなので、良かったなぁと思う今日この頃。しかし肝心の彼には春が来ない。それなのにまるで息子のような立ち位置の使い魔を迎えてしまって大丈夫なのかと周囲に心配される始末であるが、いい男なのでそのうちきっと春は来る。

 大の虫嫌いだが、虫捕りが得意な使い魔ブロゥのお陰で快適な日々。それどころか虫好きのブロゥの相手をしているうちに、地味に虫嫌いが改善されつつあるような気がしている。だが黒いお前、お前だけは駄目だ。



■ブロゥ

 ザックの使い魔でルリィの同胞。空色のスライム。蒼の森出身。推定年齢約10歳。虫捕りの腕を買われてザックと使い魔契約した。虫嫌いなのに頑張って自分の相手をしてくれるザックが大好き。害虫駆除頑張るよ!

 ザックとは正反対で大の虫好き。様々な虫の居場所や出没時期を把握していて、ほんの少しのお出掛けで珍しい虫や「落とし物」を見つけてくることも多々ある。

 最近買ってもらった昆虫図鑑は宝物。外国の珍しい虫まで網羅されていて大興奮。暇さえあれば眺めている。読まないときは、自分専用の木箱にほかの宝物と一緒に大事に保管している。



■ヴィヴィ・ラレティ

 シオリとアレクの後輩。19歳。D級冒険者。中級魔導士。トリス支部所属。

 高い魔力の持ち主で新人時代は将来を嘱望されるほどだったが、自惚れた傲慢な態度で周囲に疎まれ孤立。その後一方的に敵視していたシオリと刃傷沙汰のトラブルを起こし、C級から降格処分となった。

 諸々から逃げるように組合(ギルド)を退会して郷里に戻っていたが、郷里の人々の温かさに触れ、姉に諭されてようやく自らの罪を受け入れるに至った。シオリに謝罪した後に組合(ギルド)に復帰。初心に返ってやり直すことにしたようだ。

 シオリの家政魔法講座を経て自らの至らなさを再実感。半年前の事件後に亡くなった友人の墓参りを済ませた後は、地道に修行と勉強を続ける日々を過ごしている。

 こつこつ頑張っているうちに魔法研究に目覚め、やがて論文を書き始めるほどはまってしまい、晩年は魔法工学の権威的存在になるなんて思いもしない。シオリが与えた影響は計り知れない。



■ニルス・アウリン

 シオリとアレクの同僚。A級冒険者。薬師兼医師。この春に33歳になった。

 医師免許を持つ薬師で、同僚(アレク)のカウンセリングもするほか研究論文をいくつも発表している大変有能な男。最近は精神医療分野の勉強を本格的に始めたうえに家政魔法にも興味を覚え、さらなるスキルアップを目指している向上心溢れる男である。後年は某夫妻が創設した冒険者養成所やトリス魔法工科大学で、教鞭をとることになるかもしれない。

 メンタル不調を抱えているシオリとアレクを案じている。最近は二人が癒されつつあるどころか、それはもう大変に幸せそうにしているので、良かったなぁなんて思っている。

 使い魔イールを愛でながら薬学研究やら勉強やらに精を出す日々。



■イール

 薬師ニルスの使い魔。ホルテンシア洞穴出身のアルラウネ。洞穴では古老相当。推定六十歳前後。

 普段からとにかくぐうたらしているイメージしかないが、ぐうたらしながらもニルスの仕事を見てきっちり調剤を覚えていた模様。少なくとも薬効たっぷりな自分の身体を原料とした薬は作れるようだ。しかし、ちょっと効き目が良過ぎるので濫用できないようにお値段は高め。というか生来のぐうたらなので、よほど気が向いたときくらいしか調剤はしない訳で、市場に出回ることは滅多にない。

 もし彼と取引したいなら魔力回復薬を持っていくと良いだろう。在庫があったならば、相応の薬と交換してくれるはずだ。



■エレン・オヴェリ

 アレクとシオリの同僚。B級冒険者。治療術師で外科医師免許を持つ才媛。27歳。

 穏やかな物腰で森の精霊ドライアドに喩えられるほどの美貌の淑女――と思いきや、口を開くとなかなかに切れ味が鋭く、本気で怒ると東方の悪鬼も土下座で命乞いするほど恐ろしい形相になるという。

 エレンのように医師資格を持つ治療術師は大変貴重で、騎士隊や教団からたびたびお誘いがあるようだ。しかし組織に縛られずに自らの意思で医療活動をしたいので、制限があまりない冒険者組合(ギルド)に所属している。

 遠征に出るほかは組合(ギルド)の医務室や近隣の診療所で臨時の医師として働いているが、そろそろ自分の診療所が欲しいなぁと思っているので、頑張って貯金中。エレンほどの美貌なら、パトロンがついていくらでも資金援助してくれるのではないかと下品な揶揄いをした冒険者が以前いたが、噂の「悪鬼も号泣しながら命乞いするほどの形相」で撃退して以来、迂闊なことを口にする者はいなくなったという。



■カイ・シャンヴァリ

 アレクとシオリの同僚。A級冒険者。武闘家改め魔闘士。26歳。

 魔導士から肉体派の前衛職に転職したという異色の経歴の持ち主で、武闘家ながら上級魔法も使える万能ぶり。転職時に適当な職業がなかったために一度は武闘家登録したが、シオリに教えられた「魔闘士」というジョブ名が気に入って「再転職」した。

 東方(ファ)帝国由来の気功術(魔法)を取り入れた東方武術を繰る武闘家で、シオリの魔法が気功術に通じるものがあると指摘した経緯から、一部界隈では家政魔法と並んで注目を集めている。もしかしたらそのうち新たな魔闘士が誕生するかもしれない。

 シオリとともに東方の技術の可能性を知らしめたようだ。



■シグルド

 魔闘士カイの使い魔。吹雪猫。年齢不詳。

 絶滅傾向にある少し珍しい種類の魔獣で、魔導士時代のカイと意気投合して使い魔契約した。背中に羽らしき器官があるが、退化していて飛ぶことはできない。が、カイの影響で気功術を覚え、短時間の低空飛行ならできるようになった。しかし正確には飛んでいるのではなく、放出した魔力の反動で動いているだけ。普段は普通に歩いている。

 シグルドの宙を飛ぶ技術は戦闘時こそ威力を発揮する。魔力で加速して高速で動き回りながら、鋭い牙と爪で抉っていくその戦い方はまるで鎌鼬のようだとシオリには思われている。

 輸入食品店「カセロ」でごく稀に売られている煮干しがお気に入り。特別なときのおやつとして大事に取っておいている。



■ヨエル・フリデール

 シオリとアレクの同僚。B級冒険者。上級魔導士。トリス支部所属の26歳。

 家政魔法講座で初心者に負けて悔しいぃぃぃぃぃぃ! とキレていた人。能力は決して低くはないのだが、万年中堅クラスのような位置付けから脱出できず、ここ数年はずっと悩んでいた。自分には何かが足りていないことに気付いてはいるが、何が足りないのか分からず延々と悩み続け、とうとう受講中に爆発してしまった。

 低級魔導士のシオリに対してやや批判的な目を向けていた一人であるが、努力の人であることにもきちんと気付いていた。ただちょっと認めたくなかっただけ。

 自分の特性と目指す方向を見つけてからは、ひたむきに頑張る日々。水葡萄を使った修行に妙にはまってしまい、もりもり精度アップしているところ。精度アップし過ぎた水魔法で戦闘中に魔獣ごと大木をぶった切ってしまい、すぐそばにいた同僚に「俺を殺す気か!」と大層怒られたという……。

 ちょっぴりドジっ子で妬み深いところもあるが、根は素直なので同僚には案外可愛がられている。

 最近は魔法研究倶楽部を発足し、魔法論議や新技研究を仲間達と楽しんでいるようだ。シオリとアレクが計画しているシェアハウスにも興味津々。



■イクセル・ヘイグバリ

 シオリとアレクの同僚。A級冒険者。上級魔導士。トリス支部所属の26歳。

 知識量は標準的ながら、戦闘センスが優れているのか本能的に「次に何をすべきか」を察して行動に移せる大変器用な人。そのうえ明るく朗らかな人柄で、彼の周囲にはいつも人が溢れている。同い年のヨエルからは一方的にライバル視されていたが、最近の彼は落ち着いているのでなんとなく嬉しく感じている。

 最近は暇さえあれば図書室に籠っている模様。雑学集的な本を好んで読んでいる。



■ダニエル・クロンヘイム

 シオリとアレクの同僚。A級冒険者。トリス支部では五指に入る上級魔導士。トリス支部所属の52歳。

 見た目は渋く、中身はチャーミングなイケオジ。孫がいるおじいちゃんで、自分より若い女性には「ちゃん付け」してしまうところがちょっぴり玉に瑕。しかしそれが嫌味にならないところは、彼の人柄によるところが大きいかもしれない。

 補助も攻撃もなんでもこなせる万能型で、若い頃は前線でもがんがん戦えたアグレッシブな魔導士だったが、近年では年のせいかあまり激しい動きができなくなってしまった。なので、最近は支援一本で仲間をがっちりサポートしている。

 シオリの家政魔法講座を経て、久しぶりに探究心に火が付いた模様。仕事の合間にちまちまと新技開発に勤しんでいるようだ。勿論孫を可愛がることも忘れない。孫娘超可愛い。



■マデレイネ・ティレスタム

 シオリとアレクの同僚。B級冒険者。支援型の中級魔導士。29歳。

 のんびりのほほんとしたお姉さんで、周りにも振り回されないマイペースな癒し系。仕事はきっちりやるので、誰とでも過不足なく組める人材として重宝されている。

 意外と大食いらしい。「魔法ってカロリー使うのよ」が口癖とかなんとか。シオリの唐揚げを一度でいいから大皿いっぱい食べてみたいと思っている。



■レオ・ノルドマン

 北方騎士隊第四後方支援連隊所属。ブロヴィート村駐屯騎士隊の元隊長。44歳。

 生真面目で忍耐強い努力家。平民出身で見習い騎士から叩き上げで駐屯騎士隊の隊長職に就いたが、雪狼襲撃事件で利き腕を負傷して剣が持てなくなってしまった。傷病退役か事務方への異動を迫られていたところを、同期の男に引き抜かれて後方支援部隊の世話になることに。

 三十年近い騎士生活で築いたキャリアを捨てざるを得ない状況にはさすがのレオも精神的に参ってしまったが、同期の粘り強い説得(&叱咤激励)や家政魔法講座で似たような境遇の人々と言葉を交わすうちに、前向きに物事を考えられるようになった。

 家政魔法の完全習得と部下の育成に励む日々を送っている。

 単身赴任のお父さんで、トリスに妻子がいる。長女は今年中に嫁に行くらしい。お父さんはちょっと寂しい。



■モニカ・オスブリング

 トリスヴァル辺境伯夫人。41歳。三児の母。近隣の小領主の庶子で移民との混血。

 大恋愛(辺境伯談)の末に結婚した夫とは今でも穏やかな愛情を育んでいる。

 福祉活動に熱心で特に児童福祉や女性支援への関心が高く、多数の慈善団体に出資している。自ら会長を務める団体もいくつかある。

 結婚前は北方騎士隊の魔法兵で、有事の際には自ら私兵団の指揮を務めることも。

 しかし最近は疲れが取れにくくなってきたので、義理の娘に仕事を少しずつ引き継いでいるところ。

 一段落したら温泉に行きたいと思っている。足湯に浸かりながらスライムと戯れるのもいいかしらなんて思ってみたりもしている。



■クリストフェル・オスブリング

 トリスヴァル辺境伯。もうすぐ42歳だけどあまり考えたくない。ザックの友人でアレクの兄貴分的存在。シオリの後援者でもある。

 大変な愛妻家で、恒例行事のように語られる出逢いの物語は完全にクリストフェルの主観で盛りに盛っているという噂。しかしラブラブなことに変わりはないので、夫人も大目に見ている。なんなら満更でもない。

 たまにお使いでやってくるルリィやブロゥと「お茶」するのが密かな楽しみ。思ったよりも会話が成立するので、愚痴を聞いてもらったり、ちょっとした情報交換をすることもある。この間は野生の冬桃が自生している場所を教えてもらったので、旬の季節になったら妻のために採りに行こうかと考えている。

 シオリとアレクのシェアハウスにも興味津々。あの二人らしいな、と微笑ましく見守っている。



■バルト・ロヴネル

 名門ロヴネル家当主の腹心で幼馴染み。そろそろ27歳になりそう。ロヴネル家の傍流の男爵家出身。

 祖父ヴェイセル・ロヴネルのやらかしのこともあって、ここのところずっと働き詰めだったので、見かねたアンネリエに「ついでにちょっと息抜きしてらっしゃい!」と家政魔法講座の引率係に任命されてしまった。雪崩騒動に巻き込まれて災害支援の指揮を執るはめになったものの、久しぶりの友人に会ったり、珍しい魔法を沢山見たり、エクレフ村の郷土料理を食べたりとそれなりに羽を伸ばした様子。

 手帳にヤエ・ヤマブチの肖像画と彼女からもらった菓子の包み紙を大事に挟んでいる。たまに眺めてはにこにこしているので、アンネリエとデニスには「そうなんだ!?」と驚かれている。食べっぷりのいい男が好みなヤエも満更でもない、らしい。



■エクレフ村の猟師団

 ニコラウス・リネー、アドリアン・オーデンバリの二名を中心とした精鋭の猟師グループ。狩りだけでなく、自警団のような仕事も請け負っている。

 村人達の信頼も厚いが、慣れからくる油断で大変なことになってしまった。自らが囮となり若手を逃がしたリーダー格の爺さん達が婆さんの元に旅立ってしまったので、再編成しているところ。二度とこんな失敗を起こさないように、今回の事件は代々語り継がれるようになったという。



■ラネリード夫妻

 シオリとアレクの同僚。魔法剣士のルドガーと槍使いのマレナの夫婦。ロヴネル領出身。

 夫のルドガーがヴィヴィの亡き友人シーラ・アンデルの指導教官だった縁で、夫妻で墓参りに同行することになった。

 あんなことになる前にもっとできることがあったのではないかと今でも若干引き摺っているが、世の中どうにもならないことも多々あるので何とも言えないと周りには慰められている。

 ヴィヴィにはシーラの分も長生きしてもらいたいと祈る日々。その祈りが届いたのかどうかは分からないが、彼女は立派な功績を遺して天寿を全うしたようだ。勿論彼らも夫婦揃って大変長生きしたらしい。



■ハセリウス夫妻

 アレク馴染みの鍛冶屋を経営する夫婦。アレクの理想の夫婦像。

 夫のボトヴィットは腕のいい鍋職人で、界隈のご婦人方は大抵彼が作った鍋を使っているらしい。しかし時折高価な素材を使って鍋やフライパンを作ってしまうのが玉に瑕。先日も本来は武器に加工する月魔鉱(モネタイト)で超高級鍋を作ってしまい、妻のソルヴェイに呆れられていた。買い手がつかないままオブジェにしてしまうところだったが、幸いシオリが「マイ武器」として買っていったので、ほっと胸を撫でおろしているところ。

 妻のソルヴェイは表向きは包丁鍛冶職人だが、知る人ぞ知る剣の名工。アレクの愛剣も彼女の手によるものである。凄味のある赤毛の美女で、若い頃は求婚者が後を絶たなかったというが、彼女の心を射止めたのは、金属ならなんでも鍋に加工できる腕前を持つ鍋職人ボトヴィットだった。ソルヴェイの髪色に似た炎鉄鉱製(保温性抜群)の鍋を差し出し、「お前のためにこいつでコカトリスの(好物の)ワイン煮込み(シチュー)を毎日作ってやる」とプロポーズしたボトヴィットに即落ちだったとかどうとか。

 家族には食い物に釣られただけではと揶揄されているが、本人達は幸せそうなので良しとする。



■上官

 北方騎士隊第四後方支援連隊連隊長。レオの同期で三十年来の友人。43歳。

 士官学校には行かず下っ端から連隊長にまで成り上がった叩き上げの騎士。生真面目なレオとは正反対のウェイ系だったが意外に馬が合い、見習い時代はずっと彼とつるんでいた。正騎士に任命されてからは部隊は別になったが、たまに示し合わせては一緒に飲みに行ったりしていたようだ。

 雪狼襲撃事件で身体を張って戦い、剣が持てなくなってしまったレオを自分の部隊に引き抜いた。友人の憔悴ぶりには心を痛めていたが、今では精力的に働いているので本当に良かったなぁと安堵している。



■さすらいのスライム

 下水道の爺さんの同胞。二代前の個体が同一。人間でいえば従兄弟に当たる関係。

 出無精の従兄の代わりに各地を放浪して情報収集している渋い緑色のスライム。各地の珍しいものを見たり聞いたり食べたりしては、爺さんに情報を送っている。

 外国にも興味があるので、次の旅は少し長くなるかもしれない。

 最近気に入った食べ物は北海オオミズダコの串焼き。せっかくだから長旅のついでにまた海の方にも寄ってみようかなぁと思っている。


コカトリス「たまに肉屋で売ってるよー。専用の鍋でじっくり煮込むとトロトロだよー。鴨肉みたいに味が濃くて美味しいよー」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 人物紹介なのに裏話や将来のこともちらほら出るので楽しく最後まで読み切ってしまいます。 こういった裏話を知ると、より生きた人間(魔獣)として応援したり共感したり微笑ましくなったり感じる事が出…
[気になる点] 穴倉鳥のせいで風評被害を受けたシオリンがそれを知ったらどうするのだろうと気になりました
[一言] 鍋はやっぱり武器だった・・・ SAN値直葬のバリエーションが増えて、そのうち魔物も避けて通る様になるんだろうなぁ
感想一覧
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