15 サーチ&レスキュー
シオリ達捜索隊が目指すのは雪崩の発生区だ。
ユルムンガンドの雪中への侵入口はこの発生区付近に集中していることが多く、巣穴はその近辺にある場合がほとんどだからだとアレクは言った。
「スノールムの性質を受け継いだのか、ユルムンガンドは夜行性なんだ。だからよほどのことがない限り、日中は巣穴にいるはずだ。大抵侵入口近くの薄暗い木立や洞窟に巣を作るから、もし村の猟師が奴らと遭遇したとするなら、その近くの可能性が高いんだが……」
そこで一旦言葉を切ったアレクは、眉尻を下げて少し困ったような表情を作る。
「実際彼らが最終的にどこにいたのか全く情報がないからな……」
「雪崩に巻き込まれたかもしれない、魔獣と遭遇したかもしれない、だもんね」
目撃者はなく、恐らく通ったであろうルートの一部が雪崩被害に遭っているという事実があるだけだ。全員が無事で活動中の可能性も捨てきれず、何の情報もない状況で全長七百メテルにも及ぶ雪崩の走路を全て捜索するというのは、あまり現実的ではないようにも思えた。
けれども「無事かもしれない」というのもやはり可能性の一つに過ぎず、「探しながら上を目指すしかないだろうな」というアレクの最終判断には皆異論はないようだった。
「二次災害の危険もあるし、日没までそれほど時間がある訳でもない。生存者の救助とユルムンガンドの討伐を優先しよう」
それはつまり、特別な事情がない限り犠牲者の捜索と搬送は行わないということだ。それ以上の捜索は、遅かれ早かれ駆け付けるであろう騎士隊がやってくれるはずだ。
――雪崩発生から二時間が過ぎ、生存率は大幅に低下している。
けれどもこの世界には魔法や魔導具があるし、使い魔という頼れる仲間もいる。向こうの世界と比べれば、こちらの世界の方がまだ生存率は高い。だから犠牲者がいなければ良い、せめて雪崩に巻き込まれていなければ良いとシオリは願った。
「道中は何があるか分からない。まずは俺達全員が無事帰還することが大前提だ。緊急時には別行動になることも考えて、ペアを作ろう。奇数人数だから、余った者は使い魔がいないペアに入ってくれ」」
二次遭難を防ぐためには必須ともいえる。中堅以上の顔馴染みだけで構成される今回のパーティでは特に大きな問題もなく、すぐに前衛後衛のバランスを考えたペアが決まった。勿論シオリはアレクとペアだ。補助要員のルリィとブロゥも、勇ましくぷるんと震えた。
「リーダーは俺が務めさせてもらう。サブリーダーは――」
「それは俺がやるよ」
手を挙げたのは武闘家のカイで、サブリーダーもなんなく決まった。
並び順は先頭がリーダーのアレク、二番目がパーティ内で最も経験が浅いシオリだ。その後ろに同僚が続き、最後尾がサブリーダーのカイとそのペアのナディアとなった。
「遭難者の捜索はシオリが中心で行う。頼めるな」
「了解」
「ほかに魔法による探索に参加できる者はいるか? 精度は問わない。対象の大体の位置が分かればいい」
アレクの問いに、数人が手を上げた。精密な魔法の扱いには自信がある者ばかりだ。
「よし、じゃあ頼まれてくれ。魔力の回復は逐一行うこと。途中体調に不安があったら遠慮なく言ってくれ。少々強行軍になるし、特にシオリは講義の後でもあるからな」
「うん、分かった」
「目視での捜索なら俺に任せてよ。視力と木登りには自信があるんだ。木の上から探せるよ」
武闘家カイの申し出はありがたかった。弓使いのリヌスと同じように山育ちで人並み外れて視力が良い彼は、数百メテル先が余裕で見えるらしい。
「そういうことなら頼む。あとの人員は遭難者の持ち物が落ちていないか気を配ってくれ。それから周囲の警戒を。ルリィ、ブロゥ。それからシグルド。お前達も頼むな。異変があったらすぐに報せてくれ。場合によっては救助者の搬送を頼むことになるかもしれんが、大丈夫か?」
任せてくれと言わんばかりに二匹のスライムがぷるるんと震え、吹雪猫はぴこぴことひげを揺らした。
「討伐対象と遭遇した場合は迷わず応戦。火魔法と雷魔法が有効だが、雪崩を誘発する恐れがある。難しいとは思うが、最大限の注意を払ってくれよ」
「了解」
「よし、では出発しよう」
救助用の折り畳み式簡易そりや信号弾、救急用具を抱えた一行は、上を目指して歩き出した。
遭難者が残した足跡を追って東の低い尾根を進むルートは、標高差約二百メテル強、総距離はおよそ千五百メテル、所要時間は一時間前後の道だ。ただしこれは雪がない場合で、雪道ではさらに時間が掛かる。
そのうえ、登山道の入口付近は雪崩でなぎ倒された木で広範囲が塞がれ、序盤から大きく迂回しなければならなかった。結局予定を前倒しして小休止する羽目になり、旅慣れているはずの一行は若干疲れた顔で前方を見つめた。
ここまでに人の気配はなし。カイも「見える範囲に特に変わったことはないなぁ」と首を振った。スライムの性質上死肉には敏感なルリィとブロゥも、小型魔獣の死骸を二体見つけただけだ。
「ここらにも足跡が残っている。このルートを通ったのは間違いなさそうだが……」
山腹を横切る巻き道よりも低い位置にある足跡は、雪崩の走路から数メテル程度しか距離がない。これでは尾根伝いというよりは谷沿いに歩いたと言った方が正しく、アレクは幾分疲れたように溜息を吐いていた。
「ここまで雪崩は来ないだろうと油断していたのか。気持ちは分かるが……」
起伏の激しい尾根道より、緩やかな斜面の方が歩きやすいことは確かだ。けれどもこの距離では万が一のときには避けられない。数十から数千トンもの雪が、馬が全速力で駆けても逃げられないほどの速さで押し寄せるのだから。
「さっき村の人に聞いたんだけどさ」
カイが誰に言うでもなく口を開く。
「今までにも狩りの途中で何度か雪崩に遭ったことがあったらしいんだよね。規模が小さくて毎回怪我人も出なかったから、この山じゃあ悪くっても膝下が埋まるくらいの雪崩しか起きないって認識が村では根強かったみたいだね」
「土地勘があるからこその油断、ですか。難しいですね」
それでも足跡の様子から、時折谷に下りて雪崩の兆候を確かめていたらしいことが伺えた。その足跡の持ち主は道まで引き返すと、そのまま仲間達とともに上へと向かったようだ。
「この辺りにはいないみたいだね」
「ああ」
そして少なくともまだ魔獣と遭遇してもいない。足跡に乱れはなかったからだ。
休憩と水分補給を済ませ、再び歩き出してからしばらく行くと、巨岩と大木で雪崩の一部がせき止められ、雪が深く堆積している個所があった。こういった場所には遭難者が埋まっている場合が多いといい、念入りに探索することになった。
ルリィとブロゥが早速雪の中に潜り込んでいく。
それまで歩いていた吹雪猫のシグルドも、ふわりと浮き上がって周囲を飛び回った。
――吹雪猫は本来飛ぶことはできない魔獣だ。背に小さな羽らしき器官を持つが、それは退化して既に飛ぶ機能を失っているという。そんなシグルドがこうして飛ぶことができるのは、カイの影響らしい。
「東方武術の流れを汲む技の中に、足裏から魔力を放出して跳躍力を補強するっていうのがあってさ。それの練習をしてるうちに、一緒に覚えたらしいんだよね。あんまり長い時間は無理だけど、ちょっとしたときに便利なんだよ」
探索の合間にカイはそう教えてくれた。
「――東方武術って単純に体術だけじゃなくってさ。初級技からほとんどが気――東方武術における魔力のことだよ――で成り立ってる。気を練り上げることでようやく技が使えるようになるんだ。これを初めて知ったときには驚いたよ。魔法は魔法だって思ってたから、体術と組み合わせて一つの技にするだなんて、目から鱗だった。だから、ただ単に魔法という括りで可能性を狭めるのは勿体ないと思ったんだ」
元は魔導士だった彼が、後方支援であることにもどかしさを感じて体術を独学で学び始め、その過程で東方武術に関する書を読みのめり込んでいった――魔法を操る武闘家カイ誕生の切っ掛けだったという。
「今日講義をじっくりと見させてもらって思ったんだけど、シオリの魔法って東方の気に通じるものがあるんだよね。どうだい、家政魔法の練習に気功術を取り入れてみたら」
「それは面白そうですね。もしかしたら武闘家……魔闘士仲間も増えるんじゃないですか?」
「だと嬉しいなぁ。組手の相手が欲しいって思ってたところだし」
そう言って小さな笑みを浮かべたカイだったが、ぐるりと周囲を見回して眉根を寄せ、溜息を吐いた。
「……まぁでも、広範囲に気を送り込むのは俺でも相当練習しないと難しいな」
その視線の先には、一区画の探索をどうにか終えてぐったりと腰を下ろしている同僚の姿がある。
「それでも棒でつつき回すよりはずっと楽よ」
「その通りだ。今回のように、最後にどこにいたのか分からんような場合は特にな」
彼らはそう言って苦笑すると、物憂げに雪野原に視線を向けた。
結局この場所でも期待した成果は得られず、一行はさらに上を目指すことになった。
――雪山を歩き、要所ごとに足を止めて遭難者を探すというのは、探索魔法があったとしても骨が折れる作業だ。
そのうえところどころで雪が解けて足跡が消え、足取りが分からなくなることもあった。その都度視力に自信があるというカイや使い魔達の活躍で事なきを得たものの、たびたび中断される道行きは根気を要求された。
三度目の小休止を迎える頃には、さしもの冒険者達にも色濃い疲れが見えていた。最終目的地まであと十数分ほどの距離だというのに、アレクですらも疲れを隠し切れずにいる。
ルリィとブロゥも心なしか元気がなく、与えた使い魔用の焼菓子をのろのろと取り込んでいた。
目の前に広がる堆積物の探索が不発に終わり、失望と疲労感でシオリはその場に座り込む。その背を支えるようにアレクの腕が回され、促されるがままに身体を預けると、疲れでそのまま微睡みそうになった。
「……大丈夫か? 疲れただろう」
「うん。さすがにちょっと疲れたかな……結構幅が広くて」
「そうだな。俺も少し疲れた」
同意する彼の声にも覇気がない。
探索範囲は広大だ。この場所はまだもう一区画残されているというのに、心が折れそうになる。
「……いないね……」
「そう……だな」
魔法や魔導具があってさえ、二時間以上経過した今では生存率三割を切る。この雪の下のどこかにはいるのかもしれないが、もうこの世のものではないのかもしれない。
そんな暗い考えが胸の奥にじっとりとした不快感を生み、やる気を削いでいく。
「……もう少し効率よく探せたらいいんだけど」
疲れで探索魔法そのものの精度が落ちているかもしれないという焦りもあった。
トリス西の森で迷子探しをしたときとは訳が違う。あのときはほぼ平面での探索だったけれど、今は数メテルの深さに堆積した雪の中を探す作業だ。平面をスライドさせて探索するやり方には限界がある。
「もっとこう、立体的に一度に探せたら……」
「焦るなシオリ。ここまでの探索だって異例の速さで終わらせてるんだ。お前も、皆も十分よくやってる」
アレクの励ましは単なる慰めではなく、本音であることは分かる。けれどもいくつもの人命が掛かっていると思うと、どうにももどかしい。
歯噛みしながら辺りを見回したシオリは、ふとある一点で視線を止めた。枯れた蔦が絡み付いた立木だ。その葉が落ちてしまった丸裸の立木のシルエットは、まるで体内を巡る毛細血管のように、細かく複雑な模様を空のキャンバスに描いている。
酸素や栄養素を隅々まで行き渡らせるために、身体の末端まで張り巡らされた全長十万キロメテルに及ぶ毛細血管――。
「――そうだ。あんな感じにしたら……」
深呼吸したシオリは、探索範囲に意識を集中した。指先から伸びた魔力の糸が、真っ白な雪の上に蜘蛛の巣のような不規則な網の目を描いていく。その網の目からさらに、細い糸を複雑に絡ませ合いながら下方向へと伸ばしていった。
毛細血管を模した立体探索だ。
「これは……」
その作業を無言で見守っていたアレクは目を瞠った。何かを言おうとして口を開きかけ、そして思い直したようにそのまま黙り込む。探索の邪魔になるからだ。
――およそ十秒弱。広く深い範囲を探っていた産毛のような糸の先が、何かに触れた。弱々しくも温かい、これは人の――。
「誰かいる!」
シオリの叫び声にアレクが素早く反応した。
「どこだ。深さは」
「ここ。一メテルはなさそう。もしかしたら、二人いるかも」
そこには雪崩の衝撃で圧し折れた数本の立ち木があった。その下に人のものらしき気配がある。魔法を駆使して圧し固められた雪を取り除くと折れた木の下に岩があり、そこに空間があることが窺えた。隙間から矢筒や剣の鞘らしきものと、雪に塗れた外套が見えた。
「いたぞ!」
「急げ!」
手練れ揃いの魔導士達にとって雪を掻き分けることなど造作はなく、間もなく雪の下から折り重なるようにして倒れた二人の男が助け出された。
誰からともなく安堵の溜息を漏らす。
折れた木と岩、装備品によって十分な空間が確保されていたこと、そして温石や保温性の高い魔獣素材で体温の低下が抑えられていたことで、どうにか生き延びていたようだ。どうやら流される途中で運良く岩陰に落ち、さらには咄嗟に装備品で防御したらしかった。
けれども二人のうち年嵩の男の顔色は土気色で、呼吸が浅い。どこか負傷しているようだ。
「これは多分、左腕と足首を折ってるな。途中で立ち木か何かにぶつかったのかもしれん」
「頭や身体を打たなかったのは不幸中の幸いだったな」
幸いもう一人の男は無傷のようで、幾分顔色が悪い以外に目立った問題はなく、呼吸も安定していた。
ルリィとブロウが彼らの下に潜り込み、そっと安全な場所に運び出す。
骨折の手当てや保温などの応急処置を施し、広げた簡易担架に男達を固定した。
「岩陰に落ちたときに咄嗟に装備を雪除けに使ったんだな。さすが山の男というべきなのかどうか……」
雪崩に遭遇した場合の対処法は、冒険者組合でもしつこいほどに教わった。
手足を動かして可能な限り浮上すること、顔面を覆って呼吸できる空間を確保すること、途中の岩や木に掴まるなど、とにかく埋まらない努力をしなければならない。
けれども実際に巻き込まれて冷静に対処できるかどうかは、シオリにも分からなかった。
彼らが雪崩が予想される現場付近を歩いたことについては反省の余地が有り余るほどにあるだろうが、土壇場での冷静かつ迅速な行動は、素直に称賛すべきだとシオリは思った。
「ほかの連中もこの近くにいるかもしれないな」
「もう少し探してみる?」
「そうだな……」
シオリの問いに、アレクは思案するように山の上へと視線を向けた。けれども何かの気配に気付いたのか、不意に背後を振り返る。その視線の方向には、こちらを目指して飛んでくる小鳥の姿がある。それもただの鳥ではない、魔獣に分類される類いのものだ。
皆も気付いていたようで、既に得物に手を掛けていた。しかし敵意は感じられず、注意深く様子を伺う一行の頭上をくるりと旋回したその小鳥は、やがてアレクの肩に止まると「きゅいきゅい」と可愛らしい声で鳴いた。
「使い魔か。手紙を持っている」
脚に括り付けられた紙片を広げて視線を走らせたアレクは、「なるほど」と呟いた。
「下からの連絡だ。下流域で要救助対象一名、使い魔一匹を救出。幸いすぐ意識を取り戻して、遭難者の最終目撃地点を報せてくれたようだ」
小さな歓声が上がる。生存者救出の一報はさらなる希望を与えてくれた。
けれども、「少なくとも一人は未知の蛇型魔獣二匹との交戦で瀕死の重傷、自力歩行不能」の報には、皆険しい顔だ。
やはり、彼らは問題の魔獣と遭遇していた。それも二匹。
「最終目撃地点はロサシェナの谷、東の尾根の真下。雪崩の起点から見て、尾根を挟んだちょうど真裏だそうだ」
ロサシェナの谷はこの尾根の反対側の谷だ。なだらかで見通しの良いこちら側の谷とは違い、木々が鬱蒼と茂る薄暗い場所だという。淡い紅色に光るロサシェナの花の開花時期でもなければ人が入るようなところではないというが、村人にとっては重要な狩場なのだそうだ。
「雪崩の発生区から尾根を挟んでちょうど真裏……か。ここから歩いて十数分といったところだな」
「尾根の向こう側かぁ……そりゃ、さすがの俺でも見えんわ」
「でも、こっち側の谷に逃げてきたかもしれないのよね。現に三人見付かったんだし」
残る遭難者はあと三人。一緒に逃げたのだとすれば、残りの遭難者も付近にいる可能性はあるが、数人がかりで探索したこの場所にはもう生存者の気配は感じられなかった。
「どうする? もう少し探してから移動する?」
「ユルムンガンドのことがなければ二手に分かれたいところよねぇ」
「小屋を噛み砕くような攻撃力だからなぁ……」
なかなか難しい状況だ。ユルムンガンドとの交戦の可能性があることを考えれば、二手に分かれた人数では少々心許ない。もし生存者がいるとすれば、護衛しながらの戦闘になるからなおさらだ。むしろ分かれるべきではないというのが共通の意見だった。
「……救助された三人の発見個所はどちらも尾根の西側に沿った場所だ。思い切って探索範囲をこの尾根沿いに限定し、探しながら上を目指すことにする――というのはどうだ?」
アレクの提案には皆少し悩む様子だったが、「日没までそう時間がある訳じゃないからね。妥当なところだと思うよ」というナディアの後押しもあって、最終的には全員合意した。
救助した男二人の搬送は、ルリィに頼むことになった。機動力が高いルリィなら迅速に村まで運び、そしてすぐに引き返してくることができるはずだ。先導役と連絡役は、下から報せを持ってきた小鳥が引き受けてくれるようだ。
ナディアが「要救助対象保護」を報せる信号弾を撃つ。打ち出された光球は、山裾のエクレフ村で待機する騎士が気付いてくれるだろう。
「お願いね、ルリィ。それから小鳥さん、これ、発見場所のメモ。下にいる人達に渡してください」
二人を括り付けた担架ごと体内に包み込んだルリィは、任せて! とばかりにぷるるんと震え、伝言を携えた小鳥は「きゅい」と一声鳴く。
「ブロゥ、よく見て覚えておけよ。ザックの使い魔なら、今後こういう仕事を任されることがあるだろうからな」
アレクがそう言うと、興味深そうに一連の作業を見守っていたブロゥは空色の触手をふるふると振った。「分かったー!」ということのようだ。
小鳥の先導で斜面を滑り降りて行くルリィを見送った後は、沈黙がその場を支配する。けれども一瞬で思考を切り替えたシオリ達は、互いに頷き合うと上を目指して歩き出した。
ユルムンガンド「巣穴の前で全裸待機」
ルリィ「デフォルトで全裸じゃん」




