20 登場人物紹介(第五章までネタバレあり)
■アレク・ディア
本作男性主人公。もうじき35歳。A級冒険者。魔法剣士。トリス支部所属。シオリの恋人兼パートナー。最近シオリと同棲を始めた。毎日が薔薇色。彼女を抱き締めて眠るのが好き。
本名アレクセイ・フレンヴァリ・ストリィディア。現国王の異母兄。色々あって十八年前から身分を隠して生きている。シオリには正体を気付かれているが、互いにまだ口に出してはいない。
希少種魔獣脳啜りに二度も捕まってぺろぺろされた挙句に幻覚まで見せられた悲運の人でもある。その幻覚で自身の少年時代の失敗を突き付けられ、この問題を解決しないことには先に進めないと自覚した。十数年ぶりに元カノと会うことを決意する。会ってくれるかは分からないけれど。
S級昇格の打診を諸々の理由で断っていたが、ホルテンシア洞穴での依頼を経て考えを改め、自身の立場をより強固なものにしようと前向きに検討するようになる。大聖堂や辺境伯に「天女」や「聖女」として注目されるようになったシオリを護るためには、力だけではなく立場や名声が必要と考えたようだ。いずれは彼女を妻に迎え、正式に「元の名」を名乗るつもり。
良くも悪くも根は真面目で真剣に捉え過ぎるところがある。しかし名実共にむっつり助平で、同棲を始めたシオリを風呂場でしょっちゅう味見している。味見し過ぎだからアレクもシオリに味見させればいいとルリィには思われている。シオリが味見をしたかどうかは知る人ぞ知る。
薬師のニルスの店で買い物をするときには、運動と称して床をのたうち回っている使い魔イールを極力見ないようにしている。
■シオリ・イズミ
本作女性主人公。31歳。日本からの転移者。B級冒険者。家政魔導士。トリス支部所属。アレクの恋人兼パートナー。最近アレクと同棲を始めた。毎日が幸せ。彼と寄り添って眠るのが好き。
アレクにはしょっちゅう風呂で「味見」されている。しかしシオリ曰く味見ではなく「完食に近い」ようだ。
この世界で巻き込まれた事件で心身共に大きな傷を負うが、アレクや周囲の人々のお陰で大分癒えてきた。
アレクには雲上人か何かだと思われている。
基本的には非常に穏やかで優しいがキレると怖いとはルリィの弁。大事な恋人のアレクをいたぶった脳啜りにぶち切れ、特製唐辛子オイルを頭からたっぷり浴びせた恐怖の家政婦。手先が狂ってうっかりアレクも巻き添えにしなくて良かったと密かに思っている。
薬師のニルスの店で買い物をするときには、運動と称して愉快な踊りを踊っている使い魔イールを見るのを楽しみにしている。
■ルリィ
本作魔獣主人公。蒼の森出身の瑠璃色なスライム。年齢は数えていないのでよくは分からないが、多分五十歳前後。スライムにあまり年齢は関係ないけれど。シオリの使い魔兼友人兼害虫駆除業者。アレクとも友達。トリス支部に所属。
シオリと共にアレクと同居を始めた。毎日が楽しくて幸せ。シオリとアレクの傷が癒えて、もっといっぱい幸せで楽しくなればいいなぁと願う日々。
寄り添って眠る二人の上に、布団のように乗っかって眠るのが好き。
最近好物にアレク特製の燻製が加わった。いつか大蜘蛛の燻製を作ってもらうのが夢。
ニルスの使い魔イールは新しい友達。運動を勧めて教えたはいいが、そういえば植物系魔獣って運動して健康になるんだろうかとなんとなく疑問に思っている今日この頃。
■ニルス・アウリン
アレクとシオリの同僚。A級冒険者。薬師兼医師。32歳。
本業は薬師で薬局を経営しているが、医師免許も持つ街のお医者さんでもある。冒険者組合や付近の施療院で患者を診ることもある。基本後方支援なのでシオリ同様あまり目立たないが、実は発表した論文のいくつかは有名な医療系雑誌や学術専門誌に掲載され、教科書にも採用されたことがあるなど研究者としても非常に有能な男である。
四年前にシオリが保護された当時の主治医。暁の事件後にも途中から主治医としてシオリを診ていた。シオリの異変に早い段階で気付いていながら見過ごしてしまったことをずっと悔いている。
シオリ同様、アレクも何らかの心の傷を負っていることに気付いており、密かに気遣っていた。幸せそうな二人を見守りながら経過観察する日々。
シオリの事件を切っ掛けに精神医療分野にも興味を持つようになる。
最近使い魔契約したアルラウネのイールが可愛くて仕方がない。仕事中も寝るときもずっと一緒。風呂にも一緒に入るが何故か最近妙に体調と肌艶がいい。湯にイールの薬効成分が滲み出ているのかもしれない。
■リヌス・カルフェルト
アレクとシオリの同僚。A級冒険者。弓使い。28歳。朗らかで話し上手なムードメーカー。
食用になる動植物や魔獣に詳しく、彼を連れていくと食事が大変豪華になる。シオリとリヌスがいるパーティには同行希望者が続出とかどうとかいう噂。
主な仕事は食材ハント。トリス市内の有名店をいくつもお得意様に持っている。第二街区の公園通り沿いにある高級料理店雪菫荘は上得意で、一部の料理人とは飲み仲間。リヌスのお手製燻製は彼らの間では大人気。
最近アレクとシオリに触発されて恋人が欲しくなったようだ。好みのタイプはギャップのある女性。
■エレン・オヴェリ
アレクとシオリの同僚。B級冒険者。治療術師で外科医師免許を持つ才媛。27歳。
治療術師や医師としては非常に優秀。医師免許取得のために冒険者業を休業していた期間がある。数年内にはA級に昇格するのではないかという噂。
暁の事件で傷付いたシオリをずっと案じていた者の一人。ホルテンシア洞穴への旅でシオリと入浴した際、彼女の身体の傷を初めて知り衝撃を受ける。傷の様子から暁の事件時に付いたものと察したエレンは、彼女の主治医であったニルスと共に、同僚としてだけではなく医師としても見守っていくことを決意する。
普段は森の精霊ドライアドに例えられるほどの淑やかな美女だが、怒ると東方の魔獣「鬼」や「般若」も裸足で逃げ出すほどの恐るべき形相になるという噂。実際同僚のリヌスは彼女の怒りの形相を見て仰け反ったほど。
最近アレクとシオリに触発されて恋人が欲しくなったようだ。好みのタイプは朗らかで話し上手で気遣い上手で仕事熱心な男性。理想は高い。普段はヘラッとしていても仕事中はキリッとしていると胸キュンらしく、つまりはギャップ萌え。実は既に想う男性がいるのではないかという噂も。
■イール
ニルスの使い魔兼友人。ホルテンシア洞穴出身のアルラウネで、洞穴では古老扱いだった。年齢は面倒で数えていないのでよくは分からないが、多分六十歳前後。
とにかく面倒くさがりで葉っぱの先まで地面に埋まってだらだらしていたら、うっかり数十年経ってしまった。それでも洞穴の仲間達の勧めで年に一、二回ほど土の上に出て歩いたり、誰かに運んでもらって移動していたらしい。なので意外にも洞窟の中の様子には精通している。
面倒が過ぎて過去に二度ほど「良き友人」になれそうな相手を逃している。が、本人は眠りこけていて気付いていなかったが、実は逃した「友人」は正確には四人である。どうしようもない。
四度目にしてやってきた「友人」の仲間には幸いなことにスライムの連れがいたため、これと交渉して土中から引き出してもらい、ついに「友人」との邂逅を果たす。
友人兼主人となった薬師のニルスとの生活は、食事に専用の寝床で昼寝付きと好待遇過ぎて毎日が薔薇色らしい。世話になりっぱなしなのもアレなので、たまに根や葉を彼に提供したり薬草探しを手伝ったり、店番したりしているようだ。
ニルスの家で初めて風呂に入り、その心地よさの虜になる。風呂のない日にはがっかりして葉っぱが萎れるほど。遠征時には野営地で風呂を作ってくれる家政魔導士のシオリがいるとテンションアゲアゲになる。
健康のために一日一回の運動を自身に課している。しかし床の上で根をばたばたさせるだけなので、一見するとのたうち回っているようにしか見えない。
マンドレイクの上位種で洞穴の古老なのに、残念極まりないアルラウネである。
雪狼「味見……」
雪男「味見……」
イール「ほとんど完食……」
脳啜り「あれか? パスワード申請式か!?」
ペルゥ「もう諦めなさいよ」
(´ー`)
次回から新章です。




