日常 2
宜しくお願いいたします。
騎士団訓練場にやって来た。シャベールは確かに絵里に騎士服を用意してくれていた。用意してはくれたのだが・・・・
「なあ、シャベールさんよ、用意してある服がこれってどうよ? 変やん!」
「仕方ないよ、絵里のサイズの騎士服は流石に在庫にないよ。今作成中さ。僕ので我慢してよ。でも、凄く可愛いよ!」
そう言ってつかさず絵里を抱き締める。
「ちょっっ、抱きしめやんといて、・・・もう、頭に頬擦りしやんといて。」
「いや~、このサラサラな髪もいいよね~、身体のサイズも僕の腕にぴったりさ」
すると前方より足音が近づいてくる。 「お~いシャベール、遅かったじゃないか。絵里は」
「あっ、その声はヒース!、ヒースここ、私はここにおるよって」
シャベールの後方から、ヒースや騎士団の面々がやって来た。どうやらシャベールの腕の中に閉じ込められてる状態のため絵里には気付かなかったようだ。絵里はひょこっと顔だけ覗かせる。
「おい、シャベール、昨日皆で話し合っただろ。絵里を離せよ」
ヒースが近づきざま厳しい声を出すと、あっさりとシャベールは絵里を解放した。
「わかってるよ、でも絵里の香りにやられたわけじゃ無いんだから、これはいいんだよ。抱擁さ」
そう言って振り向きざま絵里の横に並び立つ。
「何勝手な事言っ・・・・・絵里、ちょっと待て、なんなんだその格好は、危険だ!ダメだ! いやらしくて可愛すぎる!」
ヒースが叫ぶ。他にも「うおぉ~」やら「絵里様~」やら「可愛い!!」やら等々、顔を真っ赤に染め上げる者や目を見開く者、様々な反応だが、皆一様に歩みを止めた。
が、直ぐ皆一様に歩みを早めた。我先にと絵里に向かって走り出す。
絵里を見た皆の反応は仕方の無い事だった。シャベールが用意した騎士服は身長192㎝ある自分の物。当然絵里には大きすぎる為上着だけでワンピース状態。ズボンなんて履いても足の長さの違いを思い知らされるだけで,何の役にもたたなかったので止めた。長い裾が邪魔なだけで、あっけなく用なしと判断し、他に無いのかと問いかけたら、あっさりとクリスティンの半ズボンを渡された。
今は上着にベルトのみ、ズボンはクリスティンの小さな時の半ズボン。
当然長い上着に隠れてズボンは見えてない状態で絵里のスラッとした綺麗な足が上着から見え、袖口は捲り上げ華奢な身体が強調されている。ましてや小柄な身体に対してしっかりとサイズのある胸がベルトをした細い腰により強調され、女性らしさを醸し出している。
絵里は騎士達の勢いに押され、とっさに踵を返し逃走しようとしたが隣のシャベールにがっつり腰を抱き抱えられ、逃走はあっけなく失敗に終わる。
「何処に行こうとするの。今から絵里の楽しみにしていた昼食だよ、さあ行こうか」
「お腹が空いたで早くお昼を食べたいけど、先ずは下ろして」
「駄目だよ、皆絵里を押し潰しそうな勢いだからね。このままで」
確かに厳つい身体の皆が一斉に自分に向かって来る姿を少し怖いと思ってしまった絵里は、今回は渋々ながらシャベールに従った。だが、皆がシャベールだけ狡いと、皆に代わる代わる抱き上げられ、城に勤める者が誰でも利用できるお食事処、いわゆる食堂につれていかれた。お腹が空いていた絵里は逆らう気力もなくしされるがままになっていた。
絵里を抱き上げる順場の争奪戦が食堂までの道のりで繰り広げられ、その騒ぎを聞き付けたというラキスやアラスロンまでもが普段は来ない食堂にやって来たので、周りの女性たちは色めきたった。
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