待ち続ける者
ある古城、ボロボロになった外壁の補修を行う人ならざる者。
それは今日も忙しそうに動き、彼が仕える家族が帰ってくるのを待っている。
昔崩れた腕と脚は違う岩石を使って直し、自己回復に近いもので歪になることもなく直った。
ふと空を見上げ、たまに上空を飛び交う鉄の鳥を見て彼は時間というものを自覚する。
「まだでしょうか…」
彼が支えた人は全員消えた。
今では過去の話だ。
あのとき言った『世界を滅ぼす』。
あれから500年は経ったのに世界は滅びない。
この城に迷い込む人間を追い払うのも、家庭菜園をするのも苦痛になる。
そう思いながらもセイレンは、せっせと食べない畑を耕す。
あの時から何も変わらない。
この城に時間は止まったままだ。
呪いの効力だってシエラが居なくなった今では無いのと同じだ。
なのに、唯のゴーレムは機能を停止せずに同じ毎日を繰り返す。
それと同時にこの城に巣食う亡霊達も呪いを持続させる。
迷いの森も、その力を失わない。
彼らは全員待っている。
この森の主人で、この城の主人。
その家族が戻ってくる事を。
花が揺れ、何度も咲き乱れ、どんなに森の外が変わろうとも。
その城が変わるかもしれない、その希望を抱いて。




