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むかしばなし  作者: 瀬木御ゆうや
夢のような時間
35/91

救国の王子

やぁやぁ

急に現れた私だ。


…何で急に現れたかって?

これからシエラは本を読むというお話だからさ。

彼女はどうせ知っているお話を飛ばすはずだ。


知ってる話を飛ばすからこそ彼女から知りたい?

あははは、それも合っているね。

当時の彼女がそうしていれば私が彼女の行動を説明しながらしていただろうね。


でも、彼女は飛ばすよ。

それどころじゃなくなるからね。





さて、私が話す夢物語のシエラが好きな御伽話の始まり始まり〜。



-------------------------------------------------------


むかしむかし。

それは騎士という言葉よりも戦士と言われた時代。

1つの国で災いが起こった。

悪しき神、聖書にも書かれない『名前無き神』が全てを手に入れようとその国の外れに現れた。

だが、1人の勇ましき者が神を自らの知恵と勇気で倒し、この世界から消すことに成功する。

闇が晴れ、騎士と皆から讃えられ国では夜通しで宴が行われた。


だが神は死んではいなかった。

一時的に世界から離されただけだった。

神は自らを信仰していた狂信者の身を神通力で変え、悪しき呪われた竜にした。


竜は宴の最中だった騎士と民を殺し、再び国を絶望のどん底へと落とした。

国の民や王もこの竜には勝てないと諦めていた。

そんな時だった。


「私が倒してみせます」


そう言って王の息子、国1番の剣の達人である王子が自ら行くと王や臣下に伝えた。


これには王も臣下も戸惑った。

王は元々王子だけは他国に逃すように計らっていた。

聡明な王子を失うわけにはいない。

もし国が滅んでも1つの国を興すほど聡明で武に秀でた強者だったがため、王はなんとか説得するが。


「悪しき竜を倒すのが私の神命です。例えこの身が及ばなくとも、悪しき神に少しでも我が怒りと心の痛みを思い知らせるのです」


王子は竜の討伐に出た。

竜が住処にした山に向かって。

その道中、全能なる神が王子の目の前に現れた。


「弱き人々を統べし勇敢なる王よ、私はあの悪しき神を罰する者。安心しなさい、我が力を持ってあの悪しき神はこの世界とは違う世界へと追放した。しかし、あの竜はこの世の悪全てを統べし者だ。我が力では理りを消すわけにはいかない」


「あぁ神よ、悪しき神を追放したこと深く感謝します。竜は私が倒すのでお任せ下さい」


「そういうわけにはいかない、あの竜はこの世の悪だ。人間が1人で適うものではない」


神が威厳のある声で答えると王子は神に問う。


「私の国は絶望に陥っております。私が生きて帰ってこずに負ければ戦う者も出てこない、しかしてこのまま帰っても落胆するのみ。この一戦に全てを賭けたいのです」


「おお勇ましき人の王よ、私は貴方のような人を待っていた。その剣の腕を施したのは間違いではなかったようだ」


神は王子にまじないをかけた。


「私は貴方に施しを授けます、我が万能の神通力を貴方に譲ります。これを持って悪しき竜を討伐するのです」


神は王子に万能の神通力を授けた。


それは炎を操り。

それは水を浮かばせ。

それは大地を隆起させ。

それは空飛ぶ鳥を自由に使役する。

10万もの神通力を王子に与えたのだ。


王子は神に感謝し、神は満足そうに彼の前から去る。

王子はこの力を持って竜に挑む。



竜が黒き炎を吐くと、王子は大地を割り海無き地に大海を作り出す。

竜が炎を消され海から離れようと翼を広げ空に飛び立つと、王子は大海に浮きながら剣を振るうだけで遠い空にいる竜の翼を両断し再び大地に落とす。

竜が鋭い爪で襲い掛かれば王子は透明な盾で防ぎ。

竜の憎悪ある咆哮には王子も幾千もの山を超える咆哮で打ち勝つ。


この戦いは8日間も続き、様々な神通力を持って竜の体力を削る。

王子は強かった。

竜も強かったが、王子の神通力の前には何も歯が立たなかった。


最後には全ての脚を斬られた竜がボロボロの大地に転がるのみだった。

そんな竜に王子は名剣を何度も突き刺す。

硬い鱗も今では紙切れのように斬れる。


王子の一心不乱の斬り込みに、竜は息も絶え絶えの声で言った。


『人よ、おぉ人よ。私も人の身だったからこそわかるぞ、この力は神通力だな、しかも我が主を追放せし憎むべき神が与えたものだ、おぉ、人では勝てぬとその力を使う貪欲さ、まさに、人よ』


「黙れ悪よ、わが国と平和を脅かすモノよ、最後は神通力無しのこの剣で貴様の命を摘み取る」


『おぉ、やはり人だった。この横暴な考えこそ人よ、それが滅びの命取りになるのだから』


竜の挑発に乗った王子は竜の体を切り刻むのをやめ、竜の顔に向かって剣を突き立てる。

息の根を取ろうと思ったのだ。

その瞬間を竜は逃さず、ボロボロになった牙と顎を動かして王子の下半身を食い千切った。

だが神通力を使った王子は残った力で竜を切り刻みこの世から滅した。


傷を神通力で治そうとするが竜の牙は呪われていた。

呪いは神の神通力を弾き、傷をより酷くさせる。

王子は自身の死を悟り、神通力で生命を維持しながら何処かにいる神通力を与えし神に告げる。



「ありがとう神よ、私の国を救う力を与えてくれて。私はすぐに貴方の元に行きます、私の魂は一生貴方に仕えます」


そう言い残しながら王子は息絶えた。



竜が滅んだ事により滅亡の危機から救われた国では王子を称え、三日三晩夜通しで民も王も関係なく涙を流した。


救国の王子。

その勇姿は後世まで語り継がれるだろう。




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ちゃんちゃん♪


どうだったかい。

これが御伽話の内容さ。

あのお嬢様が好きになる内容には思えないだろう。

そりゃそうだ、そもそもあのシエラにはこんな勧善懲悪モノは似合わない。

むしろ嫌いで燃やす代物だろう。


でも彼女はこれが大切な本だった。

彼女の思い出にもあった。

彼女は狂気に染まりながらもこの本の思い出は色褪せていなかった。



な?

不思議だと思うだろ。


では夢物語を始めよう。

彼女の…シエラが抱くモノの答えを。

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