私がやる
身体が殺すのを欲しているのにシエラ自身が罪悪感を感じた殺人から4ヶ月が経った頃。いつも通り殺人を終えて後始末をセイレンとベオに任せていた時だった。
「もーシエラ様ってば、死体の臓物あまり撒き散らさないでくださいよ。片付けるこちらも大変なんですから、埋めたりとか本当に労力と時間を喰いますし」
不意にベオが言った一言が彼女の何かを変えた。
それはほんの一言でただの不平不満だったはずだ。
けれど、シエラにはそう聞こえなかった。
それは毎回殺人の際に泣いてるのを知っているとすら疑った。
だがその一言にはそんな意味合いもないだろうし、そもそもベオは気づいている様子もない。
いつも通り業務に励みながらシエラには笑顔を向ける。
それは普通だった。
だからこそ、シエラは…
「うるさいわね」
それはいつも通りの強気な態度だ。
「殺してバラバラにしたくらいで喚かないでちょうだい」
いつも通りの虚勢。
いや、本心に似た虚勢か。
「全く使用人のくせに、生意気で、うるさい」
こうも言うくせに、こうも偉そうなのに。
「あなたみたいな不死が私に仕えるのならもう少し程度を弁えな」
本当は怖い。
一番怖い相手。
「…それにしてもそうね」
あぁ、それでも。
言わなくちゃいけない。
「死体の処理は、殺したものがするのが道理よね」
罪が払拭できるのなら。
この狂気の内に芽生えた感情を少しでも消せるのなら。
「なら、今後は私が死体を処分するわ。あなた達は何もしなくていいわよ」
だからこそ、シエラは言えた。
その言葉を。




