悔い
それからシエラは考えが変わった。
あの状態になった時に抱いた恐怖を隠しつつ、毎日顔を合わせるベオにいつも通りの態度をとった。
いつも通り、いつも通り、いつも通りの毎日。
代わり映えのない毎日。
それでもあの日からベオに対して恐怖を抱くようになった。
殺されたのに、内臓を外に出されたのに、騙したのに。
どうして怒らないのか。
聞くこともできず、さらにモヤっとする。
疑問を抱え考えていく毎日。
それ以降の殺害も手が浮ついた。
森に迷いこみこの城に現れた者たちの殺害が楽しくなかった。
体は喜んでいるのに、私自身が楽しくなかった。
それでも逆らわずに殺していった。
何人も、何十人も。
刺して斬って刺して斬っての繰り返し。
それでも以前の笑みはない。
虚しさのみしか感じない。
シエラの殺害行為から狂気が減って次第に罪悪感が高まる。
胸が裂けそうだった。
何百回も見た人の死にゆく姿。
それが、頭から、目から離れない。
耐えられない。
1人で殺す時だけ泣き、自身の行いを悔いる。
誰にも聞かれずに、誰からも許してもらえないのに、それでも精一杯誰にも聞こえない声で暗い殺害現場で必死に悔いた。
殺された気持ちなんてちっとも分からないのに。