表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
むかしばなし  作者: 瀬木御ゆうや
夢のような時間
18/91

5千年の先輩

セイレンが城の広間にある暖炉に薪を足して火の勢いを上げる。


その広間には焚べる石像の他に2人の男女の姿があった。



「…何だか驚かしてしまって申し訳ないです。せっかく泊めていただいたのに気味の悪いものを見せてしまって」


「いえ、こちらこそ…その…刺し殺してごめんなさい」



お互いに頭を下げて謝る不死者。

その姿にセイレンが苦笑して言った。



「悪いのはお嬢様でしょう、お客人は何も悪くはないですので安心してください」



ヒュン


と風を切る音とともにセイレンに一本の剣が突き刺さった。

シエラの愛剣だった。彼女が申し訳なさそうに落ち込んだ顔をベオに向けながら放ったのだ。


セイレンはそれでも口元を抑えるようにして笑うと、石の体に刺さった剣を抜き取って丁寧に床においた。



「まったく、お嬢様は癇癪を起こすとすぐに周りを傷つけて壊してしまう。私でなければ何人死んでいたことか」


「あんたに出会のがもっと早ければ使用人全員を殺さなかったんじゃないかなって少しは思ってる。その前に黙って薪を焚べていなさい」



嫌味を言われて嫌な気分になったシエラは目の前の光景に目を丸くするベオの顔に気がつくと、コホンと咳を一回してから改めてシエラは話を始めた。



「それはそうと、あなたも私と同じ不死なのよね?」


「そ、そうですね…」


「何年」


「はい?」


「不死になって何年だって言ってんのよ!!」



シエラの質問に不可解な顔になったベオにシエラは少し声を荒げて復唱する。

ベオはびっくりした様子で「5千年ぐらい…その前の記憶は無いから知らない…」と答えた。


5千年。

それはシエラよりも先に不死になり長い間生き続けてきたことに他ならない。

目の前の自分よりも長生きの不死者の存在に驚いて声も出なかったが、ベオは両手を振って恐縮し始める。



「イヤイヤイヤイヤ!! 私は生まれつき不死でそれ以外に取り柄もなくブラブラと世界を旅していただけです! むしろ霊薬で不死になったシエラさんの方がとても珍しく羨ましいですよ!…しかも美しいですし」


「…はぁ? 私はあの石ころを作った錬金術師に無理やり不死にされてこの城に閉じ込められてるだけよ! あー本当に頭にくる!!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ