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化物達の理想郷  作者: 同田貫
偶像崇拝
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星詠みの巫女

魔族達率いるリーゼが、北部連盟として大いに、祝いの場を提供している中、ネルト帝国は沈黙していた。

帝都の大通りには、喪に服す者が大勢おり、国民の腕には黒の喪章がつき、嘆き悲しみ、ルクセニア帝の冥福を祈っている状況であった。


帝国の大黒柱たる、ルクセニア帝が急死してしまったため、誰が国の舵取りをするかで、後継者候補が乱立した。

ルクセニア帝の直系である弟君、ルバルフ卿が臨時で帝位を注ぐという形で、情勢は沈静化してゆく。


だが、ルクセニア帝の死因がはっきりとわかっていないのが不気味であった。


長引く戦の心労がたたった、帝王の血縁者による暗殺、はたまた御使いに呪い殺されたなど、一度は落ち着きを取り戻していた首脳部が、混乱の坩堝に陥ってしまい、指揮系統が中央と地方で完全に寸断され、命令伝達に支障がでていた。


困り果てたルバルフ卿は、中央教会に存在する星詠みの巫女に助けを求める。


聖女と対を成す存在であり、常に中立を掲げ、中央教会と帝国の橋渡し的存在であり続けた。


氏素性はまったく不明だが、性別は女性であり、長命な寿命を持つエルフの純血種ということだけが知れていた。


一説によると、天魔戦争以前より存命であり、光の神より人の行く末をつぶさに観察する任を受けた、エルフ種の現人神でもあった。


帝都郊外にある、星詠みの巫女の屋敷に、騒がしい客人が訪問したのは、それからすぐのことであった。


「星詠みの巫女様!どうか、どうか我々帝国臣民に明確なる導を示してください、我らは今太陽を失い、進むべき道を見失っています!何卒!何卒ーっ」


「…ルバルフ、頭を上げなさい。闇雲に悲観したところで、状況は好転いたしません。それにルクセニアは、天寿を全うした果報者なのです。なにも後ろめたき事はありませんよ?それよりもですルバルフ、無闇に他者に帝位を譲ってはなりませんよ、情勢が落ち着くまで死守なさい。無闇に譲渡しては騒乱のもとです、ゆめゆめ忘れないように…」


「それは誓って星詠みの巫女様!しかし私は、軍務ばかりしていた生粋の軍人であります。政治の事はどうも疎くて…、なにか良い策などございませぬか?」


「ルバルフ、君は幼少の時より困ったら私に頼る癖がある。それは悪癖だ、以後正すように。ただ君の願いを無下にはしないよ、東西南北の各大将軍を帝都に召集し、方策を立てなさい。さすれば現状を打破する光となりましょう。勇者や聖人達にも声をかけるように…」


「かしこまりました巫女様!必ずや確実に実行すると、このルバルフがお約束いたしましょう。しかし痛いところを突かれました、相変わらず手厳しさ恐れ入ります。このルバルフ、決意を新たに…」


おほん!

不意に響く咳払いに、ルバルフは言葉を中断し、巫女様の言葉を待つ。


「ルバルフ、話は短く明確にと、いつも言っているだろう。まったく、そんな調子で大丈夫なんでしょうね?」


朗らかに笑う星詠みの巫女に、ルバルフは苦笑いしながらに退出する。

そこへ、入れ替わるようにエルフの神官が、巫女に近づき真剣な眼差しを向けて、質問を投げた。


「星詠みの巫女様…、前回の星詠みの儀の結果、あれは真ですか?この先に逃れられぬ結末があるとは一体?」


「あぁ本当さ、紅き妖星が煌めく時、周囲の星々が紅き光に侵食され、紅き光がより一層に輝きを増し、やがて最後は、紅き妖星と青き新星が儚く消えるとの告げがでた。これすなわち宿命だろう、妖星と新星はそのまま、御使いと勇者か、あるいはそれに近しい存在だ…。互いに互いを喰らい合う、星々の記憶のままに、歴代の者達と同じ運命さ」


御使いと勇者、互いに互いを滅ぼす存在であり、天敵である二人。


「その話、詳しくお聞かせ下さい。星詠みの巫女様、私は知りたいのです」


勇者マークと仲間の聖人が、そこにはいた。巫女様に今後の事を相談しにきた、矢先の事であった。




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