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化物達の理想郷  作者: 同田貫
偶像崇拝
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魔都イールガルでの論考褒賞(後編)

魔族の各軍団の兵士達や魔都の住民達が、続々と魔都イールガルの練兵場に集まり、論考褒賞の刻を待つ。


普段自分達の指導者てあり、求心的な存在である御使いや業魔将が、一堂に会して姿を現わすのは稀であり、滅多にない機会に兵士達や住民達は目を輝かせて論考褒賞に臨んでいた。


やがて論考褒賞の開始の刻限となり、続々と練兵場に各軍団の実力者達が姿を現すと、興奮がピークに達していた。


最初に姿を現したのは、第一軍団のエンリエッサであり、その後ろに腹心であるマトや、プリメールとプリメーアが静かに付き従っていた。

エンリエッサ達は、気さくに手を振りながら、第一軍団の整列する列の最前列を目指し、着席する。


第一軍団は、エンリエッサを含め華やかな晴れ着姿であり、祝いの場としての格好であった。


「見てエンリエッサ様方よ!あれがマト様と…、後ろの方々はどなたかしら?誰か知ってる人いる?」


「名前は知らないが、今回の王国への増援の際、帝国相手に大活躍だったそうだ…。俺が聞いた話じゃ、あの片割れの一人は、生命力そのものを奪うんだそうだ、力尽きるまでってさ」


「そんなまさか、あんなに可愛らしい白い奴のほうか?」


「どっちかはわからん、だが二人共エンリエッサ様の懐刀だろうな。頼もしくもあり、恐しくもあるよ俺はさ」


口々に噂話がされる中、エンリエッサ達は入場を終え、各軍団の入場を笑みを浮かべながら待っていた。


続く第二軍団を率いるバンネッタ達は、まさに完全武装の位で立ちであり、戦場にでも向かう様子であった。

バンネッタが堂々と列の最前列へ向かい、副官のティナも後に続く。


第三軍を率いるイシュガルが、一際大きなゴーレムを連れながら、礼服に身を包み、歩を進めてゆく。

各軍団の軍団長のカラーが如実に現れており、派手な演出であった。


最後に御使いであるリーゼが壇上に登りきると、あたりは独特な緊張感が漂い始め、ただ静寂だけが場を支配した。


そしてリーゼが言葉を紡いでいく。


「親愛なる友人であり、家族であり、同胞であり、我が父闇の神の眷属たる魔族の諸君!我らは、辛き長き戦いに耐え、こうして再び相見えた。諸君、よく生き残ってくれた!私はとても嬉しく思う、先の戦は偶然が重なった事もあるが、魔都イールガル防衛が成ったのは必然である。まずはみんな、ありがとう!」


「リーゼ様に栄光あれ!」

「我らが魔族に永久に祝福を!」

「闇の神万歳!リーゼ様万歳!」

「人族に滅びを!勇者には死を!」


途端に歓声の大合唱となり、拍手喝采の嵐となる。

感動のあまり泣き出す者が、ちらほら出始める中、さらにリーゼは続ける。


「私一人では到底太刀打ちできなかった、そこで今回活躍めざましい者達に褒賞や二つ名を授与し、明日への励みとし、より一層の献身を皆に期待する!呼ばれた者は壇上の前へ、ではまずは第一功、エンリエッサ、バンネッタ、イシュガル三名の業魔将!」


「いつも私を支えてくれて感謝する、業魔将達には、それぞれに直轄の領地と、宝物を五点ずつ進呈する!これからも頼むよ、期待している」


「もったいなき御言葉」

「感謝の極み!」

「我らはリーゼ様の影にて…」


「うん、殊勝な事だ。では続いて第二功、マト、プリメール、プリメーア、リビングデッド、ハーピー三姉妹それぞれ前へ!儀礼剣一振りに、二つ名を進呈する!これは業魔将達との合議により決定した、今後はこの二つ名が重要な意味をもってくる。抑止力としてその名を活用するように!」


「「ハハッーー!」」


【鉄鎖】 マト

【簒奪者】プリメール

【収奪者】プリメーア

【三羽烏】ミミイ・メメイ・ヌメイ

【影法師】ハッポウ・フトッチョ・チビ

ネコゼ・ホソミ


第三功、第四功に各軍団の部隊長や兵士長が呼ばれ、粛々と論考褒賞が進められていき、終盤にさしかかる。


「では最後に、魔族、亜人の新兵諸君は一歩前へ!初陣をよくこなした、初陣は死傷率が高まるまさに鬼門なのだ。それを乗り越えた君達には、私から記念品だ!大事にしてね?」


新兵達に配ったのは、澄み切った青いバラのコサージュであった。


自分達に、記念品があるとは思ってなかった新兵達は、どぎまぎした手つきで、リーゼから直接受け取っていく。


そんな様子に先輩の兵士や、熟練や古参の者からは、野次を飛ばしながら、暖かく激励し、会は厳かに閉会した。

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