表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
化物達の理想郷  作者: 同田貫
広がりゆく戦火
90/171

人魔の交わる都市にて

都市リーゼガルド防衛隊は、ローガルド要塞からの伝令の到着を、今か今かとやきもきして待っていた。


ローガルド要塞はいまや北部連盟の重要な戦力拠点となっている。

もし仮にローガルドが陥落したならば、さしたる防衛能力のないリーゼガルドを放棄し、戦線を下げてロート山脈まで防衛線を下げる必要がある。


そうなると、王国側との連携が難しくなり、北部連盟に致命的な楔をうたれる形となってしまうからだ。


「報告します!伝令が、伝令がローガルド要塞から参りました!」


途端に執務室に詰めていた、オギル村長や防衛隊の司令官に緊張が走る。

防衛が成ったのか、逆に突破されたのか、誰もが嫌な汗を流しつつ、伝令に先を促す…


「任務ご苦労、してローガルドからはなんと?連合軍が来るのか、それとも来ないのか?」


「はっ!ローガルド要塞は健在です、御使い様と業魔将の方々が、連合軍を辛くも退けました!今は軍勢を二つに分け、一方はこのリーゼガルドに向けて、その後に、集結した兵達を順次原隊に復帰させるとの事です!」


瞬間執務室に詰めていた、リーゼガルドの代表達は喜びを爆発させた。

まるで部屋全体を揺らしているかのような、感情の発露であった。


「リーゼ様とエンリエッサ様方が成し遂げたぞ!ラタニア、歓迎の準備をせねばな!司令官殿、なんとか首の皮一枚繋がりましたな」


「左様ですなオギル殿、私共も覚悟していたのですが、御使い様には頭が上がりませんよ」


「仰る通りですな、前回と今回で二度の防衛を達成されたのだ。連合軍側も、これほどの大攻勢は連発できまい。なんにせよ僥倖ですな。エンリエッサ様やリーゼ様の好物である、フラリスの果実酒を樽ごとご用意せねば!あとはフラリスを使ったお料理などを…」


「市長殿が張り切っておられる。これラタニア、お前も歓迎の為の智恵を絞らんか!王国側でも防衛が成った今、なにも心配はいらんぞ」


「えぇオギル叔父さんすいません、マトさんがどうしても心配で、顔を見るまではどうにも落ち着かなくて…。杞憂であればそれでいいのですが」


「マトさんを信じよラタニア、あの人に限ってそんな無茶はしないさ」

「えぇ、オギル叔父さん…」


心配顔のラタニアを、なんとか宥めようとするオギルだが、暗い顔のまま晴れることはなかった。




リーゼガルドに凱旋したリーゼ達は、まるでパレードでもするかのように、都市を練り歩く。

それを都市に住む住民や、防衛隊の兵士達が総出で出迎える。


「リーゼ様ー!」

「きゃーリーゼ様、今私に手を振って下さったわ!ねぇ見ました?」


「違うわよ!今のは私に振って下さったのよ、勘違いしないでちょうだい」

「御使い様ー!」


住民や兵士達の興奮は最高潮であり、手を振りながら、気さくに握手したり声をかけるなどしていた。


「ありがとう、私だけの勝利じゃない。これは私達みんなの勝利よ!貴方達が私に勇気をくれたから、これだけ戦うことができたのよ」


「そんなリーゼ様、私達はなにも。私達は御使い様方が戦う間、闇の神に祈ることしかできませんでした…」


そんな奥ゆかしい住民をひと撫でし、オギル村長と防衛隊の司令官の待つ執務室へと向かう。

街頭では、ひと撫でされた住民を中心に黄色悲鳴が辺りにこだましながら、騒ぎが拡大していた。



「さて、オギル村長に防衛隊の皆も留守番ありがとう。なんとか防衛も成り、連合軍側の脅威も過ぎさった。次は内政面に力を入れるべきだろう、本当に今回は皆に感謝するわ」


「ご謙遜なさらないでくださいリーゼ様、引き続き我ら業魔将が貴方様の手となり足となり、供に貴方様と歩ませていただきます」


「私も同じ思いですリーゼ様、貴方様の覇道の道をお手伝いさせて下さい。微力ながらお手伝いいたします」


「荒事なら私にお任せを、リーゼ様の盾となり矛となる自信があります。この身は、貴方様の御身の為に」


それぞれがそれぞれの思いを、率直にリーゼに伝える業魔将達。

揺るぎない信念を胸の内に秘め、誓いを新たにする業魔将の面々を、まじまじと見つめるリーゼ。


「ありがとうエンリエッサ、イシュガルにバンネッタ。貴方達は私の宝であり誇りだわ、これからも頼りにしている。では、次の指示をだす。エンリエッサは王国への援助、バンネッタはローガルド要塞の守備、イシュガルは私と内政を担当してもらうわ」


「かしこまりました直ちに」

「拝命いたしました」

「承りました」


各々が返事をする中、予想外の人物から発言があった。


「御使い様、私もエンリエッサ様に付いて、王国へ向かってもよろしいでしょうか?身勝手な発言をどうかお赦しくださいませ…」

「こ、こらラタニア何を…」


「わかったラタニア好きにしなさい、エンリエッサと同行して、大金星のマトを労ってきなさい。」


意味ありげにラタニアへウィンクするリーゼに、ラタニアは顔を真っ赤にし、顔を下に向ける不思議な反応を見せた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ