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化物達の理想郷  作者: 同田貫
広がりゆく戦火
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ローガルド要塞戦線(1)

ウェルドア王国とネルト帝国の戦役はひとまずの終結を迎えた。

ウェルドア王国のジョン国王は、帝国側の和議の申し出に快く応じた。


帝国側からの和議の申し出と、形だけは取り繕ってはいるが、事実上は帝国側の敗戦であった。

その事に難癖をつける北部連盟の面々はこの場には存在せず、使者である将軍にはどこまでも丁寧な対応であった。


「そちら側から攻めてこられたのだ、旗色が悪ければ停戦なさるのも良かろう。だが帝国の将軍よ、退却する時間の猶予は半日だけだ。その刻限を超えて、我が領内を闊歩する帝国兵を見かけたその時は、我が北部連盟全軍お相手いたそう。相違ないな?」


しかし、その場に居合わせる北部連盟の面々は、誰もが怒りの形相であり、帝国の度重なる侵略行為に辟易していた。

その場がまさに、一触即発な雰囲気なのは変わらなかった。


「う、うむその通りにいたそう。私とて将兵の命を預かる身だ。約束を違えないとこの場で誓おう。誓約書が必要なら、この場で一筆したためるが」


「どうだろうなぁ、約束を反故にするのは帝国のお家芸だからな。此度の戦が終わった後も、また懲りずに攻め寄せるのだろう?」


そこにジョン国王の側に控えていたプリメールが、将軍の脇により耳元で囁くように、将軍を脅しに脅した。


「…何度でも攻めればいい、その度に私とプリメーアが、また相手する。お腹を空かせて、また一杯ご馳走になる。なんなら、もう一度する?」

「い、いやご遠慮願おう。兵も疲弊しておるのでな…」


「…そう、残念…」


そこからの帝国軍の動きは迅速であった。いや、脱兎の如くと表現してもよかったかもしれない。

こうして連合軍の攻勢の補助となるべき側面攻撃は、帝国側の敗北と終わり、第二戦線の形成はならなかった。





一方ローガルド要塞方面の戦況は、時間だけが過ぎるような、魔族側の徹底した持久戦闘の前に、連合軍側が手をこまねいていた。


ローガルド要塞前方には、幾重にも幾層にも折り重なる塹壕線が広がり、連合軍の進撃を食い止めさせ、少しずつ距離を稼ぐことしかできないでいた。

連合軍側からは、【蟻の巣】と呼ばれている魔族側の塹壕陣地帯。


魔族側は、ミュンヘルト会戦の反省からか積極的な攻勢を控え、挑発にも応じず、

王国との戦いの結末を待っているかのような姿勢であった。

連合軍が攻めこめば、複数の銃座から一斉に逆襲し、後退すれば深追いせず、ただただ静観する。

実に戦いにくい戦法を採用した。


このような事が、かれこれ一週間繰り返されていた。

それよりも不気味なのが、魔族側の業魔将や、その指導者である御使いが沈黙していることだった。


その沈黙が破られたのは、王国側の決着がついたとの報告が、ローガルド要塞方面に届いてからだ。


「諸君、我が友邦である北部連盟が、帝国軍を撃退した。これで後方に備えることもなくなった、あとは前方に蠢く者達を片付ければ、それでお終い。リビングデッド共の地上部隊、及びレジーナ達空中部隊は連合軍に向けて進撃せよ。業魔将達三名は、機を待て!以上だ、各員突撃せよ!敵を打ち倒し、魔族の旗を敵陣に突き立て、死骸を積み上げよ!悪徳を成せ、それが我が父の望む景色だ!」


「リーゼ様の仰せのままに…」

「勇者や聖人も悉く殺す!」

「すべてをリーゼ様の御心と共に」


業魔将達は一斉に跪き、各々の指揮する部署へと向かう。

この時より魔族側の逆襲が始まり、両軍の死力を尽くす攻防戦の幕が切っておとされた。




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