表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
化物達の理想郷  作者: 同田貫
広がりゆく戦火
82/171

臆病者の最期

マトが昏睡状態に陥り、味方陣地へと退がる頃。グローリアス・フェルテ・ネルトは、戦況が劣勢な事に癇癪を起こしていた。

周囲にいる士官や、側近の者に当り散らし、散々に鬱憤をはらしていた。


「何故あんな古城の一つ陥せんのだ!我らは、栄光ある帝国軍なのだぞ!これでは、本国の物笑いの種になる、予備部隊も全部前線に回せ、敵を押し出せ、逃げる者は全て敵の協力者として処理する。戦え、私のために!なぜ逃げるか!王国を叩きに叩けっ!」


そんなグローリアスをどこか冷めた目で見る、長期策を唱えた将軍とその直参の武官達。

「殿下、私は最初に申し上げたはずですぞ?短期決戦を避け、長期戦をするべきだと。魔族の主戦力がローガルドに集結しているのは、確かでしょう。ただ隠し玉を用意するのは、指揮官としては当然です。それは貴方の落ち度だ、戦うにしろ退くにしろ、ご決断を殿下…」


「ぐっ…、将軍、そこまで言うのならお前が指揮をとれ、私は本国に此度の遠征について報告をせねばならん。編成は好きにせよ、確かに私の落ち度だ、だがお前なら立て直せるのだろう?では任せたぞ、私は先を急ぐのだ!」


「でっ…殿下お待ちを!指揮官が現場を放棄するなど、してはなりません!未だ数万人の帝国軍人が戦っているのですぞ、それを見殺しにするなど、帝国の汚点となるのは間違いない!自分の命欲しさに…、それは許しがたき愚かな蛮行だっ」


「えぇいくどいくどい、私は決めたのだ将軍!諸君らの忠勤は忘れぬぞ、私はゆかねばならない!」


慌ただしく逃げ支度をするグローリアスと側近達、彼らにとってこの戦いの結果よりも、自分達の命が優先されるという前代未聞の事態となった。

指揮官不在となった軍勢を任された将軍は、頭を抱える。


長い軍人生活の中でも、将軍にとって初めてとなるケースだった。


「将軍、いかがいたしますか?全権を将軍に委任された今、貴方の指示に私達は従います…」

「指揮系統も寸断され、現場指揮官が逃亡、さらには中央部隊にいたっては崩れかかり、各部隊の動きも不透明ときた。軍団長、状況は限りなく最悪だ。私は休戦の使者をたてるべきだと思うが、どう思うかね?」


「致し方ありませんが、それしかないでしょうな。人選はどのように?」


「私が行こう…軍団長」


和議に向けて動きはじめる帝国軍上層部、その一報は王国軍側にも伝わり、両軍の戦闘行動は停止した。



和議の申し入れを受け、プリメールとプリメーアも戦闘行動を止める。


ただプリメールは視界の中に、戦線を離脱する1輌の豪華な馬車を発見し、興味本位で捕縛する事にした。


「…あの馬車変、戦闘が終わるのに、逃げてる。とりあえず、捕まえて、捕虜にしよう…。プリメーア、ちょっと待って」


自身の腕を大きくしならせ、馬車に向けて伸ばしに伸ばし、馬車の後輪を捕まえると、腕を縮めていき、プリメール本人が馬車へと向かう。

そしてプリメールは馬車の前方に飛び出し、馬車を強引に止める。


「…止まれ、なぜ逃げる?帝国の偉い奴、簡潔に答えろ…」


自身の両腕を網の目のように広げ、馬車全体を取り囲むプリメール。

それをグローリアスは、数人の近衛を引き連れながら、震えながらに答える。


「わっ、私は尊き血筋の血族だ、道を開けろ薄汚い魔族め!私の部下になるというなら、見逃してやってもいい!」


「…?お前はなんで上からなんだ?質問しているのは、私だ、ちゃんと答えろ…なんで逃げてた?」


「ふ…、ふん、お前に教える義務はない。さっさと消えろ魔族がっ、忌々しい奴だまったく」


「…そう、答えないんだ、じゃあもういいや、貴方達には消えてもらう、私の糧となって…」


「よせ、止めろ、私を失うということは、人類にとって大きな損失だ!そっ、そうだお前を特別に許してやる、だから、そこを…」


ジリジリと網の目を縮めていき、グローリアスと近衛をまとめて生命力を簒奪した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ