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化物達の理想郷  作者: 同田貫
広がりゆく戦火
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混迷する戦場

奥の間にいる各国要人達、各国それぞれの軍団に指示をだすために、せわしなく伝令が駆け巡る中、ジョン国王のもとに一つの吉報がもたらされた。


「陛下!朗報にございますっ!マト殿率いる第一軍麾下の、プリメール殿とプリメーア殿が、帝国軍前衛部隊を壊乱しています。勢いそのままに、今は敵軍中央を分断する動きを見せております。まさに破竹の勢いです、敵を鏖殺し続けております。総崩れは時間の問題かと」


「おぉやはり凄まじいな、寡兵の軍勢にも関わらず、一騎当千の武者働きとは、我らの出番がないわい」

「精鋭との話だが、おそらくはマト殿と同等の力を待っているのだろう…」


各国の代表達が、手放しに称賛する中、ジョン国王は表情を崩さない。

不思議に感じたエドガー王子とルゥイン王子は、父親に質問する。


「父上、なにか心配事でもおありですか?報告を聞く限りは、我が方が優勢のように感じましたが」


「エドガー、戦いの動向に一喜一憂するな。喜ぶのは敵が完全に退却し、戦いの趨勢が決してからにせよ。して参謀長、マト殿がおられる正門は健在か?」


「健在でございます陛下、敵の砲撃を散らし、奮戦しております。問題は、セプト自治州の篭る左翼方面の城壁かと。命中弾を受け続け、城壁の一部が崩れ、瓦礫を足場に敵が殺到しています。ここを凌がなければ、流れは完全にあちらに傾きます。出し惜しみはしないよう具申いたす次第でございます」


「ふむ、後方に待機している部隊を左翼に集中させよ。敵を通すな、併せて補修作業を急がせよ!」

「はっ、ただちに!」




マト達率いる第一軍と王国軍の混成部隊は、帝国軍を寄せ付けない動きを見せていた。

プリメール達の活躍により、帝国軍の動きが鈍っていたからだ。


「ここ正門周辺は暫くは持ちそうね、危機的状況は左翼方面かしら?敵が崩れた箇所に殺到している、とりあえず後ろに接近中の攻城塔は破壊しましょうか。射出式炸裂弾用意、続けて術式を展開せよ。討ち漏らしを葬れ確実にな!」

「斉射始め!」


けたたましい音とともに、攻城塔に集中する炸裂弾。

噴煙は撒き散らし、破壊をもたらしてもなおも前進する攻城塔群。


「残存五塔、なおも接近中!」

「魔術兵長、地殻変動術式を発動せよ!小規模でいい、敵を止めなさい。止まった端から、射出式をプレゼントしろ」


続々と炸裂弾が放たれ、攻城塔を破壊し尽くすマト達。

さらに周辺にも破壊の爪痕をつけ、敵を殺していくが、敵の勢いが勝り、ついに帝国軍の一部隊が、城壁に辿りついた。


「やーやーやー我こそは、ネルト帝国グローリアス混成師団所属、12番隊衛士ギブソンなり!敵陣に一番槍ーっ!」


「ギブソンに続け、重装歩兵前へー!銃兵と連携せよ、重装歩兵はその身を盾となすのだ。セプト自治州の背信者共を殺しつくせ、帝国の黒き獅子の軍旗を王都に翻すのだーっ!前進せよっ」


黒獅子の軍旗を翻す帝国軍の大部隊が、崩れた城壁に集中する。

軍団長自ら、先陣をきることにより、兵士達を鼓舞し、士気は最高潮となっていた。


「この地は誇り高き王国の地、征服民族である帝国などこの地に相応しくないのだ!でてゆけ侵略者共め!」


セプト自治州の亜人達の軍勢も、気勢を上げ、帝国軍に対抗するが、練度の差が目立ち戦死する者が続出していた。


そんな光景を目の当たりにしたマトは、エンリエッサにより使用を制限された、禁忌の力に身を委ねる。

言霊を重ねて自身に添加し、徐々にマトの白い肌は、その呪力の影響により褐色へと変貌する。


【我こそは呪力を操りし者なり、呪禁を纏い、言霊にて真理を探究する者なり。今一時、我に呪禁の力の一端を与え給え。我こそは常闇を歩む者なり…】


本来呪術は、相手や周囲に影響を及ぼすものだが、マトはその呪力を自分自身に施術することにより、身体能力を大幅に底上げし、膨大な呪力を纏う。

半刻程人外の力を得る代わりに、翌日の日の出から日没まで、まるで眠り姫のように活動の一切を制限される。


「じゃあ兵長、いってくる、あとハ、タノムワヨ…私ガアイツラヲ…ゴロノソャヨ」


言葉は不明瞭となり、目からは生気のない澱んだ目となっていた。

マトは空高く跳躍すると、武器を待たず、自身の身体一つで帝国軍に襲いかかる。


高高度からの飛び蹴りは、大地を深く抉りに抉り、帝国軍の兵士達を巻き込み数十人が爆発四散した。

辺りに骨や皮膚、内蔵や血が降り注ぐ中、褐色のマトはうっすらと微笑んでいた。






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