表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
化物達の理想郷  作者: 同田貫
監視者
76/171

幕間 マトと人工生命体と(後編)

研究室にいるマテリアルイーターとライフイーター。

マテリアルイーターは所在無さげにうろうろし、今は研究室にある机や椅子を、白濁色の身体の中に入れ、ゆっくりと溶かしていた。

机や椅子を飲み込むと、ぽよぽよと楕円運動を繰り返しながら、マテリアルイーターは二体に分離して、お互いをつつきあって遊んでいた。


一方のライフイーターは、朱色の身体を変化させたマトの似姿のまま、研究室にいる者達や、窓から映る景色に熱心に見つめていた。

窓辺にいた小鳥からは、生命力を奪い、徐々に死に至る経過を食い入るように見つめ、実験でもしているようだった。


まるで個性がバラバラの二体に、気を取り直してマトは質問していく。

「まず最初にライフイーター、なんで君は喋れるんだい?マテリアルイーターは意思疎通程度なのに、不思議だよ」


「…それは、貴方方が、話していたのを真似たらできた。けど…あまり言葉知らないから、教えて」


「ふーむすごいなライフイーターちゃんは、いや君かな?マテリアルイーターは、どのくらい分体が作れるのかい?私が思うに、取り込んだ物の量に応じて、余剰分を分体として作るような感じかな、不思議な能力だ」

「マト様、マテリアルイーターは、分体を作らず、自身の体積膨張に能力を行使したら、どこまで大きくなるのでしょうか?私には見当もつきません」


マテリアルイーターはマトに対して、ぽよぽよと頭を縦に動かし、その仮説があっていると肯定の意を示す。

一人の弟子には、頭を左右に振り、わからないと意思表示をした。


「そーかそーか、マテリアルイーター君の能力は魅力的だ。数の暴力で敵を圧倒できるかもしれないね。じゃあライフイーターちゃんは、その生命力簒奪の有効範囲とかはあるのかな?」


「…わからない、私の、この突起物は、この部屋の端から端までは、届くと思う。あとは、直接取り込んだほうが、簒奪ははやい…それと、私も分体を作れるよ、生命力に応じてだけど…」


「なるほどなるほど、二体とも分体創造能力はありと、あとはその見え隠れする核が君達の心臓だと思うけど、それは分散させたりはできる?」


すると、マテリアルイーターは四体に分裂して、小さな核を四つに分けてこちらを見上げていた。

ライフイーターも、身体の中の核を細かくし、全身に散りばめてみせた。


「…この核は、任意に分散、分裂が可能。偽の核も、生成が可能です。ただ、この核に、深刻な傷を負うと、私達は、生命体としての、機能を失う…」


「素晴らしいじゃない、常に移動する心臓なんて!核のことはわかったよ、じゃあ最後に君達の名前を決めよう」


「…私達の名前?一号とか?ゼロゼロワンとか?呼び名、自分達の存在の証明?社会的な符号?」


ライフイーターは、不思議な顔をしたまま呟き続け、マテリアルイーターは、何がそこまで嬉しいのか、飛び跳ねながら、ぽよぽよと全身運動をしていた。


「ライフイーターちゃん、名前は自分という証みたいなものさ。マテリアルイーター君もそこでじっとしてて、今考えているから、朱色に白濁色…赤と白…色の根源たる原色…」


数分間うんうん唸る上司を、弟子達は心配そうに見つめ、スライム達もその時を待っていた。やがて、考えがまとまり二体に名前を告げる。

「よし決めた!色々と悩んだけど、ライフイーターちゃんはプリメール、マテリアルイーター君はプリメーア。それが君達の名前よ、大事にしてね」


「…私の名前、ライフイーターのプリメール、私はプリメール…うん、マト感謝、大事にする」

プリメールは、自分の名前を何度も呟き、創造主に感謝の意を伝える。


マテリアルイーターのプリメーアは、自分の名前を聞いてから、分体を増やし続けて、自身の感情を爆発させていた。



それからマトは、再び執務室にいるオギル村長とラタニアに会いにいき、プリメールとプリメーアを紹介した。


「オギル村長とラタニア、私の子供を紹介するわね」

「「えっ…お子様ですか⁉︎」」


ポカンと口を開けた二人に、ケラケラと笑いながら、第一軍の新しい仲間の紹介をしていく。


「…よろしく、ラタニアにオギル、私の名は、プリメールという」

プリメールがラタニアに擬態して、握手を迫るのにも二人は固まり、プリメーアがスライムのまま、器用に触手を伸ばし、握手を求めるのにまた固まっている状態であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ