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化物達の理想郷  作者: 同田貫
災いを呼びし者
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山脈道中

ロート山脈へと歩みを進める中、リーゼもだんだんと体調が回復し魔族の子供達の歩幅にあわせてイリトバ城塞を目指していた。

手をつなぎながら世間話に花を咲かせていた。やがてロート山脈の麓に近づいてくると、山道の中程に行く手を遮るように立派な城門がそびえたっていた。


その手前には、黒を基調とした立派な礼服に身を包んだ一団がこちらを出迎えた。


代表である小柄な少女はどこかくだけた態度であったが、後ろの付き添いの戦士達は伝説の御使い様に対して緊張した面持ちで直立不動の姿勢でいた。



「御使い様お初にお目にかかり誠に恐悦至極にございます。私はこのイリトバ城塞を預かる業魔将が一人エンリエッサと申します。魔族の同胞を助けていただき感謝いたします。お疲れでございましょう?馬車をご用意いたしました。どうぞお乗りください」


「私は徒歩で大丈夫だ。それよりも子供達を乗せてやってほしいだいぶ疲弊しているからな。それとこの世界について色々と教えてほしい、わからないことだらけで困っていてね。」


「仰せのままに、お前達には不自由をかけたな山には同年代の子たちも数多くいる。仲良くしてくれると嬉しいな。それとよく生き延びてくれた、頑張ったね」


「はっ…はいきょうしゅくです!」



突然のことにどきまぎしながらも、年長の子供が代表で答えていた。


紫髪の少女の悪魔と赤髪の女悪魔は、早くも意気投合し様々な話題を話しあっていた。

そんな様子にどこかほっとした魔族の戦士達は、救出された子供達の遊び相手になっていた。

「ここはわたしのりょうどよー」

「あーずるいわたしもっ!」

「こらお前達、喧嘩はダメだぞ」


リーゼとエンリエッサは、遊び盛りの魔族の子供達の様子を見つめていた。そんな子供達を観察しつつ話を続けた。


「現在、イリトバ城塞には一万弱の兵士が詰めており、住民達は数万人規模住んでおります。兵士達の家族や大陸各地から避難してきた者達が含まれています。住民達は現在も増加傾向にあり都市部の拡張を並行して進めています。城塞都市は多層階の構造をしており、頂上の城塞は軍事施設であり玄関口です。中層は都市部区間が広がり、下層部には魔術の研究所や食糧庫など重要施設が集約しています。」


「山脈の中をくり抜いて丸ごと拠点としているのね。いい考えね、あとこの山脈全体を覆う霧自体が迷いの結界とのことだけどどういう原理なのかしら?」


「はい御使い様、大気中に方向感覚と平衡感覚を狂わせる魔術の紋をこの山の中枢部に刻みこみ、天候に左右されずに霧を発生させています。この識別符を刻んだ小さな銅板を待たないかぎり正しい道が分からぬ仕組みとなっているのです。」


「なるほどね仕組みが分かってもなかなかにえげつない結界ね。備えもなしにこの山に入ったら散々に迷った挙句、魔獣達の餌になるって話ね。」


「流石は御使い様、ご理解がはやくて助かります。詳しくはこの術の開発者のイシュガルがご説明いたします。また、バンネッタは現在席を外しておりますがおいおいご紹介いたします」


「リーゼで構わないわエンリエッサ、まずは山の中の施設も見てみたいわ。」


「はい、ではリーゼ様とお呼びいたします。まずは城塞からご案内いたします」



そう言うと堅牢な門が左右に開き、整列した戦士達による道が作られその中を颯爽と入っていく。

そんな御使い様を見ようと色々な種族の者達が隊列を組む兵士の隙間から顔を覗かせ、お祭り騒ぎのような状態になっていた。

老若男女問わず、誰もが御使い様の顕現をお祝いし、収まる気配がなかった。


そんな様子を微笑ましく見つめながらリーゼは手を振っていた。握手をしたり、近くの者に気さくに話かけるリーゼ。熱烈な信奉者という名のファン達が多数うまれたのはまた別のお話。


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