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化物達の理想郷  作者: 同田貫
監視者
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若年兵と退役軍人

レジーナやミミイ、メメイが都市部や街道の補給部隊を爆撃する中、ヌメイ達別同隊が狙っているのは、西に位置する連合軍の物資集積所であった。

森林を切り開いて建設されたその集積所は、数多ある集積地の一つであり、守備を担当する者達は、予備戦力である若年兵や退役軍人などがほとんどであった。


その第一線を退いた退役軍人達が、若年兵達を指導しつつ、警護を担当し戦いのノウハウを教える場でもあった。

今日もいつも通り、前線に送る物資の積み込みを終え、一息ついている最中であった。木陰で休む者や、日光浴をする者、退役軍人と一緒になって武器の素振りに励む者など実に様々だった。

娯楽の少ない前線で少年兵達は、今日も年配の兵士に戦いの生き残り方や、見聞きした体験談を聞いていた。


「じっちゃんのそのまたじっちゃんの時に、今みたいな決戦があったんでしょ?どんな風だったのさ」


「そうさなー、当時も御使いが現れてから、急激に世の治安や秩序が乱れたそうだ。当時の時の勇者の活躍により、その時代の御使いである、エルトダインを討ち取ったと聞いている。代償に勇者様と、それに付き従う旅の仲間が相討ちとなったそうだ。しかしだ本当に恐ろしいのは、御使いの影にいる腹心達だ。業魔将と呼ばれる旧き悪魔達、時代毎に人数にばらつきがあるが、御使いなき時代は彼らが常に我々人の矢面に立ち、魔族を守護すると聞いている。もし彼らに会ってしまったら、迷わず逃げろ!逃げるのも勇気だ、わかったかい?」


「じっちゃんわかったよ!じゃあ今代の勇者マーク様を教えてよ、どんな人なんだい。おいら達はさっぱりでさー」

「あっ私も聞きたいなっ」


「ふーむそうさな、勇者様はだな…ってこらっ!休憩の時間はとうに過ぎてるじゃろ、続きはまた今度だ」


「ぶーけち爺、はげろー!」

「ずるいぞ大人、全部言えー」


「うるさいわい、本当はお前達を戦場には立たせたくないのが本音だが、今を大事にせよ。魔族達を一掃することができれば、あるいはお前達の孫の世代は平和な時代を享受しているかもしれんな」


口々に野次を飛ばす若年兵達を、感慨深げに眺める年配の兵士。

そこに独特な風切り音を響かせながら、いくつもの爆弾が集積所に降り注いていく。邪悪な意思をのせて。


中心地から外れた場所で休息していた彼らは、辛くも難を逃れた。五人の若年兵達は爺の胸の中で抱き抱えられ震えていた。毎日色々な話を話してくれた爺の背中には瓦礫の欠片が無数に突き刺さっていたからだ。


「じっちゃん背中が、背中から血が…」

「なんであいつらここに!」


「いいかお前達、ここからしばらく真っ直ぐ北に向かえば、連合軍の陣地が広がっている。そこをまずは目指せ、都市部にも攻撃が及んでいる場合、前線近くのほうが安全かもしれん。喧嘩せず、協力しあって生きろ。まだまだお前達は若い、こんな所では死ぬないいな?」


「でも…じっちゃん…でもさ…」

「爺がいないとつまんないよ…だからさ…これからも一緒にいてよ」


第1波の攻撃が止んだ後、続け様に第2波攻撃が続いていた。周囲には、上空から火が放たれ、逃げ道が狭まっていた。


「いけ馬鹿もん共が、さよならは言わんぞ。またなお前達…訓練はサボるなよ?筋はいいんだからな」




ヌメイ達の爆撃により、集積所は真っ赤な爆炎が噴きあがっていた。

武器庫の弾薬に火がはいり、連鎖的に爆発の輪が広がる。集められた物資は灰塵となり、集積所を守る兵達もまた真っ黒な死体となっていた。


「うわーすごい!全部燃えるもんだね、イシュガル様も面白い玩具を考えるもんだね〜、あなた達もそう思う?」

「キー、ギーーッ!」


「んっ!なになにグリフォン君?なるほどなるほど、やはり直接血肉を貪り食べたいって、そうだねーじゃあそうしようかグリフォン君達!」


続々と集積所跡に集まるヌメイ達、若年兵達が逃げだした後、そこは魔獣達の食事の場となった。

戦死した者や、まだ生きている者も等しく彼らの胃袋に収まることとなった。

そしてヌメイは、部隊長にのみに支給される小型の通信用の水晶球に連絡を手短にいれて帰途につく。


「テステス〜、こちらヌメイ!集積所襲撃は成功、損害は軽微なり〜。これより隊長達に合流に向かいます、若いお肉達は美味であります〜!」

「阿呆な事言ってないで帰投しろヌメイ、けど無事でよかったよ」


「ミミイは心配症だな〜」


あたりでの食事を終えると、のそのそとヌメイ達は動きだす。

次なる獲物を見つけるために。

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