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化物達の理想郷  作者: 同田貫
監視者
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空からの贈り物

前線後方にある都市、前線での補給路の通り道で、付近には連合軍兵士達の駐屯地が存在する。

その都市の市長は上機嫌だった。戦争による特需により、都市はかつてない賑わいをみせていた。


市には物が溢れ、南方の珍しい果実が所狭しと並んでいる。商人達にも活気があり、現在戦争中なのを忘れるような状況となっていた。

なかでも市民達に人気だったのが、その珍しい果実をふんだんに使った搾りたての新鮮なジュースだった。お手頃な値段で軽食までつくとあって、今日も行列をつくっていた。

子供達は両親にお小遣いをねだり、労働者の大人達にも人気なジュース、甘いものから酸味の効いたものまで、様々な種類が販売されていた。


そんな中でお客の一人が、空に小さな黒いシミのようなものを見つける。それはやがて特徴的なシルエットとなり、数もだんだん多くなりこちらに接近していた。周りのお客達も珍しげに空を眺めていた時に、城門周辺に凄まじい爆発音とともに、火の手があがる。

連合軍の兵士が空に向けて慌てた様子で、応戦する様子にそれが敵の攻撃であるのにようやく気づくと、市場は騒然となった。

市長もまた、自分の理解を超えた出来事に右往左往していた。





「命中多数、続いて都市の中心を狙う。分隊続け、なるべく都市の建造物の多い密集地を狙え、市民の混乱を誘発しろ!では隊長、いってきますね!」


「えぇミミイ頼んだよ、帰ったら私のお気に入りの果物を分けてあげる、残りの隊員は私と共に付近の駐屯地の陽動に向かう。抵抗は少なくなればなるほどいい、派手にいくよ!爆弾の手持ちがなくなったら集合した後に撤収だからね、わかったかな?」

「「ギィーー!」」


ミミイ達とレジーナ達により、平穏だった都市は戦火に包まれる。そして同時に市民達も理解する、もはや他人事ではないとう現実に。

都市の防衛隊も善戦するが、弾幕を張ろうにも弾が届かず、高高度から投下される爆弾になす術がなかった。

唯一対抗できたのは、野砲の台座を取り外し、直角に砲を固定し応戦した砲兵部隊であった。その弾幕を嫌った魔族達はその区画の攻撃を避け、区画一帯が損害を免れた。

それでも都市部全体を見れば、着弾した箇所からは黒煙が吹き上がり、建物は壊され、下敷きとなった市民の救助作業が行われた。

完全な奇襲攻撃の結果に、ミミイは笑みが零れる。尊敬する上官に褒めてもらえると期待を膨らませていた。


「うん、このくらいだろうな初日にしては上々だろう。各自残りの炸裂弾を投下した後、隊長と合流。懐かしの我が家に戻るとしましょう」


黒煙を上げ続ける都市の上空を、悠々と飛行しながらミミイ達は退却していった。自分達の姿を誇示するように…

遥か上空を飛ぶ魔族達をただ黙って見送るしかできない連合軍の部隊は、憤りを感じつつ空を見上げることしかできないでいた。



それは残りの戦場でも同様であり、ヌメイ隊とメメイ隊は、攻撃があまりに一方的であったことと、抵抗が微弱だったことに苛立っていた。

爆弾の雨を降らした後、地上に降下し生き残りを見つけては、部下達ととり囲みつまみ食いを楽しんでいた。


「ヌメイは上手くやれたかな?お馬の群れは鈍臭くて簡単だったな、けどタイチョーは簡単にいく時ほど警戒しろと言っていたし、そろそろ退くかな。各自撤収〜撤収〜、もたもたすると増援がくるよ。お腹も膨れたし帰るよ〜」


むごたらしい惨状を残したまま撤収するメメイ隊、爆撃の衝撃で気を失っていた連合軍の数人の兵士は、変わり果てた戦友の姿に涙した。


この頃から、連合軍前線への物資が徐々に滞りがちとなり、上層部は対策に頭を悩ますこととなる。

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