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化物達の理想郷  作者: 同田貫
希望と絶望と
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閑話 アン皇女の独白

ミュンヘルト会戦が集結した後、アン皇女は奪い返した元皇国領の魔族達との前線に程近い都市に、各国の将軍達と共に遠征軍を指揮していた。


今は小康状態が続く前線だが、増強された敵側の空中部隊による、物資の集積地や後方の野営地、はては遥か後方にある都市部にまでやってくる爆撃に手を焼いていた。

部隊の規模や、攻撃の時間もまるでバラバラな敵側の攻勢に、完全に後手に回っているのが現状であった。上空からの一方的な攻撃に明確な防御手段がなく、対空兵器の開発が急がれていた。

現状はバリスタや野砲を鋭角に射撃するぐらいしか対策手段がなく、被害がジワジワと広がっていた。


日夜将軍達と協議をしているが、なかなか結論に達することなく、しまいには前線を押し上げ魔族側を圧迫するという案と、空中部隊の拠点となっているローガルド要塞を無理にでも力攻めする積極案、現状を維持し戦力が安定するまで待つという慎重案、この三つの案の派閥が揉めに揉める。

アン皇女はしばしの小休止を提案し、将軍達のいる家屋から抜け出す。

皇国から共に脱出した馴染みの侍女とともに、今は紅茶を飲む準備していた。


「将軍達の軍議は毎度毎度息が詰まるわ、この茶葉を蒸らしている時間が一番落ち着くのよね。ねぇ?私はこのまま戦い続けてもいいのかな?ネルト帝に直訴して、遠征軍を組織してもらったけど、私は正直魔族達が恐ろしい。会戦はひとまずこちらが勝利したけど、会戦前に会ったあの旧き悪魔、それに勇者様と対峙した悪魔。次にまた現れたら私は挫けてしまうかもしれないな」


「お気を確かに、皇女殿下。私は貴方様のおられる場所が、私のいるべき居場所なんです。今は亡き、両陛下夫妻に誓って私は貴方のお側を離れません。たとえそれがどのような結末になろうともです!皇女殿下の進むべき道を、どうか迷わないで下さい」


「ありがとう、とても励みになるわ。これからも私を支えてね。それと二人でいる時は敬語はいらないって言ってるでしょ、昔からの顔馴染みなんだし。変に形にこだわるわよね〜」


「殿下は殿下です、公私混同はいけませんし。周りにも示しがつきません。しかし今はお言葉に甘えますアン、ここの景色は昔のままですね。木々が生い茂り、自然豊かな土地で昔はよくピクニックしたものですね。息抜きに今度私としましょうアン?」

「気楽にはできないわよ。まずは皇国を取り戻してからだわ、私を信じてついてきてくれた臣下達にも報いないとね。」


「はい、そうですねアン。」



紅茶を飲みながら、今後について考える。別の天幕におられる勇者様と聖人様方、あの方々の協力が不可欠だ。

まだまだ戦いは続く、当然犠牲もでるし出会いや別れもやってくる。それでも犠牲を最低限にしたいと考えるアン皇女は、昔馴染みの侍女と共に、将軍達の待つ家屋に戻っていく。

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