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化物達の理想郷  作者: 同田貫
希望と絶望と
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連合軍の進撃

東部国境線沿いに展開する諸国連合軍。

ネルト帝の号令によって組織された部隊であった。

初期は皇国の残党達による義勇兵の集団であったが、いつしか武器の援助や人員の派遣などを周囲の国々が援助を働き、今の状態となった。

連合軍の中でもとりわけ、元皇国軍人達の士気は高い。


自分達の奪われた故郷を、薄汚い邪悪な魔族からもう一度取り戻すため躍起となっている。

また皇族の生き残りである皇女の存在も大きい、自らネルト帝に直訴し、今回の派兵が決まったとの話だった。

しかし、兵達はまだ知らない。信奉すべき帝王が天使の操り人形になっていることに。天使達の都合の悪い存在である魔族を退場させようと、たまたまタイミングがあっただけにすぎない。


そんな事情とは、つゆ知らず、兵達は率いる将軍の指示のもと進撃をはじめた。

砲兵が整然と並び、一斉に火を噴き、隊列を並べてひたすらに前、前と。

対峙する魔族は、前線を徐々に後退させながら、魔族の拠点となっているローガルド要塞へと下がる動きを見せた。


「どーだこの魔族どもがっ、あまり人間様を舐めるなよ!帰って御使いとやらの尻でも磨いてろ!」

「我らが皇女殿下のための聖戦だ、志し半ばで倒れた我ら同胞の恨み思いしれ!死に絶えろ化け物め!」


退却していく魔族達に気勢を上げる元皇国兵達、事実辺りは魔族の死体ばかりが目立ち、自分達の被害は軽微であったからだ。

魔族が点で反撃をするも、圧倒的な面攻撃で粉砕されていく。砲弾で千切れた者や、投石で潰された者、矢傷の失血で息絶える者、いくつも穴の開いた者など多様な死体が転がっていた。

そんな魔族の死体に唾を吐きかけ、残飯を捨て、息のある者にとどめをさし、女性の魔族を見つけると見目麗しい者は捕縛され、戦利品となっていた。

その女性達を巡り、同志討ちを始めるなどまさに混沌としていた。


そんな様子を見ていた、殿軍を指揮する壮年のオーガは怒りを露わにする。


「撤退を急がせろ、今は主導権はあちらにある。ローガルドまで下がりつつ、防御に集中しろ」

「はっ、隊長」


連合軍の集団の勢いは止まらず、ローガルド要塞前面にきてようやく進撃が停止した。無数の天幕やテントが張られ、野営の準備を始めていた。





一方のローガルド要塞城壁には、第二軍団の主であるバンネッタと、リーゼガルドから知らせを受け、少数の部下達と急行したエンリエッサが連合軍の軍勢を値踏みした目線で眺めながら話をしていた。


「第三軍のイシュガルの虎の子のゴーレムの部隊をここに向かわせているそうだよ。けどバンネッタ、いや『幽鬼』よ。まるで天魔戦争の再現みたいね、心が踊らない?信じるべき大悪魔様方が亡くなり、じわじわと追撃されていたあの頃に。今じゃ旧い悪魔なんて呼ばれてるけど、なんてことはないただの戦争狂いなのかもしれないね」


「なんだ『深淵』お前もか?お前との喧嘩も楽しいが、あの頃はまさに我らの楽園のようだったな。血溜まりの中で、魔族や人族が夥しい数が死に絶え、弱き者共が淘汰された時代だったな。我らの産まれた地獄もあんな感じだったかな?良い時代になってきたもんだな」


「えぇそうね、また私達で楽しい楽しい地獄を演出しようじゃない。主賓は彼らで、私達はさながら演出家かしら?それとも道化かもね。道化なら場を盛り上げに行こうかしらね。ちょっといってくるよバンネッタ」


「程々になエンリエッサ、あまりやると楽しい時間が減ってしまうからな」

「挨拶だけよ」


恐るべき悪魔達が満面の笑みで連合軍に牙を向け、思う存分に自身の欲望を発散させようと行動を開始した。

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