会談模様
謁見の間の扉が開きこちらに歩みよってくる一団。手出し無用との命を受けた衛兵達にも緊張がはしる。
しかし王の御前の前で、最低限の責務を果たそうと一人の衛兵は行動した。
「そこで止まって頂きたい、武器を携帯したままの謁見は何卒ご容赦願いたい。ウェルドア王の御前である」
「…私達のことかしラ?」
「武器は所持していない、この身一つでここまできた。なんなら確認する?そちらのレジーナもなにも持っていないよ。おまえ達、吊るしている剣を預けなさい。この場には相応しくない」
「ハッ…わかりました」
「大事にしなさいヨ」
「丁寧に扱うよう二!」
「ご理解感謝致します。この武器は会談が終わるまで責任をもってお預かりいたしますので」
リビングデッド達はそれぞれが武器を預け、一団の後方に陣取る。
暗器を忍ばせたまま、創造主であるエンリエッサの言っていたもしもの時に備えるために。
やがて全員が王の前に歩みを進めると、一斉に膝をつき王の言葉を待った。
レジーナだけは、伏せをするような格好になっていたが。
「長旅でお疲れであろう?まずは楽な姿勢をとってくれ魔族の使者方。私がこの国を束ねる、ジョン・ウェルドアだ。お名前を伺ってもよろしいかな?」
「お初にお目にかかります陛下、私は業魔将エンリエッサの配下が一人マトと申します。後ろに控えますは、私の手勢の者達にございます。文官と武官が立ち会うのをお赦し頂きたいのですが」
「なんの構いませんよマト殿、使節団を任されるマト殿は大変優秀な方なのだろう。書状には我が国との交易を望むとありましたが、他になにか希望はございますかな?我々としては良き返事ができると思いますが」
朗らかに受け答えしながら、予想以上の大物がきたと内心では動揺していた。
一方のマトは、どのように話を展開させるか計算の最中だった。
「交易と住民の往来の自由化、あとは交易品の量を多少融通していただきとうございます。我らの住まうロート山脈では、良質な銀や鉱物が多種多様に産出されますので、交易のさいは優先的に王国に卸させていただきますので」
「なるほど、それはなんとも魅力的な意見ですな。こちらとしても融通するように善処いたしましょうぞ。それと先日の銀細工も素晴らしいものでした。」
「ありがとうございます。あちらはコボルト達お手製の物でして、職人をこちらに呼び寄せてお好きな物を作らせましょうか陛下?」
「いやいやそこまでされると恐縮してしまう、またの機会に頼むとしよう。ささっあちらで晩餐会の用意をさせております。続きは飲み食いしながらというのはいかがでしょうか?」
「それは素敵ですね。ご一緒いたしますわ。あぁそれと陛下もう一点よろしいでしょうか?」
「なにかな?」
【帝国の鳥籠から飛び立つさいは一声おかけ下さいませ、我々もお力添えできると思いますので…】
マトは国王を見据えながら、国王の心に語りかけた。
国王もまた、自身の内から響くマトの声に恐怖を感じながらも、
「うっ…うむそのさいはご助力をお願いするかもしれぬ。よしなにな」
か細い声で反応するのがやっとだった。




