使節団
エンリエッサの独断と偏見により、自分の名代としてマトとレジーナ、護衛としてリビングデッドの者から三人を指名した。小太りな男と猫背の男、端整な顔の女性を供につけた。
オギル村長は半日悩んだ末に、自身の娘のラタニアと、村長の親戚の者を四名を指名した。
「やっぱりこの揃いの紺色の礼服にしましょうよ。黒の礼服も良いけど儀礼的な意味合いが強いしね。マトとレジーナ、ラタニアはやっぱりドレスかしら?好きな色を着ていきなさい」
「エンリ姉様、私は姉様に頂いたこの服でいこうと思います。この服が私の戦装束であり、礼服でもあるんです」
「レジーナはあいかわらずね。ラタニアはこのすみれ色なんてどう?私は淡い色にしようかなぁ」
「このような服、私は着たことがなくてですね…。私はなにか適当な服で…」
「あら?何事も経験よ〜」
服選びに熱心になっている女性陣以外の男性陣は、着せ替え人形となっているラタニアを見つつ、礼服の丈の確認をしていた。
リビングデッド達は礼服に吊るす剣の他に、服の中に隠す暗器を吟味していた。
「エンリエッサ様お気楽ですね、まるでピクニックのようじゃないですか。どうなるかは神のみぞ知るといったところですかな?」
「そうね。まぁなんとかなるんじゃないかな?あぁそれとマト、威圧的にならないように留意して。なるべく友好的にね、万が一の場合は自分達の命を優先してほしい。レジーナ、軽挙妄動をしては駄目よ。ラタニアはマトの指示に従いなさい。自信をつける良い機会よ」
「いきなさい!」
「はい、エンリエッサ様上手く纏められるように善処いたします。」
「ひどいですエンリ姉様〜」
「がっ…頑張ります!」
三者三様の反応を示し、使節団は行動を開始する。広場に整列したグリフォンに騎乗していく。
先頭をレジーナ、その背中にマトとラタニアが騎乗し隊列を指揮していく。
グリフォン達も続々と後に続き、王都を目指し飛翔していく。
グリフォン達はぐんぐんと高度を上げ、地上の景色が小さくなりはじめたのに村人は悲鳴をあげていた。
一方てレジーナの背にいるマトとラタニアはというと、
「ラタニアは可愛いいね、肌なんかこんなにもすべすべで。ねぇ寒くない?一緒に外套の中に入らない?」
「えっと…あっあの大丈夫ですからマトさんそんなに密着しないで下さい」
マトがラタニアに対して全力のセクハラは行っていた最中だった。
レジーナは自分の背中で繰り広げられるピンク色の空間に気分が悪くなっていたところだった。
「マトの病気が始まったよ…」
やがて雲の切れ間から王都の城壁を確認すると、続々と降下して整列していく。城門前にいる衛兵にマトは用件を伝え、書状を渡す。
「この書状を国王陛下に渡してほしい。我々は魔族の都市の使節団の者だ。私は代表のマトという。すでに知らせがいってると思うが?陛下に謁見する許可をいただきたい」
「はっ!遠路はるばるご苦労様です!報告は受けています。案内いたしますのでどうぞこちらへ」
城門が開き、ゆっくりと使節団は中へ入っていく。荘厳な王城の中は、いったいどんな奴等がひしめいているのかとマトは思案しながら歩いていた。




