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化物達の理想郷  作者: 同田貫
災いを呼びし者
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還るべき場所

リーゼ達一行は、ロート山脈へと行列をつくりながら退却していく。


道すがら、救助した魔族のダークエルフと小人族に事情を聴きながら、労働力として各国に売られた同胞の行方をおっていた。


やがてロート山脈への山道が見えてくると、魔獣達が総出で出迎えの姿勢をとっていた。


「お疲れ様でございます。エンリ姉様お怪我はございませんか?あぁ服にしわができています…お直ししますわ」


「レジーナこちらは大事ないわ、そっちも元気そうね?ほらほら私はいいから、喰べ残しが服についてるわよ。身なりには気を遣わないと駄目でしょ」


「はい、姉様気をつけますね!」


「まったくもー」


エンリエッサとレジーナの家族のように仲睦まじい様子に、どこか和やかな雰囲気に包まれていた。

大き過ぎる妹に、小さい姉が甲斐甲斐しく世話する構図は、なんともほんわかする光景だった。


ティナ達獣人達は、同じ獣人達にもみくちゃにされながら健闘を讃えられた。

どうも仲間達の直球の賛辞に、照れているらしい様子だった。


ヲイス達巨人族は、互いに頷き合いながら肩を抱きあっていた。

多くは語らない風習なのだろう。


リーゼは、普段見られれない仲間達の様子を興味深く観察していると、近くの影の魔獣に声をかけられた。


「御勝利おめでとうございます御使い様。僕は、イシュガル様に創造されたムストと申す者です。名を覚えていただけると幸いです」


「話は聞いたわムスト達も頑張ったわね!聖人を倒したみたいじゃない。感心、感心これからも山脈のこと頼むわね」


普段イシュガル様にしてもらうことのない、頭を撫でてもらうという行為に一瞬言葉が詰まったムストだが、なんとか返事をした。

答えながら胸の奥が暖かくなるような気持ちになりながら。


やがて凱旋した一行は、街の広場に向けて行進し、住民と留守を任せた魔族の前で今回の結果を報告した。





「さて諸君、聞いての通り我々はイベルタ皇国に勝利した。かの国には鉄槌を下し、もはや亡国と成り果てた。また、皇国の攻撃を退け、完膚なきまでに叩いた魔獣達は賞賛に値する!しかしだ諸君心してほしい、これは始まりの一歩にすぎない。慢心はいらぬ隙をうみ、敗北へと繋がっていく。背後には強大なネルト帝国が控え、脇を中小の国々が結束して固めている。そこで我々魔族も結束を強めるために、今回活躍した四人の魔族、魔獣に二つ名を授けることとする。呼ばれた者は、前に出てきてほしい!」


「巨人族ヲイス、獣人族ティナ、魔獣ムストならびにレジーナ、各々リーゼ様の前に集まり二つ名を拝命いたしなさい」


周辺で騒ぎながら聞いていた魔族達は、途端に固唾を飲んで見守り、儀式を行うような厳かな雰囲気が支配した。

名を呼ばれた者達も緊張し、片膝をついてその時を待った。


〈巨壁〉ヲイス

〈疾風〉ティナ

〈暴食〉レジーナ

〈虚無〉ムスト


「働きのある者を私は正当に評価する。また、この二つ名は抑止力として、無用な戦を避ける意味合いを持つ。今回の戦いで倒れた者達に哀悼の意を捧げる。そして皆これからも我々魔族の発展と、私自身にどうか力を貸してほしい」



「さぁ、難しい話は終わりにして今は乱痴気騒ぎを始めよう!酒と食べ物を持ってこい今宵は無礼講だ!」



その言葉で途端にお祭り騒ぎのような状態となり、どこからともなく酒と食べ物が次々供される。

魔都イールガルに束の間の平穏が訪れた記念を祝し、毎年この日を慰労の日としてお祭りの項目に加わったのはすぐ後のことだった。

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