白の化物、黒の化物(3)
リーゼとサマエルの戦いは続く。
サマエルは辺りの光を集め、指先から光の粒子を熱線のように飛ばし、リーゼを捉えようとする。
だがリーゼも爆炎を起こすことで、その光の粒子を強引に屈折させ、致命傷を避ける動きをしていた。
お返しとばかりに、リーゼは息を多く吸いこみ、焔の息吹をサマエルに放つが、サマエルもまた不可思議な光の乱反射で焔の息吹をいなし、事無きを得ていた。
彼の能力、それは自分と同じ焔を操る原初の能力と、同等な能力であるのではないかと考察するリーゼ。
【奴自身、能力が無制限に使えているようで、なにか制約があるはずだ。強力すぎる能力というのは、その反動も大きなはずだし。推測だけじゃなんともいえない、確かな情報が欲しい。奴の能力、もっと観察して対策を練らないとね…】
考えながらに、リーゼはサマエルのいる周囲を火柱で囲み、そのまま火柱ごとサマエルを爆散させて吹き飛ばすも、サマエルは平然と存在している。
サマエルを覆う光の粒子が、より鮮明になっているようであった。
サマエルもまたリーゼを捉えきれない事に苛立ちを募らせ、どうするかの算段をつけ始めていた。
【リーゼの力、確か原初の能力といったか、力加減や魔力の変質も安定している。彼女自身が、能力に馴染んできたともいえるかな。僕の極光と、性質は似ているかもしれないな。仮にどちらかが息切れを起こした時、それが勝負の分かれ目かな?なら、これなら…】
サマエルは自身の翼を大きく広げ、先程の指先に集めた光より、より大きな光を収束させ、光の塊をリーゼに向けて解放してゆく。
途方もない力の波動、規模は小さいが第4城壁を消し飛ばしたものと同じ力の奔流を感じたリーゼは、とっさに光の塊を相殺させるべく、リーゼも焔で創った球体に力を注ぎ、急いでサマエルの創りし光の塊へと投擲をはじめる。
力と力の衝突
行き場をなくした破壊のエネルギーは、辺りの戦場へと拡散してゆく。
びりびりと大地を揺るがし、オスロの地全体を、地震が襲ったかのようだった。
「まったく畏れ入るよリーゼ、これもかわすか…。君の能力と僕の能力、とても似ているね。僕の極光と、君の原初の力。理屈や原理も似ているなんてね、もっと愉しませてよ僕を」
「ふん、さっさとくたばればいいのにさサマエル。私の原初の力でお前を燃やす、骨の髄まで燃やし尽くし、お前という存在を塵にしてやる」
「愉しいな、実に愉しい。こんなに晴れやかな気分で能力をふるえるのは、数世紀ぶりだよ!リーゼ、君には感謝するよ。僕の宿敵でいたことに、種族が違ったことに、この時代にいたことに…」
「ふん、化物と化物同士の戦いに、晴れやかも何も無いだろうに」
「気分の問題さ…、気分の」
「そうかい」
サマエルは再び光をその身に収束させ、リーゼも焔を立ち昇らせ、焔をくねらせながらにサマエルを威嚇する。
サマエルは愉快そうにこの世の破滅を心の底から願い。
リーゼは憎しみをぶつけながらにこの世の再生を願う。
怨嗟の果てに待つもの、それは誰にもわからない事柄であった。




