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化物達の理想郷  作者: 同田貫
次代へと繋ぐ
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白の化物、黒の化物(2)

第4城壁のあった場所は、まるでそこには何も無かったかのように、殺風景な風景が広がっている。


かなりの数の人々が第4城壁とともに消失し、その周囲には光の粒子がキラキラと煌めき、人々の魂のように舞っている。


破壊の光の後の、幻想的な光景。



聖女の身の内にいたサマエルがきた…

それは誰の目から見ても理解できる光景であり、誰もがその異常事態を理解せざるを得ない状況にあった。


「あれが天使の力なのか⁉︎」

「…第4城壁が、オスロの地も、ここまでだというのか⁉︎」


「サマエルめ、やってくれるわね!最早形振り構ってられなくなり、化けの皮が剥がれおちたみたいね!レイノルズ卿、ジョン国王!距離をとって、かたまるとあいつに狙い撃ちにされる!ここまできたら、奴は私が処理する!」


「…」

あまりの事に言葉を失うジョン国王とレイノルズ卿の二人、そこへリーゼの一喝が直ぐさま飛ぶ。


「思考を回転させなさい!貴方達はまだ生きている、死んだ者達に報いたいと思うなら、みっともなく足掻け!すぐに行動に移りなさい二人共!」


「…う、うむ、心得た!」

「…わかった!武運を祈る、これより部隊を細かく分断し、敵勢力の対処にあたる。ここを抜かれれば、次は無辜の民達があの光の餌食となる!総員、構え!敵を通してはならんぞ!」


人魔の殴り込み部隊の戦意が回復し、これまで以上に奮戦する。

それはサマエル達の軍勢も同様であり、勢いが増すばかりであった。


「突き崩せ、押すのだ!」

「俺達の意地を見せろ、突っ込め!」


戦乙女達や天秤部隊達の猛攻をものともせず、隊形を維持する人魔の兵士達に、徐々に焦りの色を浮かべてゆく。


「この、死に損ないどもがっ!」

「何をしている⁉︎押し返せ、我々は栄えあるサマエル様の軍勢ぞ!」


「斬り捨てろ!」



先の見えない戦いが続いていく中、サマエルとリーゼが互いを見やる。

一瞥するように、軽蔑するように、憎悪するように、怨敵と対峙する。


「最初に違和感を感じたのはいつだったかしらね、ミュンヘルトでの会戦だったかな。連合軍の首脳の裏に何者かの意思を感じたのよ。大きな力、のような漠然としたものよ。それが次第に疑念に変わり、今確信に至ったわ。この大陸の明日に貴方はいらない、ここで終わりにしてあげるわ。この私が…」


「へぇ、歴代の御使いがその考えに辿り着くのに随分と時間がかかったのに、君は実に聡明だね。僕もね、この大陸に顕現した当初は、我武者羅に事にあたっては、君のように理想に燃えていたもんさ。ただね、僕は段々とその行為に魅力を感じなくなってしまったのさ。この大陸自体がすでに穢れていると、悟ってしまったのさ。君ならわかるだろ?」


「わからないな、わかりたくもない!勝手に諦めて、勝手に暴走したあんたの気持ちなんてね!この大陸を支配したいのに、理由を並べてるだけね!」


「残念だな、君なら僕の考えに共鳴してくれると思ったんだけどね…。所詮は君も魔のものだ、根本は変わらないか」


「そういうこと事よ、神の代理人を騙るおぞましき化物!」


「そうかい、闇の神より産まれし化物。君とはここでさよならさ。」


長い問答の後、リーゼとサマエルは武器を構え、敵対者を殲滅する姿勢をとる。

存在を認めないかのように。





第一軍団を率いるエンリエッサと対峙するサソリは、第4城壁に広がった光を見て恍惚な表情であった。


「素晴らしい光景だ!サマエル様の御力は正にこの世の光だ、そうだとは思わないかね業魔将よ?」


「私は思わないわ、あれは穢れた光だ!光の中は、怨嗟の声に満ちていた。私はあんな光は願い下げね」


「はて、そうかね?まぁ理解できない低俗な者には、ここを通さぬがね!」


「通るわよね、無理矢理にでもね!マト、こいつ任せた!」

「お任せを、エンリエッサ様!」


「愚鈍なる者達めが!まとめて神罰をくらいながら、赦しを請うがいい!」


部隊を二つに分け、強行突破を図るエンリエッサとサソリに対処するマト。


阻止しようとするサソリ達天秤部隊に、それを抑えるマト達。

戦場の一端では新たな戦いが巻き起こり、混戦模様が増していた。

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