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化物達の理想郷  作者: 同田貫
大陸の理
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天地を穿つ(5)

「雨、雨、降れ降れもっと降れ〜、ピチピチちゃぷちゃぷ、らんらんらん♩」


「その歌はなんですコルト?民謡ですか?それとも童謡ですか?」


「頭に浮かんだフレーズを歌っただけだよノルン。意味なんてないさ」


調子外れの歌を歌いながらに、血の雨を降らすコルトとノルン。

歌い手である彼女の全身は血に塗れ、てらてらと赤黒く鈍い光を放っており、異質な空気を纏っているようだった。


反対にこれだけの惨状の中、返り血を浴びずに、あえて避け続けるノルンもまた異質であった。


「この子は鳶色で、この子は紅色、この子はんー、桜色?この子はえーと」


「そんなに鮮やかではないはずですよ、だいたい血の色なんて誰が流しても、どれも同じではないですか?」


「人族と魔族とでは違うんだよ!」

「そういうものですかね?」


惨殺した死体から流れでる血液を眺め、論争を始める二人、辺りでは天秤部隊と星屑部隊達が陣を敷き、攻勢に転じている最中にも関わらず。



魔導砲の直撃を受けてなお、一切の躊躇や怯えのない星屑部隊。

それに追従する天秤部隊達もまた、オスロの守備隊からみたら、脅威以外の何者でもなかった。


「前線部隊!交代要員と代わり息を整えろ。銃隊狙え、人体の急所に撃ち込み動きを鈍らせろ!下がりつつで構わない、十分に引きつけて応射せよ!」


横にいる兵士の息遣いや、手汗などの匂い、さらには銃火器には熱がこもり、城壁内側の塹壕内は蒸すようなうだる暑さとなっていた。

場所を変え、身を屈め、射撃して、身を隠し、また場所を変えと目まぐるしい作業を行う兵士達。


「あいつらは結局なんなんだろうな?自身の存在や命を軽視するような、そんな風に感じるのは俺だけか?」


「知らないよ、敵だということだけじゃ納得できないのか!こんな時に哲学者みたいな問いかけはよしてくれ!」


「いや、ふと疑問に感じてな」

「まぁ人でも魔族でもない、戦う為だけの存在。それはなんだか寂しいな…」


「俺達職業軍人のお仲間かもな!」

「奥、いったぞ!」



軽口を言い合いながらも、天秤部隊や星屑部隊達を狙撃し、第1城壁と第2城壁の狭間の地点で粘るオスロ守備隊。


連絡通路を封鎖し、大楯を密集させた隙間から、散々に撃ちまくる銃隊。

火薬の匂いが立ち込め、匂いに敏感な獣人達が嫌がる程であった。


「ティナ副長、なんか地味ですね〜。こうなんか、派手な戦の方がもえるのですが、うずうずしません?」


「だから脳筋と言われるのだ我々は、戦いの先端が開いた初めから、我々が消耗してどうするのだ!各国の軍団と連携し、敵に対応すると説明しただろうに。忘れてないだろうね?」


「…、もちろんですよ副長!」

「副長の考えは、我々の共通認識ですし、心配し過ぎなんでんすよ」


「今の間は、怪しい、なっ!」


ナイフを投擲しながらに、話をするティナを前に、彼女の部下達にも熱意が伝わり、敵を寄せ付けない働きをみせる。


戦いはさらなる激しさをみせ、犠牲者や負傷者や激増してゆく。




我慢の限界を迎えたのは、なにも堕天使側だけでなく、北部連盟側や救国同盟軍も一緒であった。


オフィーリアは持ち場である第3城壁を飛び出し、近衛の制止を振り切りながらに、第2城壁の発令所に顔をみせると、お偉方は騒ぎに巻き込まれていた。


業魔将であるエンリエッサもまた、堪え性のない人物の一人で、弟子達を引き連れながらに、プリメールとプリメーアも後に控えるように追従する。


あたかも戦闘狂い達の怪演が興じらてゆくこととなってゆく。



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