破滅の足音(1)
市民達も招待客達、各国の代表団に帝国軍の部隊全てが息絶え、動く者の存在しなくなった帝都フェルテネーブル。
天秤部隊と天使達が整然と並び、様々な報告をしてゆく。
犠牲者達の全てが、幸福とは程遠い苦悶の表情を浮かべ、血の色が人々の涙のように道をぬらしていた。
仮面の軍勢である天秤部隊達に、サマエルの部方達である、喜怒哀楽の様々な表情の意思なき天使達。
彼らには感情もなく、理性もなく、命令を実行するだけのただの操り人形としての存在でしかなかった。
「帝都中心部浄化いたしました」
「帝都西区、東区、商業区も滞りなく浄化作業完了いたしました」
「損傷の少ない死骸は人形部隊の素体へ、そうでないものは全て処理せよ、穢れの元だ浄化せよ」
「我が方の損害は軽微、只今順次帝都近郊を浄化中、作業完了まで暫しお待ちくださいませ、我が主人」
事務作業のように報告する、哀しみの表情をたたえた天使。
そんな報告を憂鬱そうに聞き、次なる指示を与えるサマエル。
「結構、では引き続き作業を続けなさい、私の可愛い聖堂騎士団の天使達よ。帝国の掃除が済んだら、部隊を纏め、周辺国への大掃除にかかりなさい。それと星詠みの巫女を見つけたら確保なさい、彼女の能力は有用かつ貴重よ。彼女の学徒や弟子達は、問題なく処理して構わないから…」
「受け賜わりました」
怒りの表情をたたえた天使が跪き、最敬礼でその場を後にする。
そしてサマエルの前に跪き、命令を待つ五人の堕天使達には、賞賛しつつもさらなる命令をだしてゆく。
「素晴らしい働きだよ、これで世界の穢れが祓われ、より浄化された世界となることだ。しかし依然として世界は穢れている、ノルンとコルトは先鋒部隊である人形部隊と殉死隊を率いて、引き続き蹂躙を続けなさい。クモにサソリ、ヘビは天秤部隊達を統率し、あらわれ出る対抗勢力共を刈り取りなさい」
「「ハッ!!」」
「クロスフィアにシルベスタ、ナナイは別命あるまでは待機を申し渡す。経過を見守り、臨機応変に対応すること!」
指示を出し終えると、疲れたように演台の上の椅子にもたれかかり、眠たげに瞼をこするサマエル。
「お任せくださいサマエル様!」
「指示には従いましょう…」
「私にはこれが正しい行為かはわからない、私達は道を踏みはずしたのか?」
三者三様の返答をする天使達。
ナナイがサマエルに感じていた疑念は、決定的なものとなり、命令に従うフリをしつつ、抜け出す決意を固める。
「ヘビさん、ヘビさん!治癒術師の手配どうもありがとう、おかげですっかり身体も元どおり!これで今まで以上に戦える、あいつらに雪辱を晴らせられるわ!聖剣の傷の礼をしなきゃ」
「なんのなんの、たいしたことではないよコルト。同僚として見過ごせなかったんだよ、弱った君を見るのが、あまりにも耐え難かっただけのことさ」
コルトの小柄な身体には黒い包帯のような物が巻かれ、ゆっくりと時間をかけながら聖剣の効力を打ち消しながらに、傷を癒してゆく。
「ではクモさんにサソリさん、ヘビさん、私達は先に周辺国の浄化に向かいますので、どうかお気をつけて」
「あぁノルン、そちらも気をつけて。帝国の残存や抵抗勢力の刈り取り、骨がおれそうだよまったく。サソリ、ヘビ、私達も次に行こうか?此処は天使達に任せて大丈夫そうだし」
「はやるなはやるな、敵は逃げんよクモ君。勇者君の首に御執心なのはわかるがね、我々のペースでゆこう」
誰もいなくなった帝都の通りで、人々の死骸を踏みつけながらに行進する堕天使達、彼らにとってはもう雑多なものでしかなく、一切の憐れみがなかった。
行進の音をどこまでも響かせながら




