表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
化物達の理想郷  作者: 同田貫
相反する理想郷
124/171

正義の証明(2)

城内に入ってすぐの開けた場所で、聖遺物を持つコルトと、聖剣を持つマークとの戦いが続く。


コルトは聖遺物であるラッパをしまい、聖気で精製した短剣を二振り持ち、勇者の攻撃をヒラヒラとかわしていた。


かわしながらにマークに囁き声で話しかけるコルト。

「感情や性格は、人の性質であり本質でもあるのよ…」


「勇者君、君達人は常に感情に支配されているのさ、現に今君も、私への怒りという感情に支配され激情に駆られている。ましてや正常な判断が麻痺して、冷静になれていないのさ〜」


「なにを根拠に、出鱈目を、言うな!」


「ほらほらそういうとこさ、私に一撃入れられないようじゃ、サマエル様はおろかクモさんにも遠く及ばないよ。残念だなぁ、実にがっかり…」


コルトはしきりにマークを逆撫でする発言を繰り返し、勇者の意識を誘導し、攻撃を単調にする狙いがあった。

聖遺物を用いずとも、コルトは感情を支配する術を心得ていた。



「つまらないよ勇者君、本当に退屈な時間だ。もしかして、君の身近な人に危険が迫らないと、燃えない人かな?なら後ろにいる、白髪の女性を面白おかしく演出してあげようか?それなら君も…」


「リューティスには触れさせない、お前は許さない!許されない…」



知らず知らずにコルトの術中に嵌り、意識の混濁している勇者を見て、思わず笑みを深めるコルト。


これならば籠絡できると、そう考えていた矢先に、勇者は自身のこめかみに拳を打ちつけ、痛みの感覚により無理矢理に意識を回復した。


「コルト、お前の腹芸はたいしたもんだ。称賛物だよ、ただね人はお前の思っているほど以上に、厄介な存在だということを教育してあげるよ。授業料は君の生命を代価にもらうよ!」



「…やれるもんならなっ!クモさんの獲物だろうが関係ない、人形部隊部隊長コルトの名に懸けて、貴様を討つ!」



両者は鍔迫り合いから、上下左右あらゆる角度からの技の応酬が飛び交い、その刹那の攻防で軍配が上がったのは勇者であるマークだった。


コルトの肩から脇にかけて鋭い一撃が入り、夥しい量の血が噴き出していた。


コルトは苦しそうに呻きながら後ずさり、勇者と距離をとろうとするが、勇者の追撃がそれを阻止する。


「ぐっ、こんなはずじゃ…。勇者と私の戦いは五分だったはず、読み違えたのでもいうの!一体あんたなんなんだい…」


「この一撃に、ハンベルニア城の守備隊の無念を乗せる!覚悟っ!」



「…⁉︎」

鈍く響く金属音が辺りに響く、もう一人の人造天使であるノルンが動く。


「コルト、熱中し過ぎですよ!貴方がいないくなると、私の毎日に彩りが欠けてしまう。注意して下さい」



聖剣を素手で鷲掴みにし、コルトの前に立ち塞がるノルンの姿があった。


聖人達も勇者より一歩前に踏み出し、ノルンと対峙する姿勢となる。


「四対一で勝てるつもりかしらノルンとやら?どのみち、サマエルの居場所をあんたから聴かないといけないから、大人しくしてくれないかしらね?」


「マークよ少し休んでおれ、次は私達が意地を見せるのでな!」


「わっ、私も頑張るんだから!たまにはかっこつけさせなさいよ馬鹿マーク!」


「俺の出番だなマーク!」



各々の聖人達が意気込む中、ノルンは冷静に返答する。


「そこまで傲慢ではありませんよ、ただ残念でなりませんよ。帝国から離叛者が出たことがです。貴方達の未来は閉ざされ、サマエル様の怒りを買った。弁明の機会を私が仲介いたしましょうか?」


「誰がするか!」

「御断りだね、馬鹿!」

「私の道は、私で決めます!」

「胡散臭いんだよ、この糸目が!」

「僕も皆と同意見だ!」


口々に恨み言を呟く聖人達と勇者、ノルンはそれを聞きながら、一息溜息を漏らして周囲を一瞥している。


「左様でございますか、では理解し合えないなら、殺し合うしかありませんね。原始から続く普遍的なルールにのっとり、ね。しかしながら、コルトの容態が心配です。お前達、その身に秘めし内面をさらけ出し、勇者達の相手をなさい」


「「御意に…」」


ノルンとコルトの部下達は、人の皮を脱ぎ捨てると、本来の姿をさらけ出す。


元に戻る術をなくした人外達が、勇者達を誅殺せんと殺到した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ