表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
化物達の理想郷  作者: 同田貫
相反する理想郷
120/171

問う者と問われる者

ズカズカと城内に踏み入る糸目の軍使と、天秤部隊の一団。


その一団の一人は、城内をしきりに見回しながら、仮面の下から辺りの匂いを執拗に嗅いでいるようだった。


やがて一室に通された一団は、城主に面会しながらに、対談に移る。

城主の用意した刺客達が数人潜み、さらには別室にも精鋭を控えさせた、その対談場所で。



「これはこれは城主様、わざわざのお出迎え痛み入ります。我らが此方に参った理由は既にご存知かと存じますが、行方の分からぬ勇者様方一行の安否の確認です。聖女イズマイル様も大変に心を痛めております、城主様は…なにか知ってはいませんか勇者様方の事を?」


「なに構わんよ、軍使殿こそ若くして天秤部隊の一指揮官とは、鼻が高いですな。私達一同も勇者様方の行方を追っているのですが、情報が錯綜しておりましてな、なかなかたどり着けずにおります。私達度でなにかお役に立てることはございますかな?」



「それはそれは、困りましたな…、私としては城主様の申し出大変にありがたいのですが、私達もしらみ潰しに、付近を調査しているのが現状でして…」


「なるほど、それはまた難儀な…。私共の城も臨検に協力しましょう!」



上辺だけの挨拶を交わし、まるで定型文のような会話をする両者。

お互いに相手の腹の内を探るように、言葉を慎重に選びながら、次なる一手を模索している最中であった。



「では城主様、暫し城内に立ち入る事をお許し下さいませ。数刻程で終わる予定ですので、どうかご容赦下さいませ。ではさっそく、我々は調査を始めます」


「もちろん構いませんよ、では案内の者を数名つけましょう。この城内は入り組んでおりましてな、初めての方は大変迷いやすいのですよ。どうか気をつけてくれ軍使殿」


「ご配慮感謝致します」

「なんのなんの」



言うや否や、そそくさと退出し、行動を開始する天秤部隊一行。


勇者達一行には、城内とは別の隠し通路の先にある、家屋に避難してもらっていたが、城主は一抹の不安を覚える。



「奴らの後を追いつつ、なにか勘付くような仕草をしたら、容赦するな。ありゃー難敵だ、手の内を全然見せないばかりか、此方の腹を探りにきてやがる。お前から見て、奴はどう見えた?」


天秤部隊の一行が退出した後、城主が隣に侍る側近に意見を求め、質問した。


「ハイ、率直に申し上げて不気味です。表情は穏やかそのものですが、仄暗い影を抱えているように感じました。後は付き人達の護衛が厄介かと」


「そうか…、では刺殺または斬殺が困難な場合、射殺を前提に策を練ろうか。もちろん最悪の場合に限る、このまま事が済めば穏便にすむ」


「ハイ、ではそのように」


城主が部下に命じながらに、明確な拒絶の決意を決め、天秤部隊への備えをしてゆく。





糸目の軍使達一行は、城内をぶらぶらと検分していく。


前後を二名ずつ、城主のつけた案内役が傍を固めるのを、鬱陶しそうに見ながらにあてもなくぶらぶらと


「やはり勇者達の匂いの残滓がある、そう言いたいのだなコルト?」


小柄な仮面の者に問う軍使、コルトと呼ばれた天秤部隊の兵士は、肯定を表すように首を縦にふる。


「うん、僅かにだけど勇者と聖人の匂いが城主から匂った。この城は、間違いなくクロだよ?ノルン」


「そうですかそうですか、では予定通りにいきましょうか。あぁお前達、前後の邪魔な奴等を掃除するように」


「「オオセノママニ…」」



短弓にナイフで手早く監視役を片付け、すっきり顔のノルンと呼ばれた糸目の軍使に、仮面の者コルトが猫なで声をする。



「ねぇノルン?ここの奴等は勇者を匿った、じゃあ有罪よね?サマエル様を冒涜したに等しいよね?」


「そうだね、愚かしい事に彼等は結託し、徒党を組んで我々に挑もうとしている。将来的な不安の芽を摘んでしまおうかコルト」


「じゃあさじゃあさ、いつも通り?」

「えぇいつも通りです。それとクモさんやサソリさん、ヘビさんに連絡を」



ネルト帝国北部要衝地帯の一角、古来より歴史あるハンベルニア城。


そのハンベルニア城で、血生臭い動乱の気配がたちのぼっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ