聖人達の奮戦
ヒュプノスとデレルネスの攻撃を捌く、ネラフィム卿とヤクトバーグ卿。
またその他の、天秤部隊の兵士達を相手取る、リューティス卿とソロ卿。
敵の人数は、先程のマークの大技で半減していたが、じわりじわりと包囲の輪を狭めながらに維持している。
「クソ!こいつら士気が異様に高いな、普通なら部隊が半減したら崩れるもんなのによ、オラァ!リューなんか策はないのかなよ?数でこられると厄介なんだよ、どうにかなんない?」
「ソロちゃんと集中して!今考えてるけど、マークにネラフィ、ヤクトバーグが動けない今、私達だけじゃ限界だよ!包囲の一角でも崩せれば…」
相対する天秤部隊の兵士に大穴を穿ちながら話すソロ卿に、苛立ちながらに返答するリューティス卿。
天秤部隊の兵士達の恐ろしさは、戦闘能力の高さでも、知略をいかした戦術でもなく、ただただ圧倒的なまでも持久力の高さだった。
戦友が倒れようと、同僚が地べたを這いずり回ろうと、目的達成に向けてどこまでも前進していく。
「帝国にとって俺達は邪魔になった、そういう事なのか、リュー?」
「そういう事でしょーよソロ、悔しいけど御使いの言葉は事実のようだわ。私達の考えを纏める前に、ここを抜けるのが先決のようね。ソロやるよ」
「あったりまえだっー!」
「いい加減にしつこいのよ仮面共!」
珍しく意見の合う二人の攻勢に、天秤部隊の兵士達が押されていく。
しかし天秤部隊もまた、あらん限りの攻撃を聖人に対して向けていくが、勢いは聖人達側に傾き始めていた。
「ぐ…、異端者共め、往生際の悪い真似を。強化兵達よ、能力の全解放の許可を出す!主人の敵を討ち倒せ!」
「「拝命イタシマシタ!」」
後方に控えていた予備戦力である強化兵の投入を決めた、天秤部隊士官。
言語能力が低い者達で、戦闘能力に特化させた兵士達であり、平時は枷をつけた状態であるが、今封印を解かれ、解き放たれた。
猟犬のようにひた走る十数名の彼らは、手と脚を四つ脚動物のように使い、口からは涎を撒き散らしていた。
餌を与えられた犬のように…
一方ネラフィム卿とヤクトバーグ卿が相手取る、ヒュプノスとデレルネスの戦いも膠着していた。
両者の動きは緩慢で、攻撃や動きを見切ること事態は容易いのだが、体のどの部位を刺突しても、どの部分を切り落とそうが、いつの間にか再生される奇怪な身体に、舌を巻いていた。
「「ハカイセヨ、ハカイセヨ…」」
「…もうなんなのよ、こいつらの身体、化物のそれと一緒ね!ヤクトバーグ、彼らの急所は別にありそうね?とすると目の前の奴らは、まやかしなのかな」
「…うむ、その可能性は充分にありうるな。いくら攻撃しても傷がつかないのも納得だ、やはりクモ自身に何かこ奴らのカラクリがありそうだな」
「クモの玩具ってこと?等身大の人形で遊ぶ、お姫様ってとこかしらね?」
「自分で考え、自分で動く人形だ。さしずめ、お姫様の護衛といったところか。肝心のマークはどうだ?」
渾身の斬撃をいなされ、ヒュプノスとデレルネスに効果がないことに軽口を言い合う二人。
「なんにせよ、この木偶達の足止めが私達の役目かなヤクトバーグ?気張りなさいよ、いいのもらったら、今度は私達がピンチなんだからっ!」
「任せておけネラフィム!我が剣の錆としてくれよう、大船に乗ったつもりでいたまえよ!」
「泥舟じゃなきゃいいけどね」
「言いよるは、ネラフィムめ!」
聖人達の反撃が開始され、勇者マークの行動を後押しをしていく。




