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化物達の理想郷  作者: 同田貫
偶像崇拝
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二者択一の選択

マーク達一行は暫し言葉を失う。

自分達の指導者が、狂気に塗れた野望に取り憑かれ、自分達ですらも排除しようということに。


「御使いリーゼ貴方の話が本当なら、サマエル様も相当な悪党だな。本物と偽物が共存する世界、響きはいいが到底実現できるものじゃない。死と離別した世界…、それはただの停滞した世界だ。まるで明日がないじゃないか!」


「…そんな、私はそんな奴の下働きをしてたっていうの、天使って一体なんなのよ、神の使いではなかったの?」



マークが自分の推測を述べる中、ネラフィム卿が激しく混乱していた。


「俺は神の敵対者であると信じて、あんたら魔族と戦っていたんだ!それをいらなくなったら捨てる?どういう了見だ、俺達は消耗品じゃない!」


「マーク…私達どうすれば?帝国に帰った所で、私達の居場所は本当にあるの?ねぇ教えてマーク、私は貴方に縋るしか居場所がないの、マーク…」



それはソロ卿とリューティス卿も同じであったが、唯一ヤクトバーグ卿だけは、マークと同様に冷静であった。


「…ふーむ、事態は深刻だが、活路はある。やはりここは御使い達と手を組み、サマエル様の野望阻止が先決だろうな、偽物だらけということは、新たな生命も誕生しない、色褪せた世界だ。マーク、私はお前の決めた道を進もう…。御使い達と手を組むか、決別し我々独自に対処するかの、二者択一だ」



そんな勇者達の様子を、いつの間にか用意された、紅茶を啜りながらに返答を待つリーゼ達。


緊迫した様子を見せずに、業魔将達との一家団欒を楽しんでいた。

それからゆっくりと紅茶を飲み終え、一息つくと、リーゼは語りだす。


「私達の目的は、理想郷の建設と共に、サマエル及びその一派の壊滅だ。理想を阻む者達に一切の容赦はしない、だがマーク返事は急がないが、期限を設けよう。月の満ち欠けが一周する頃に、こちらから使いの者を其方に派遣しよう。良い返事を期待しているよ。希望に満ちた世界か、それとも欺瞞に満ちた世界か、君はどれを選ぶのか。」



さらに責めたてるように、エンリエッサが追従する。


「…まぁ私としては期待してないがな、仮にもしリーゼ様の身辺を害するようなら、この話は無しだ。あとは好きにすればいいさ、お前達側の問題だしな…」


「あっリーゼ様、紅茶もう一杯どうでしょうか?珍しい物が手に入りまして」


微妙に締まらない言葉を吐き、場に妙な雰囲気に包まれるも、すかさずイシュガルが意をくみ取り、言葉を続ける。



「…リーゼ様の寛大な配慮に感謝せよニンゲン、本来ならば我らに劣るお前達に、わざわざこんな話をする時間さえも惜しいのだ。それが理解できないのなら、お前達はサマエルの創る管理された世界とやらで生きればいい、未来永劫時の果てまでな」



「ご助言痛み入る、必ず返事はすると約束しよう業魔将の方。私は勇者、理不尽に抗い、弱きを助け強きを挫く者である。だが、皆と話し合いたい。それから改めて返答する!」


「呑気な事だ、答えはひとつだろうに、まぁせいぜいなぶり殺しにあわないよう、精々気をつけることだ」


やんわりと返事をし、肯定も否定もしない勇者マークに、苛立ちを覚えながらに吐き捨てるイシュガル。

バンネッタは、うんうんと頷くのみで、相変わらず蚊帳の外だった。




「エンリエッサ門を開けて、マーク達を送ってあげて。聞くべき事、話す事は全て終わったよ。後は結果を待つだけ」


「ハッ…心得ました!」





空間の裂け目が突如発生し、その裂け目は徐々に肥大化しながらに勇者達を飲み込み、視界が暗転する。

やがて見慣れた行商隊のほろの中で目を覚ますと、心配顔の長殿と、大勢の従者達が安堵の息を漏らした。



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