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化物達の理想郷  作者: 同田貫
偶像崇拝
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死と離別した世界にむけて

大天使サマエルと天使クロスフィアは、天秤部隊に次々と指示をだす。


各天秤部隊の隊長格達は、クロスフィアお手製の人造天使達であり、運動性や知識面などのポテンシャルの高さは、それこそ未知数であった。


サマエルは天秤部隊に対し、勇者達が消息を絶った周辺を見張るように徹底させた。必ずなにかしらの証拠があると、睨んでのことであった。


「敵はおそらく勇者達を取り込み、結託して我々に牙を向けるはずだ!状況証拠を探せ、こちらが先に先手をうち、機先を制するんだ!敵の手に堕ちた、裏切り者の英雄として帝国内に触れをだせ。また、勇者達を捕らえた者には、報奨金をだすとも伝えて。大衆を味方につけることも忘れないように…」


「あぁそれと、正気を保ったままに、サマエル様に面会を求めるかもしれない。その時は会談中に取り囲んで始末せよ、今代の勇者よりも次代を育てる時期と把握せよ各員、質問は?」



大天使サマエルの説明を補足し、指示を出し切ったクロスフィア。


そんなクロスフィアを黙ってじっと見つめながら、意図を察しながらに頷き答える人造天使達。


「概ね了解致しました。ただ毎度のことながらにえげつないですな。まぁ我らは影に徹しますよ、創っていただいた恩もありますしね」


「全てはサマエル様の管理され統制された世界の為に、余計な有象無象などエラーに過ぎないのだから。ところでクロスフィア様、あいつらは使えるのですか?どうにも意思疎通に難ありですよ、どういたしますか?」


「これだから指示待ち君は、たまには自分で考えなさいよ間抜け!あまり主人達の手を患わせるな、私達に求められているのは、忠実な姿勢と、敬虔な信徒としてのひたむきな態度だからな」



サソリと別の天秤部隊を受け持つ人造天使達。


ヘビの率いる天秤部隊は、『遊星』、主要な任務は要人警護に、敵地での情報収集に暗殺。

他の天秤部隊の、つなぎ役としての意味を持つ情報部隊である。

好々爺のような外見だが、見た目に反して、その動きは機敏であり、敵地では姿を見せないままに敵を屠る様から、故にヘビと呼ばれている。



一方クモ率いる天秤部隊、『彗星』、その存在は天使達の親衛隊であり、有事の際の切り札的な存在。

天秤部隊のエリートとしての自意識が強く、自尊心の塊のような部隊。

どこまでも冷たい印象の女性であり、大天使サマエルの掲げる、統制された世界を盲信している。


そして最後に、サソリ率いる実働部隊である天秤部隊、『凶星』。

実働部隊として、常に前線でため、他の天秤部隊よりも圧倒的に人数が多い。

それだけ人の生き死にが激しいともいえる、死の影が色濃い部隊。



彼ら三人がこうして集うのは久々であり、年に数回あるかないかであった。

今回彼らの関心は、例の贋作勇者と、贋作聖人達のお披露目会であった。


大天使サマエルは呟く。


「人の命は儚く、誰しもが有限だ。寿命長き者も短き者にも、等しく死は訪れるものだ…。なら最初から、バックアップ可能な代替品を創るなら、その損失は最小限に抑えらると私は思うの」


「さすがはサマエル様!」

「ご立派な考えですサマエル様!」

「…それがサマエル様の考える、死と離別した、統制された世界なのですか?」


「…あぁそうだね、行く行くは、他の者達にも広め、やがてこの大陸に住まうあまねく人々に広める。老若男女、ありとあらゆる年齢層の者達に。やがて死など存在しない、完成された世界が創生され、時代は新たな分岐点に進むことになるだろう。その手始めに、彼らを消滅させる。知識を探求し過ぎた愚かものである、あやつらをね…」



サマエルの眼は、爛々と輝き、危険な瞳をうかべていた。

まるで遊びにいくのが楽しみな、無邪気な子供のように、語りだす。

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