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化物達の理想郷  作者: 同田貫
偶像崇拝
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勇者として

清廉な気配に包まれた星詠みの巫女の屋敷の中、勇者マークは、普段のように冷静ではいられなかった。


自身が遠くない未来に、破滅するという宿命に、相手が星詠みの巫女ということも忘れて、噛みついてしまった。

仲間の聖人と供に、今後についての相談をしにきたつもりが、勇者として役目を果たす前に、自分の生を終えるつもりはさらさらなかった。


「星詠みの巫女様、それは事実なのですか?私はまだ、今代の勇者として、果たすべき責務を果たしておりません!私はまだ、これっぽっちも成果を残していないのです。なにかの間違いでは?」


「冷静になりなさいマーク、貴方らしくありませんね…。先程も申したように、遠くない未来であり、それが明日なのか、次の月なのか、翌年なのかは私にもわからない。ただ御使いであるリーゼに固執すれば固執するほど、逃れられぬ運命の輪に囚われると忠告します」


「そんな巫女様!私はそんな未来望んではありませんよ、マークのいない未来なんて、私は耐えられない。回避する方法があるはずでは?」


「青き新星ということは、我ら聖人からも、今後犠牲者がでるということでしょうか?現にアイズ、フランチェスカ、ボルドーが犠牲になっている…」

「そんな馬鹿な話があるかよっ!」


「…聖人達にも少なくない犠牲がでるはずです。ですがそれは、リーゼ率いる魔族達と敵対し続け、戦の果てに待つ結果論です。彼ら魔族との対話により、破滅を回避する可能性もあります。先先代の御使いは果てなき支配欲に盲信し、先代の御使いは暴虐の限りを尽くした。しかし、今代の御使いリーゼは、人魔の融和を目指す稀有な御使いだと私は考えます」


「お言葉ですが巫女様、相手は魔族なのですよ?相手を欺く奸智に長け、残虐非道な行いを平然とする。けして相容れない天敵のはずです。対話など不可能です、逃れられぬ運命ならば、私は単騎で御使いを討ち果たすまでです!」


「マーク、先程も言いましたよ?自ら死期を早めてどうするつもりです、まずは御使いに会い真意を探りなさい。貴方の願いである、誰もが平和を享受できる世界と、御使いの願いである理想卿の建設は、私には限りなく似通う部分が多々あると感じるのです。そこからさらに、巨悪に立ち向かうのが吉でしょう。それがリーゼなのか、はたまた別の存在なのか。己の信念に従い、自身の信じる道へと邁進なさい勇者マーク…。貴方の瞳が曇らないことを願いますよ」


「巫女様!お待ち下さいませ、まだ話は終わってはおりません!何故私が、リーゼと話をせねばならないのですか?彼女は絶対悪なのです!中央教会との教義とは、真逆の存在です」


「私からの話は以上ですマーク、ルバルフと連絡を密にとり、御使いの待つ魔都へと旅立ち準備をなさい。全ては貴方次第ですよマーク、敵対か、融和か、歴史の分岐路に立っていると私は感じます。このまま対立を深めれば、北部連盟とネルト帝国の全面対決となります。我が子のように愛した帝国が、荒廃する姿は見たくありません…。では、また…」


音もなく星詠みの巫女が、部屋より退出し、後には側仕えの神官と、マーク達一行だけが、部屋に取り残された。


「私はどうすればよいのだ?リーゼとの対話など本当に可能なのだろうか、勇者としてなにが正しい道か、みんなの意見を聞かせてくれないか?」


「マーク、貴方の信じるべき道に進んで下さい、私達は貴方の道の供をすると誓った仲じゃないか?」


「魔都にいきましょうマーク、私達も全力を尽くします。」

「以下同文だよ、マーク」


「うむ、うじうじするのは勇者としては、恥ずかしいことだと思うが?目的地があるなら、あとは前進だろうよ」


「わかった、行こうみんな魔都へ!」



勇者達一行は、進路を魔都イールガルに定め、次なる旅立ちの準備を始めてゆく。それが今後、いかなる結果をともなうかは、まだ誰も知らない…


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