魔都大会議への準備
先程の動揺から回復したエンリエッサは魔都イールガルを案内しながらに思う、今代の御使い様は歴代の方々に比べて我等に対して慈悲深いとこうことに。
先代の方であるエルトダインは、知恵なき破壊の権化であった。自身の力しか信用せず、単身で人族の国々を荒らし回りその末に討たれた。鋼の皮膚をもつ大柄な巨人であった。その前の先先代のノルトディールは、魔族を駒のように扱い魔族の信用を得られなかった。
能面のような仮面をつけた悪魔も結局当時の勇者に討たれてしまった。
今代の方とは連携を密にとり、単身で討たれてしまう事態を避けなければならない。
勇者とその周囲にいる聖人の動向に注意せねばならない。
御使い様が討たれれば、魔族達の戦意が削がれ、戦線は大きく後退し民達にも無用な犠牲がでてしまう。
そこでエンリエッサは今後について魔都に住む部族の代表と御使いであるリーゼが話し合う場を設ける会談を提案した。
「リーゼ様、一つ提案がございます。御使いであるあなた様の考えを示してもらえませんでしょうか?今後の方針を示していただければ我等も動きやすくなると愚考いたします。」
「ん…それはよい考えだな!私は邪神様よりこの大陸に魔族達の理想郷を建設せよとの至上の命を受けてこの地にきたわ。そのことをまずは示さないと皆の意見もきけないしな!」
「ありがとうございます!ではさっそくこの下層部にある大会議室に魔都に住まう部族の代表者達を召集して参ります!しばしお待ち下さいませリーゼ様」
そう言うとどこかエンリエッサは嬉しそうに副官達に命令を下し慌ただしく部屋を退出していった。
そしてリーゼの後ろには、いつのまにかうやうやしく跪く業魔将の二人がそこに存在していた。
「お初にお目にかかりますリーゼ様、私は第三軍を率いますイシュガルと申す者です以後お見知りおきを…」
「ただいま戻りました御使い様!第二軍の将のバンネッタと申します。皇国の迎撃より帰還いたしまして挨拶に参りました。なんなりとお命じ下さい!」
「こんにちはよろしく頼むわね。顕現してまもないからこの世界の理をまだ理解していないの。色々と教えてくれると助かるわ。一緒に励みましょう。」
「「仰せのままに我が主!」」
無骨な黒鎧の隙間から複数の目と顔が見え隠れするバンネッタと、山羊の頭をしたイシュガルは同時に言葉を発した。
「聞いたわよバンネッタ、忌々しい聖人の一人を排除したんだって?我が父である邪神様もさぞお喜びよその調子でどんどん殺しなさい」
「いえ当然のことをしたまででございます。御使い様も自身のお力でポリーウットを灰燼にしたことに比べれば私などまだまだでございますゆえ」
「謙遜はよくないわバンネッタ誇りにすべきよ。それとイシュガルの魔導研究所拝見させてもらったわ。戦いに効率をもたらす兵器の数々とても面白いわ。特にあの魔導砲は、実戦で使ったらとても楽しいでしょうね。」
「お褒めいただき光栄です。あの魔導砲はまだ少数しか完成しておらず、発射する際に暴発する可能性のある危険なものです。威力は申し分ないのですが、安全面が今後の課題です。」
「御使い様の能力も大変に面白いものですよね。なんでも炎を自由自在に操るとか、是非拝見したいものですなっ!」
「あれは強力な能力なんだが、どうも魔力の消費にムラがあってね。これから徐々にならそうと思っている。」
長い渡り廊下をあるきながら三人は、近況報告やここ最近の各国の動向を報告しながら下層にある大会議室に足を運んでいた。
魔族達の今後についての大会議が今まさに始まろうとしていた。




