便利な世界
鹿鳴館麗佳とヴィルゴⅥも街中へと来ていた。
当然、2人も火災による大きな煙が上空に上っている様子を目撃している。
「あれは……?」
「でも、消えて行っているみたい。麗佳が気にすることではないわ」
「そ、そうですの?」
「それよりも、インフォメーションセンターに行きましょ。そこにあなたの欲している情報があるかもしれないから」
麗佳、首肯し、
「えぇ。そうですわね」
麗佳はヴィルゴⅥの顔を見て、柔和に微笑む。
「わたくし、鹿鳴館麗佳は突如、別世界に迷い込みました。そこで出会ったのが彼女、ヴィルゴⅥ。彼女に事情を説明したら、まずは情報収集すべきと言われ、わたくしたちの世界で言うところの大使館へと赴くことになりました」
麗佳はヴィルゴⅥと共に歩を進めていくのであった。
一方、火災が無事沈下した現場では。
進とレオⅤ、サジットⅨ、アリエスⅠと、ヴァッサーマンⅪが対峙していた。
「あんた、この世界のレスキュー隊か?」
「むむ? 見慣れぬ生き物……」
ヴァッサーマンⅪは進に対し、物珍しそうに見つめる。
「こいつの名は我道進。別の世界から迷い込んだらしいぜ」
「レオⅤ……。ふむ。そういうことか……。そうだ。先程の質問だが、私は別にレスキューを専門としている者ではない。自分の特性を活用しただけに過ぎないのだ」
「えっ? 違うのか。じゃあ、本物のレスキュー隊はどこにいるんだよ?」
「ここへ来ない以上は恐らく、途中で引き返したのだろう。私が先に片付けてしまったからな」
「現場に来ていないのに分かるのかぁ?」
「分かりますよ。町中には至る所にカメラが設置されていますから」
アリエスⅠが懇切丁寧に説明してくれた。
進は発展し切った世界および、システムに唖然となった。
「スゲェな……。ヤベェ。こんな世界で天下なんか取れんのだろうか?」