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コマンダー・オブ・シデロス  作者: かめかめか
6/9

淑女の交渉

 麗佳はうっかり小枝を踏んでしまい、音を立ててしまう。

 その微小な音を鉄鋼女神・ヴィルゴⅥは聞き逃さなかった。

「誰ですか?」

 シデロスは人間よりも視力(索敵力)が高い。

 カメラアイがしっかりとやや遠方にいる、人間の少女を捉えた。

「……見慣れない生命体ですね」

 ヴィルゴⅥは麗佳へ接触を試みる。

 女性型機械生命体が近づいて来る。通常なら、一目散に逃げるところだろう。しかし、ヴィルゴⅥに敵意は感じない。

 第一に攻撃を仕掛けてこない。

 武装らしい武装も(最低でも外見上は)存在しない。

 麗佳は相手に敵意がないことを察した。それゆえ、落ち着き払った笑みを浮かべてじっと待ち構える事にする。

「ごきげんよう。はじめまして。私、鹿鳴館麗佳と申しますの」

 ロングスカートを小さく持ち上げ、麗佳は気品漂う挨拶を示した。

 しかし、それは人間にとっての常識。シデロスの世界での常識ではない。

 だが、不快な印象は受けなかったため、ヴィルゴⅥもお辞儀をし、礼儀正しく返事に出る。

「私はヴィルゴⅥ。シデロスという種族の一員です」

「では、ヴィルゴさんとお呼びしてよろしくて?」

「もちろんです。……ところで、麗佳さん。あなたはどこから参られたのですか? あなたのような存在を見たのは初めてでして……」

 その問いに、麗佳は人差し指を堂々と翳して、気丈にこう語る。

「お互いにとって最も分かり易くいいますわ。異世界ですの」

「異世界?」

「そうですわ。お互い今までの常識では存在すると思ったことすらない、別次元の世界。空想の世界にでも飛び込んでと断言しても過言ではありませんわ」

「今までお互いが知らなかった世界ですか……。なるほど。それなら、合点がいきますわね。でも、どうやってこちらへ?」

「正式な名称および、現象は分かりませんわ。ですが、偶然見つけたワープゲートのようなものを好奇心で潜って来て、今に至る。それが今私に言えるこれまでの経緯ですってよ」

「ゲート……ですか。私も決してこの世界の全てを把握してはいません。そういった場所がどこかにあったのですね。興味深いです。では麗佳さん、そのゲートのある場所へと案内して頂けませんか?」

「もちろんですわ。ただし……」

「?」

「こちらの世界の情報もいただきますわよ? よろしくって?」

 気丈。強か。麗佳お嬢様は不敵に笑みを浮かべ、リョウ子氏に手を当て、胸を張った。

 












 

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