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お嬢様と女神
煌びやかな長い髪が特徴の清楚な美少女、鹿鳴館麗佳は単身、森の中を歩いていた。
彷徨っている風ではなく、実に威風堂々とクールビューティな顔立ちを壊さずに。ただ、淡々と。
「いったい、ここへどこなのでしょうか? あまり、見慣れぬ木々が生い茂るこの森……。日本国内ではないのでしょうか? ですが……」
くすっと、誰にも汚されていない桃色の唇がにやける。
「心地良い場所ですわ。家にも習い事の世界にもない、そう。開放感のある――」
うふふっ微笑み、長いスカートを軽くつかんで麗佳は走り出した。
走る事に特化しているワケでもないヒール入りのシューズのまま無我夢中で駆け出した、可憐な乙女。その先にあったのは――湖畔。透き通った湖であった。
そこには見慣れぬ存在がいた。ネッシーでもUMAでもない。
鋼鉄の女性。ヴィルゴⅥが水浴びをしていた。
その女性型金属生命体に麗佳は目を奪われた。
「う、美しいですわ。なんという、造形美。金属でありながら、女性らしいフォルム……、あの機械は一体……」