悪魔の笑顔
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双子座をモチーフにしたシデロス・ジェミニⅢ。そのうちの片割れであるデビルジェミニ。
口が三日月のように裂けている不気味な笑みを象った金属の仮面と、禍々しい悪魔の片翼を持つ。
「いやぁ、見回りとかチョーマジつまんね。こういう役割は人手増やせるジェミニにどーしても回って来るから、不快マックスだわ」
不平を吐露していたところ、彼に石ころが投げつけられる。
「んー?」
デビルジェミニの両目のカメラがあるものを捕捉する。それは人間の少年。進であった。
「なーんだこいつぅ? 人間っていう奴かぁ~?」
「そうだ。俺は人間だ。名前は竜馬だ」
意図的に進は偽名を名乗った。それも、しれっと自信満々に。
デビルジェミニはまじまじとちんまりとした生命体=人間=進を見つめ、
「ほー。んでぇ、オイラになーんか用ぅ?」
ゆらりとその不気味な笑顔の仮面を傾け、双子座の機械生命体は問う。
「俺はここへ冒険しに来たんだ。けど、あいにく情報が少ないんでね。お前さんからこの世界の情報を欲しいワケだぁ」
「え~? な~んで俺っちがそ~んなことを? 意味わかんないんだけどぉ?」
奇怪に仮面をクルクル回転させて、悪魔の双子座は非協力的な態度を示した。
「ほぅ。いいのかぁ? 俺、お前とお前の片割れが秘密基地らしきところから出て来たところを見たんだぜ? つまり、お前らはその基地周辺をパトロールしているんだ。そのあたりの情報をお前らにとって知られたくない相手にリークしちゃってもイイのか?」
不気味な笑顔には不敵な笑みを。進は毅然と言い放ち、相手を煽りに出た。
「なーにそれ? 脅しのつもりー?」
デビルジェミニは細長い腕からナイフの様に鋭利な爪を持つ指を突き立て、進へと迫る。
だが、それにも進は怯えず、威風堂々と口を開いた。
「まー待てって。もしかしたら、あんたらにとって欲しい情報が俺にはあるかもしんないぜぇ?」
その一言にデビルジェミニはビクッと反応。寸前で腕を止めた。
「はぁ? その情報ってな~に?」
「それは秘密基地に入ってからだな。今、俺は疲れているんだ。その話をする前にちょっくら休みてぇんだよ」
「お前、もうヘバってんのぉ~?」
「見ての通り、お前よりも小さな生き物だからな」
デビルジェミニは沈黙し、逡巡する。目の前の人間をどうするか考えていた。
「……まぁいいよ。お前なんか弱い生き物が基地に来たところで、なーんの痛手にもなんないしね」
デビルジェミニは巨大な掌を差し出す。まるで乗れと言わんばかりに」
「メンド臭いけど、連れて行ってやるよ~。お前のノロマな足に合わせるのは嫌だしね」
「へへ、そいつは都合イイや」
ひょいと進はジャンプし、ジェミニの掌上へと乗った。
そして、デビルジェミニは帰投すべく飛んで行くのであった。
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